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クラウン*ベスのアメリカ体験記 vol.19

エリザベスは米国でリングリングサーカス”地上最大のショウ”に入団!
まずはサーカスや先輩方のショウを見学。前回の続きです。


プリショーが終わりいよいよサーカスの始まりです。

ショーの順序はと言うと、まず本番が始まる10分位前にもうすぐショーが始まるよ〜というアナウンスが入ります。この時はまだお客さんは売店で買い物をしていたり自分の座席を探していたりせわしなくしています。そしてここでクラウン達が登場します。クラウン達は「ブロウオフ」(Blow Off) と呼ばれるギャグをクラウン全員で演じます。観客を相手に拍手などをさせて会場を盛り上げ本番のショーにスムーズに繋げる役目をします。日本で言う「前座」みたいなものです。ちなみにこの言葉「ブロウオフ」は、クラウンギャグの「落ち」の意味もあります。ブロウオフが終わりリングマスターの登場です。リングマスターはサーカス団長でMCのような進行役でもあります。いつもシリアスで威厳があり、サーカスではクラウンがリングマスターと一緒にギャグをすることがよくあります。

リングリングサーカスのショーは簡単に説明すると、プロダクションナンバーと個々のサーカス芸人のパフォーマンスで成り立っています。プロダクションナンバーとは、パフォーマー(動物を含む)全員が一緒に出演してステージのフロアー上の3リングの周りを練り歩くパレードです。ショーの中で3回あり、ショーの初め、ショー前半の最後、そしてショーの終わりです。ショーのテーマに沿ってコスチュームやダンス、歌などが演じられます。

この年のテーマは、「サイドショー」。サイドショーの歴史は1835年、P.Tバーナムが巡業用ショーで「フリーク」という名目で「珍しい奇人」を見せる宣伝を始めたのがきっかけで始まったショーです。シャム双生児、小頭症、小人、刺青男、多毛症、手足のないだるま男、蛇男、熊女...見世物小屋で何か見てはいけないものを見てしまうようなダークなドキドキ感。プロダクションナンバーでは、サイドショー芸人達一人一人山車に乗ってリングマスターが一つずつ説明していきます。世界一背が高いコーン(KHAN)が、かわいらしい小人のアクロバティックのカップル、サッシャ&タチアナと山車に乗っています。コーンはパキスタン出身。いつも笑顔で口数が少なく奥さんといつも一緒です。話すと声はビデオテープの回転を遅くしたようなとても低い声。犬が大好きで私たちのジャックラッセルテリアのルーシーを見かけるたびにナデナデしてくれました。サッシャとタチアナは5歳の子供くらいの身長どこに行くにも手をつないでいます。

KHANとサッシャ&タチアナ


地上最小の男、ミシュー(Michu) は3歳くらいの身長で年齢は60代。ダンスが得意でいつもパーソナルアシスタントとおしゃべりをしています。ミシューの声はまるでヘリウムガスを吸引して喋ったときのようなピッチの高いコミカルな面白い声です。彼はメルヘンチックな馬車に乗っています。

パイソンの王子、トング(Tong)はベトナム出身。母国のサーカス学校を出た後プロの蛇使いになります。ムキムキの筋肉にレモン色のパイソンを身体中に巻きつけて登場したときの観客のリアクションは忘れません。奥さんは確かアンと呼ばれていて同じくベトナム人。コントーショニストで「キューブの中のレディ」。小さい透明のキューブに彼女の体がすっぽり入ってしまいます。私も彼女同様アジア系だからかアンは私ととても親しくしてくれてよく話しました。彼女は7歳の息子がベトナムにいて彼女のお母さんが面倒を見ているそう。早く次の子供が欲しいといつも言っていました。

蛇使いのTong

チベット人のミスティクリーズは、心を操る達人。インド人風のターバンを巻いていて名前のようにミステリアス。彼は裸電球の上や割れたガラスの破片の上、剣の刃の上を裸足で歩きます。

ミスティクリーズ


ハンガリーのブタペスト出身の鉄あごのニコライは、象を乗せたトレーラーを口でロープを引っ張り動かします。時々口から血が出ていたりしたのを見たことがあって、ショーだとしても体を張っているんだなと感じました。

ニコライが象を乗せたトレーラーを口で引っ張る!


リングリングサーカスはファミリーエンターテイメントなので子供でも楽しめるショーです。こんなダークなサイドショーがテーマでもリングリングサーカスのクリエイティブチームにかかると明るく楽しいショーになってしまうところはすごいな〜と思いました。

続く。。。



書いたのは、

エリザベス

1990年CCJ2期卒業生。7年間日本でクラウンパフォーマンス後渡米。アメリカ、カナダで10年間クラウニングを続行。その後10年間マクドナルドのクラウン、ロナルドのアシスタントを務める。現在アメリカ在住。


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