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2019年観劇まとめ

 2019年も本日で終わり。
 今年観た演劇作品は46作品61公演。
 去年よりはミュージカル系を控えたけれど、好きな劇団が増えてしまったので、結局今年観劇数は去年とたいして変わらずでした。
 大体1ヶ月3~4作品なので、年間100以上観るというツワモノが多い観劇界(そんな世界があるかは知らない(笑))では、ごくごく普通ですね 💦
 
 今年の観劇を振り返り、個人的ベスト5を。(初見作品限定)

パラドックス定数『トロンプ・ルイユ』
 昨年観に行った『蛇と天秤』で野木萌葱さんの発想と緻密な脚本に衝撃を受け、この作品も楽しみにしていたのですが、こちらは更に凄かった。地方競馬の人と馬の話なのだけれど、文字通り人馬一体(笑)。一歩間違うとギャグになるあの演出とがっぷり四つした役者さんたちにも脱帽です。
 野木さんの作品は『Das Orchestra』『骨と十字架』、そして『トロンプ・ルイユ』と最後まで悩んだ『三億円事件』(とにかく役者さん達が半端なかった。昭和の捜査本部がそこにあった)と、どれも好みで来年も楽しみ😁

・カクシンハン『薔薇戦争(リチャード三世/ヘンリー六世三部作)』
 観たのはリチャード→ヘンリー六世の順で上演する逆薔薇ver.。風姿花伝で7時間半超えの上演とは観るほうも演る方も正気の沙汰じゃない(笑)と思ったけれど、終わってみたらあっという間。
 猥雑なのにスタイリッシュ、そして古典なのにエキサイティング。
 一時間に纏められ、しかも男同士(おまけにジュリエットがヒゲ顔w)『ロミオとジュリエット in Tokyo』。
 キャピュレットとモンタギューの争いを現代のフクシマや地下鉄サリンなどの社会問題に絡め、朗読劇ながらとんでもない完成度だった『海辺のロミオとジュリエット』。
 来年もカクシンハンから目が離せません。

・新国立ことぜんシリーズ『どん底』
 『タージマハルの衛兵』と悩んだけれど、ことぜんシリーズでどれか?と考えてこちらを。
 暗い・重い・名前がややこしいetc.と挙げればいくらでも悪口(笑)言えちゃうロシアの戯曲。多分『タージマハルー』と通し券じゃなければ観に行かなかったであろうこの作品でしたが、とにかく演出が秀逸。
 文学座の五戸真理絵さんの演出の作品、来年観れたらいいなぁ。

・『キネマと恋人』
 2016年の初演時、めちゃくちゃ周囲の評判よかったのですがチケットとれなくて……。やっと念願かなって観ることができました。
 私の持つちょっと捻くれた(ほめ言葉)感性を持ってるKERAさんというイメージとは違って、ストレートに可愛くて楽しくて、でもちょっと切ない作品。いまだにこの作品を思い出すと、緒川たまきさんのあの架空の方言「バリンコ」「ごめんちゃい」が頭に浮かびます。
 そして映像が凄い。某回る劇場での芝居のように映像を多様した演劇って好みではないけれど、あそこまで凄いプロジェクションマッピングだと圧巻ですね。
 だけど個人的には映像の凄さより、人力で紐を使った視覚効果による空間演出に目から鱗が落ちました。映画やテレビなど映像作品ではよく見る、主人公がショックを受けて部屋がグラリと歪む演出を舞台で見るとは思わなかったなぁ。
 残念ながら『ドクターホフマン-』の脚本は趣味ではなかったけれど、それでもあの”人と映像の絶妙な融合”は唯一無二だなぁと。

・DULL-COLORED POP『マクベス』
 マクベスはメタルマクベスで、シェイクスピアはカクシンハンとシェイクスピアカンパニー(東北弁でシェイクスピアを演じる劇団)で。それぞれ衝撃を受け、これ以上はなかなかないかと思ったらそんなことなかった(笑)。
 ここまで崩してもシェイクスピア。
 生き残るマクベス。閣議決定で自分の罪はなかったというマクベス。ラストの改変はつい笑ってしまいましたが、笑ったあと背筋が寒く……。
 私、右左とかどこを支持しているとか全くないので(どこになってもカネが流れるのは変わらないと経験上)、あまり政治的イデオロギーが強い芝居は好みではないけれど、この仕掛けには参りました。
 写真燃やすとか茶化すような人形作るとかではなく、これが表現としての風刺だよなぁと。
 それはさておき、この作品は女性陣がめちゃめちゃ格好よかった。魔女たちもマクベス夫人も。歌が離れないのは私だけじゃないはず。


 うー、頑張って絞ったけれど

・モダンスイマーズ『ビューティフルワールド』
 (あの値段で観てごめんなさいって思ったくらい楽しんだ)
・イキウメ『獣の柱』
 (大掛かりなセットもなく、役者の演技だけであのSF感を出せるの凄い)
・『終わりのない』
 (ゴーカイブルーで棒だと思っていた山田裕貴君の成長を見た)
・劇団AUN『一尺四方の聖域』
 (芝居の土台がきちっとしているAUNだからこその音楽劇)
・劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』
 (再演時に観ているので今回は除外したけれど、その縛りがなかったらベスト5に入れたと思う。それくらい今回演出も演技もブラッシュアップされていた)
・『毛皮のマリー』
 (のぐち和美さんの怪女優っぷりがすさまじい。個人的にはラ・ママver.のほうが好み)
・『りさ子のガチ恋♡俳優沼』
 (現代のホラー。ガチ恋勢ではありませんが、オタなので色々グサグサきました💧)
・『埒もなく汚れなく』
 (劇チョコの西尾友樹さんのお芝居の幅の広さを改めて)
・『山の声』
 (遭難した二人に降り積もる雪に涙。ただあの量の紙吹雪の雪は掃除大変そう(笑))
・『愛と悲しみのシャーロックホームズ』
 (三谷作品と横田栄司さんの意外な相性のよさにびっくりした)

も捨てがたく……。
 ってかほぼ僅差。演出が際立って好みだった作品をベストに選んだだけですね。

 来年はちょっと会社的に景気がどーんと冷え込みそうなので、観劇予算はボーナス頼みな自分は今年よりも控え目になりそうですが、それでも素晴らしい作品と出会えますように。

<2019年観劇リスト>
【1月】
 『トロンプルイユ』、『ラブ・ネバー・ダイ』×2
【2月】
 『拝啓、衆議院議長様』、『プラートノフ』、『ヘンリー五世』、『ドキュメンタリー』
【3月】
 『毛皮のマリー・オリジナルver./ラ・ママver.』、『Das Orchestra』、『BLUE/ORANGE』
【4月】
 『レ・ミゼラブル』、『りさ子のガチ恋俳優沼』
【5月】
 『レ・ミゼラブル』×2、『獣の柱』、『埒もなく汚れなく』、『山の声』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』×3
【6月】
 『ジーザス・クライスト=スーパースター』×4、『オレステイア』、『2.8次元』、『キネマと恋人』、『ビューティフルワールド』
【7月】
 『ジーザス・クライスト=スーパースター』×2、『ドライビング・Missデイジー』、『ビビを見た』、『骨と十字架』、『MOTHERS AND SONS~母と息子~』
【8月】
 『薔薇戦争(リチャード三世/ヘンリー六世三部作)』、『エリザベート』、『百枚目の写真~一銭五厘たちの横丁』
【9月】
 『愛と悲しみのシャーロックホームズ』
【10月】
 『治天ノ君』×3、『終夜』、『ロミオとジュリエット in Tokyo』、『ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート』、『渦が森団地の眠れない子たち』、『三億円事件』、『ビニールの城』、『どん底』、『調和と服毒』、『ノート』
【11月】
 『終わりのない』、『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』、『あの出来事』、『一尺四方の聖域』
【12月】
 『ロミオとジュリエット in Tokyo』、『タージマハルの衛兵』、『海辺のロミオとジュリエット』、『常陸坊海尊』、『マクベス(DULL-COLORED POP)』

※基本的に同じ作品を期間中何度も観ることはしないのだけれど、JCSだけ突出して回数が多いのは推し役者(高井治さん)が出てるからちょっと特別です(笑)。

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