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自己紹介/20歳で社長② 悲劇編

自己紹介/20歳で社長①」からだいぶ時間が空いてしまいました。今日のnoteはその続きです。

前回は、私が福祉事業所の支援者として就職したころは、「先生」と呼ばれるのが一般的で、私は、それが嫌で、「先生じゃないよ」と言ったところ、ある利用者が「じゃ、社長だよ」と言い、そのまま「社長」と呼ばれるようになったといういきさつを書きました。また、その最後は、「悲劇の始まり」と結んでいます。今日は、その悲劇です。

「社長」が一般的になりました

私は、着任早々「社長」になってしまい、利用者の皆さんはじめ、ご家族、ボランティアさんまで、皆さんから「社長!」と呼ばれるようになりました。最初の内は「社長!」と呼ばれることに恥ずかしさもありました。しかし、それもすぐに慣れ、事業所の中では、全く問題がありませんでした。ところが、外に出かけると恥ずかしいことがありました

当時の事業所は、とても小さな事業所でした。そのため、何か理由をつけて頻繁に外に出ました。たとえば、毎日の給食材料を買いに近くのスーパーに行ったり、ATMで日々の活動で使うお金をおろしたり、銀行に行くこともありました。また、月に一度くらいは、バスや地下鉄を利用する外出行事がありました。悲劇は、事業所の外で起こりました

街中で「社長!」と呼ばれると…

利用している人の中には、突然、大きな声で支援者を呼び、そこに自分の欲求や行動を連ねることがあります。たとえば「先生ー、おなかすいた」「先生ー、おしっこ」という具合です。これが「先生」であれば、周囲の人は驚きません。これを「先生」をではなく、「社長」に置き換えてみてください。

スーパーの中で、突然、遠くから大きな声で「社長ー、おなかすいた」「社長ー、おしっこ」と連呼されたら皆さん驚いて、振り向きます。日々買物をしていた大手のスーパーではすっかり有名になり、店員さんからも「社長!」と呼ばれるようになりました。

「お若いのに…」

ある日、一番最初に私のことを「社長」と呼んでくれた利用者が、腰の手術で入院をしました。その利用者は、病院の同室の皆さんに、私が見舞いに来ることを伝えたようで、その伝え方が「今日、社長が来るんだよ」と言ったそうです。そこに登場したのは、二十歳そこそこの若造でした。病院の同室の方からは、「あら、お若い社長さんね」とか「お若いのに社長さんって立派ね」などと、真剣に言われてしまいました。大きな勘違いでした。

当時の私は、一番下っ端の職員です。事業所の旅行のときも大変でした。露天風呂で、大きな声で「社長ー」と呼ばれれば、返事をしないわけにいきません。小さな声で「ここ」って手を挙げました。また、宴会場では、事業所の代表を差し置いて上座に案内されてしまいました。代表も笑って、私をそのまま上座に座らさせるし、恥ずかしいことがいっぱいありました。

しかし悲劇は、あらたな局面を迎えます。(つづく)


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