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クラウン*ベスのアメリカ体験記 vol.16

本当に地上最大のショウ、リングリングサーカスに入団!
エリザベスが綴ります。


スティーブと私は、ホルスト氏と正式に3月からブルーユニットのクラウンとして契約しました。
リングリングサーカスでは通常クラウンの契約は1年ごと。今回私達の契約はこのツアーが終わる11月の下旬までです。このショーは前の年にスタートし私達が入団するのは2年目のツアー。今回やめていくクラウン達がまだいる間にその穴を私達が新しいメンバーが引き継いで埋めていくことになります。11月の終わりにツアーは終わり、来年引き続き契約できたなら新しいショーのリハーサルが12月から始まり約1ヶ月後には1年目のツアーがスタートします。
早速キャンピングカーは売りに出すことにします。出発は引っ越し用の小型トラックをレンタルしクラウニング用具、生活用品、犬達用の必需品などを詰め込み準備完了。スティーブのお母さん、スーと次に会うのは11月。今回は私達の知らないサーカスではなく、よく知られたリングリングサーカスでの契約なのでスーは少しホッとしています。でも約8ヶ月間のお別れ。元気でいてね、いつでも連絡してね、と涙のハグ。犬達をトラックに乗せ私達が入団することになっている初場所ワシントンDCへ出発!

ワシントンDCはスーの家から車で約7時間かかります。金曜日の昼前に出発してゆっくり時間をかけてワシントンDC近辺のバージニア州の都市までドライブ。その晩1泊し翌日はワシントンDC内に停泊しているサーカス列車へ直行する予定。
リングリングサーカスのサーカス列車はTrain Yard と呼ばれるところに停車します。Train Yard は日本語で「車両基地」。辞書では、車両基地とは、車両とエンジンの保管と管理のための線路ネットワークを持つ場所、と説明されていますが、要は、列車やエンジンを何車両も停車できるように広い敷地に何連にも重なって線路が敷いてある車両の保管所。ワシントンDC公演では、アナコスティア公園の近くにあるTrain Yard。公園の近くには貧しい市民が住んでいると見られるアパートが幾つもあり、そこを過ぎると線路が見えてきます。線路に沿ってドライブを続けると雑草だらけの殺風景な場所を通過して大きく広がったTrain Yardに到着。一般の住民は絶対にこんなところをドライブしないだろうな、と思えるほど人気もなく人の手も触れていないような荒地のような雰囲気です。
そしてそこにはサーカストレインが何連にも重なり停車されていました。うわー、ここに住むんだー。早速トラックから降りてトレインマスターを探しに行くと、作業着を着たフレンドリーな男性が笑顔で近寄ってきました。「僕がトレインマスターのミッコです。君たちクラウンが今日来ることはわかっているので部屋を案内するよ」と言われました。私達もお互いに自己紹介をしてミッコの後についていきました。
スティーブが1988年にブルーユニットにいた時は、独身だったので他の独身のクラウン達専用車両(俗名クラウンカー)でした。その時の一人部屋の大きさとは、大人一人が寝られるだけの寝台車用の幅のベッドと大人一人がベッドの前に立てる幅があっただけ。そして二人のクラウンが一つの小さな冷蔵庫をシェアしていたそうです。
今回私達は夫婦なので独身用の部屋を2つもらえるのか大きめの部屋を一部屋もらえるのかわかりませんでした。ミッコは「この列車はクラウンカーです。ボスクラウン以外のクラウンは皆ここに住んでいます。」と言いました。入り口を入るとキッチンがあり、その奥には通路がありドアが幾つも連なって見えます。」あ、狭そう。ミッコは続けて、「そして隣の列車は、バンドカー。サーカスバンドのメンバーが住んでいます。」入り口を入ると上下に重なった洗濯機があり、奥にはドアが幾つか見えます。が、一部屋の大きさがクラウンカーより大きい。独身のバンドメンバーは独身のクラウンより大きい部屋に住んでいるんだ。ミッコは「君たちの部屋はこのバンドカーです。」ドアを開けると右手にはベッド。幅はシングルベッドほどですが長さが短い。ベッドの下には収納用のスペースがある。左手には小さい流しと電気のコンロ、小さい冷蔵庫。畳で言うと2畳くらい?それにしても、せ、ま、い、こんなところにホントに大人二人と犬が2匹住めるのだろうか?と不安を抱きながらトラックの荷物を運び、生活用品や衣類などを部屋に運びます。生活用品などを収納している時間がないので、物でいっぱいのベッドを後にして、いよいよサーカス公演会場、MCIセンター(現在はCapital One Arena)に向かいます。


ルーシーとサーカス列車
列車の部屋でウトウトするグロックと私


続く。。。



書いたのは、

エリザベス

1990年CCJ2期卒業生。7年間日本でクラウンパフォーマンス後渡米。アメリカ、カナダで10年間クラウニングを続行。その後10年間マクドナルドのクラウン、ロナルドのアシスタントを務める。現在アメリカ在住。


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