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開発組織で大切にしていること

こんにちは。Cloudbase CTOの宮川です!
この記事では、私がCTOとして開発組織について考えていることをお伝えします。

宮川 竜太朗(みやがわ りょうたろう)
Cloudbase株式会社 CTO

京都大学卒業後、サイバーエージェントに入社。広告系プロダクトのバックエンドエンジニアとして開発に取り組む。2022年3月よりCloudbaseにジョイン。現在はCTOとして開発組織を統括し、マネジメントや技術戦略、採用などを担当。

開発組織のミッション

開発組織のミッションは「限られた予算の中でアウトカムの速度を最大化すること」です。
大前提として、投資家からお金を預かって会社を営んでいる以上、事業を急成長させることが至上命題です。その事業を急成長させる重要なレバーの一つに弊社ではプロダクトがあり、プロダクトの提供価値(=アウトカム)をいかに継続して大きくしていけるか、が重要になります。
無限にお金を使用して良い訳ではなく、事業の成長に応じて適切にリソースを配分していく必要があるので、「限られた予算の中で」最大化していくことが求められます。

大前提として、「いい人を採用すること」や「メンバーが成長できる環境を作ること」は手段であり目的にしてはいけません。(もちろんこれらの手段は健全な組織を運営していく上で、多くの状況で有効な手段ではありますが)

開発組織のミッションを達成するために重要なこと

前述の開発組織のミッションを達成するために下記3つのポイントを大事にしています。

  1. 筋肉質な組織

  2. チャレンジできる環境

  3. ICが適切に評価される組織

1. 筋肉質な組織

とにかく人員を拡大すればokということではなく、常に必要十分な人数を模索し、現メンバーの生産性にも向き合っていくことが大事であるという思想です。(もちろん一人の人間にできることは限られているため、採用はとても大切で重要なファクターであり、最大限コミットして進めています。)
そのために「人員計画の精緻化」と「生産性への投資」を進めていく想定です。

〈人員計画の精緻化〉
シリーズAの調達の時点から、常にエンジニアが何名必要なのか、1年後にはどのような組織にしていきたいのかについて議論をし続けています。直近は経営企画のメンバーも加入し、二人三脚で向き合っています。
当たり前の内容も多いのですが、下記のような内容を四半期から半期ほどのスパンで振り返りとブラッシュアップを行っています。

  • ミニマムで保守運用のみを実施するとした場合に何名必要か

  • 営業戦略と照らし合わせた際に妥当なチームの規模であるかどうか

  • 雇用形態の多様化

ミニマムで保守運用のみを実施するとした場合に何名必要か
最低限の運用をするために必要な人員を把握することで、攻めるための投資を割合を明確にしています。この指標がないと、採用人数の根拠が曖昧になってしまうためです。

営業戦略と照らし合わせた際に妥当なチームの規模であるかどうか
上述の「攻めるための投資」に対する攻守の最適化を検討しています。また正社員を採用するということは、その組織規模で新機能開発や改善を繰り返していくという意思になるので、常に人員過多になっていないかという点に着目しています。投資を続けることが難しい場合には、開発速度を遅めたりスポットで開発工数を確保したり、時には営業戦略へフィードバックすることで、組織を担保しています。

雇用形態の多様化
今後、一定数の正社員以外の方を採用することで、事業状況の変化に柔軟に対応し、メンバーが長く活躍できる環境を作っていきたいと考えています。

〈開発生産性〉
生産性と一言に言っても、やるべきことはたくさんあります。もちろん、出来ることには何でも取り組むことで生産性を高めていきたいのですが、特に開発プロセス以外の生産性についても重要視していきたいと考えています。
具体的に考えていることは下記3つです。現在の在籍メンバーで最大の価値を生み出すにはどうすればいいかを常に模索するように心がけています。

  • 開発プロセス・開発者体験への投資(一般的な生産性)

  • マネジメント層の育成への投資

  • デザインへの投資

開発プロセス・開発者体験への投資(一般的な生産性)
多くの開発生産性への投資と同様に、持続可能なシステムの成長や継続的なデリバリーを可能にするために一定の工数への投資を続けています。
具体的にはGitHub CopilotのようなLLMによる開発支援ツールを積極的に導入したり、最適なアーキテクチャ・チーム構成について常に議論をしています。
この辺りの詳細は別記事にてご紹介します。

マネジメント層の育成への投資
仕組みの部分だけでなく、「人」にもきちんと向き合うことを大事にしています。
次の項の”2.チャレンジできる環境”へも関与しますが、現メンバーやこれから新しくJoinするメンバーが成長してより大きな事業インパクトを生み出すために必要な点を重要視しています。
我流のマネジメントではどこかで破綻してしまう危険性があると考えており、多くの事例を熟知している専門家からの客観的なインプットを取り入れることにも重きを置いています。そんな背景からMomentorの坂井風太さんにご協力いただき、現在マネジメントを担っているメンバーや今後マネジメントを担う可能性があるメンバーを対象にマネジメント研修を実施しています。

デザインへの投資
デザイナーの介入を減らし、デザイナー以外のメンバーがデザインを自律的に提案できる環境を整備するため、イネーブルメントに力を入れています。
デザインシステムの構築や、デザイン・Figmaの関係メンバーへのインプットなどへの投資はすでに開始しており、デザイナーがより抽象度や難易度の高い課題にチャレンジできる環境を整えることで、デザイン組織に関わらず生産性の高い組織にしていきたいと考えています。

2. チャレンジできる環境

チャレンジできる組織を実現する上で重要にしているポイントは以下の2つです。

  • 経験豊富な人材で固めることがゴールではない

  • 任せる文化

経験豊富な人材で固めることがゴールではない
組織を構築する際には、初めから完成形を目指すのではなく、既存のメンバーが組織の拡大に応じていろいろなロールにチャレンジできる環境作りを大切にしていきたいと考えています。
一方で、豊富なご経験や高いスキルを持っている方も、今後の組織にとって重要なピースになると考えています。チャレンジしたいメンバーの成長を後押しするようなリーダーシップやマネジメントをお任せしていきたいですし、ご本人にとってもチャレンジングな課題をお渡ししていきたいと考えています。
このように考える背景として、早期からJoinしてくれているメンバーはもちろん、これから一員となってくださるメンバーを含めた全員が、活躍してキャリアを伸ばしていけるような組織にしていきたいという想いがあります。
その先に仮にCloudbaseを卒業する未来があれば、Cloudbaseでの経験を糧に次のスタートアップを牽引する存在になって欲しいと思っています。そのためには、チャレンジしたいメンバーがチャレンジできる環境の中で成長していくことが重要だと思っています。
キャリアを描くことができることで離職率の低下につながったり、強い絆で結ばれて「自分たちならできる」という強い組織効力感に繋がることでモチベーションの源泉になったり、採用のミスマッチが少なくなることで採用によるハレーションを最小化するなど、多くのメリットが享受できると考えています。

任せる文化
皆にチャレンジしてもらうために、積極的に権限委譲を実施しています。
私自身がCTOとしての経歴が全くない中で挑戦を続けていることもあり、自分で全てを行うよりも他のメンバーにどんどんチャレンジしてもらうことが事業成長につながると考えていることが理由です。
これまでも、PdM、EMと未経験のメンバーへ移譲して立ち上げてもらいました。今後もその流れは続けたいですし、加速していきたいと思っています。

さらに言及すると、チャレンジさせてもらったからこそ成長できたということは私自身が一番実感しているので、他のメンバーにも同じようにどんどん成長していってほしいと思っています。
また「丸投げ」ではなく「任せる」ことを意識していて、最終的な責任は自分が負う覚悟を常に持っています。
一方で、「責任を負う=介入する」という意味ではありません。任せたメンバーが自分で意思決定して結果を得るという一連の流れからフィードバックを得ることに意味がある持っているので、時には我慢して行末を見守ることもあります。
結果失敗になってしまった場合には、私が介入してなんとかすれば良いですし、思いもよらぬ良い結果につながれば紛れもなくチャレンジしたメンバーの成果です。
このように、日々メンバーへ任せることを増やしてきました。
私自身も任せることにはまだまだ手探りな状態なので、マネジメント研修や振り返りなどを通じて貪欲に探求していきたいと思っています。

この「任せる文化」を形作っていくために「事業目線を無視してやりたいことはありますか?」と1on1で聞いたりもしています。事業へ目が向くことは良いことですが、一方で個人のwillも大事にすることが中長期的にパフォーマンスを発揮する上では重要だと考えています。

3. ICが適切に評価される組織

IC(Individual Contributor: マネージャーではなくプレイヤーとしてのキャリア)を構築し、きちんとそのキャリアで高い評価を得ているメンバーがいる状態を作りたいと思っています。
日本では意識しないとマネージャーにすべてを期待するような状況になってしまうことが多いように感じていて、高いレイヤーはどうしてもマネジメント層が多い印象です。(もちろんそうでない事例も増えてきていると思いますが)

また、マネージャーとプレイヤーを行き来できるようなキャリアを作っていきたいと考えています。ICであっても人と向き合ったり人を巻き込んだりする力が重要であることから、マネージャーを経験したメンバーが再びプレイヤーに戻ることもできるようにしたいと思っています。
マネージャーが固定化されることでチャレンジしたいメンバーがチャレンジできなかったり、マネージャーがプレイヤーに戻りたいのに戻れなくて転職をしてしまっているケースを見かけるので、そのような不幸をなくしてパフォーマンスの高い組織にしていきたいです。
これはエンジニアに限らず、デザイナーへも同様の視点で考えています。特にデザイナーはデザインマネージャーになることがキャリアのゴールのように語られることが多いと思うので、プレイヤーで高い評価を得ているロールモデルの輩出を目指していきたいです。

今後の野望

今後の野望は「Cloudbaseマフィア」の創出です。仮に開発組織の現メンバーが成長して卒業し、次のチャレンジへ向かう際にはCTO/CDOなどの重要なポジションについてほしいということです。(もちろん可能な限りCloudbaseで一緒に事業を伸ばしていきたいですが、、!)
ここで急に弊社のミッションの話になるのですが、弊社では「日本企業が世界を変える時代をつくる。」というミッションのもと日々会社を営んでいます。

事業上の「日本企業」のターゲットは、Cloudbaseのサービスを利用してくださっているお客様のことです。
一方で、Cloudbaseを通じて新たなCTOなどが増えることは、スタートアップエコシステムが発展することに繋がります。
そしてこの次なるスタートアップはまさに「日本企業」に当たる可能性がありますし、オープンイノベーションが発展して大企業によるM&Aなどにつながる可能性もあると思います。
様々な方面から「日本企業が世界を変える時代をつくる。」ことにコミットしていくことがCloudbaseに使命です。
このあたりはまさに代表も同じ想いを持っており、SOの制度にも反映されています。

将来を見据えて不足しているロール

ここまで組織について考えていることを共有してきましたが、最後に不足しているロールについてお話します。
結論、まだまだどのロールも足りていません!

具体的には、プレイヤーとして手を動かしつつ、今後いろいろなことにチャレンジしていくメンバーが何より必要です。
さらにその先のキャリアにある、EM(Engineering Manager)や技術・プロダクトをリードしていくロールのメンバーも必要です。
まだまだ、組織としてチャレンジしていきたいことが山のようにあり、同時に、チャレンジいただけるロールも沢山あります。
これまでのご経験を活かし、より良い組織、プロダクトを作ることに挑戦したい方。ぜひ、私と一緒にCloudbaseのイネーブルメントやエンハンスをに一緒にチャレンジしましょう!


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