逢坂冬馬(2021)『同志少女よ、敵を撃て』早川書房

生きる意味とは何か。戦争という極限状態におかれた人間の心の移ろいを丁寧に描写する中で、少しでもこの問いの核心に近付こうとする物語であった。もちろん答えは得られない。それでも読者は主人公たちとともに歴史の大河を渡りきったとき、一握の勇気を手にしているだろう。

戦争ほど人の人生を狂わせるものはない。奇しくも本書の戦場が、今また現実の戦場となっているこの時代に、我々日本の読者が受け取るべきメッセージは世界の平和と繁栄に少しでも活きるものであってほしいと願う。

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