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乳化とは?|乳化すると私たちにどんないいことがあるのですか?

わたしたちの身の周りには、乳化が用いられている商品が沢山あることをご存じですか?
乳化は、日用品・食品・化粧品をはじめ、多くの商品にとってもはや欠かすことのできない技術になっています。
今回は乳化がわたしたちの生活にどのように関わっているのかについて投稿したいと思います。

図3

乳化とは?

乳化(エマルション)とは、油や水分のように本来混ざり合わないものが均一に混ざり合う状態のことを指します。

ドレッシングなどで、油と水分が分離している状態をよく見ますね、激しく容器を振るとしばらく混ざり合う状態にすることがでます。この状態を「乳化」と呼びます。

しかし、しばらくすると両者は再び分離して、2層に分かれてしまうでしょう。これが「水と油」が異質で溶け合わないことの例えで、「気が合わず、反発し合って仲が悪いこと。」 という意味に使われる由来とされています。

なぜ、このように性質が合わず、しっくり調和しない「油と水」を混ぜた商品がたくさんあるのでしょうね?

油と水を混ぜるだけで生活が変わる?

「油と水」は言葉の由来のとおり全く性質が異なります。
油の性質を表す表現としては、
 ・脂っこい
 ・べとべと、ぬるぬる
 ・つるつる、すべすべ
 ・乾きにくい
 ・しっとり
また、水の性質を表す表現としては、
 ・水っぽい
 ・さらさら
 ・すっきき、さっぱり
 ・乾きやすい
 ・かさかさ、ばさばさ
のように相反した性質ですが、これらを混ざ合わせることで
 ・しっとりして、さらさらな化粧品
 ・しっとりしているけど、べとつかないクリーム
 ・油が入っているのに、飲みやすい牛乳
 ・さらさらして、つるつるなリンス・イン・シャンプーイン

という油だけでも、水だけでも得られない新しい性質や性能が生まれ、わたしたちの生活を豊かに、便利にする製品がたくさん生まれているのです。

図4

料理の世界の乳化について

料理の世界でも油とだし汁の旨味を融合させ油系や水系だけでは作れない新しい味や食感を作り出し、わたしたちの食生活を豊かにしてくれています。

その代表例を4つ紹介しますね!乳化が面白くなると思います。

図5

マヨネーズ:我々が食べているマヨネーズの美味しさは乳化が貢献しています。例えば、マヨネーズと同じ配分で、酢、油、卵黄、調味料を混ぜて直接サラダにかけても、あのおいしさと食感は実現しません。

酢と卵黄、調味料の中に油を少量づつ加え混ぜることで乳化状態になり、あのクリーミーさと美味しさが実現するのです。

卵黄に含まれているレシチンが乳化剤として働き乳化するそうです。

ペペロンチーノ:乳化が味の決ま手とされる料理で有名ですよね、パスタの茹で汁に含まれるでんぷんやタンパク質によりオーリーブオイルと茹で汁が乳化されます。

その結果、パスタとソースがよく絡むようになり、乳化させることで油っぽさがなくなり、口当たりがまろやかになるそうです。

スープが白い博多の豚骨ラーメン:豚の骨や皮に含まれるコラーゲンが熱を加えられてゼラチンとなり、グラグラと煮立たせられることでかき混ぜられ、ゼラチンが乳化剤となって脂分を包み込み、スープに混ざり合って白く濁ったスープになります。

この乳化により麺との絡みが良くなり、旨味を増した絶品のスープになるそうです。

チャーハン:子供の頃、家庭で作るチャーハンと中華料理店で食べるものが全く違うのは何故かと思っていました。

プロが作るチャーハンはふんわりパラパラで、なぜか油っこくなく、家庭の味とは一味も二味も違うものでした。 おいしさの秘密は、ごはん粒の周りが卵でコーティングされていることだったのです。 

さらに、その卵のコーティング層の中には、油が小さな粒子となって分散されたまま、封じ込められているそうです。 

乳化剤の働きをなす卵が加熱によって変質してしまう前に、ごはん粒の水分と油を結び付け乳化状態を作るのがプロのテクニックだどうです。

乳化剤(界面活性剤)とは?

繰り返しになりますが、一般的に、油と水は混じりにくいものの代表といわれ、これを均一に分散することを乳化といいます。

この油と水を繋ぐ(仲良くさせる)性質を持っているのが乳化剤です。

乳化剤にはさまざまな種類があります。界面活性剤は化粧品や洗剤の表記に使われているものです。食品に添加されている乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステル・ショ糖脂肪酸エステル・ステアリン酸カルシウムなどが挙げられます。

天然由来の乳化剤では、チョコレートやマヨネーズなどの食品に使用されているレシチンです。レシチンは大豆や卵黄から作られています。

乳化のプロセス(乳化方法)

製造工場や研究機関で行う乳化のプロセスを簡単に下図で説明します。

料理と同じように油系原料水系原料の混合物に乳化剤(界面活性剤)を加え機械(乳化装置)で混ぜることで乳化させています。

最適な乳化剤と乳化装置の選定、混ぜる割合・プロセス(順序・条件)が乳化により新たな性質や性能を生み出す各社のノウハウと言えます。

図6

乳化剤(界面活性剤)使わない乳化!

ここまで紹介してきた日用品・食品・化粧品をはじめ、多くの乳化を使った商品にとってもはや乳化剤(界面活性剤)は欠かすことのできない成分になっています。

しかし、冒頭で述べたように乳化の本来の目的は、油あるいは水だけでは得られない性質を作り出すことですから、乳化剤(界面活性剤)を添加することが目的ではありません。

特に近年は海洋プラスチックごみが大きな社会的問題になっているように、合成乳化剤(界面活性剤)による将来への予期せぬ健康や環境リスクの低減意識が高まっており、乳化剤(界面活性剤)を使わず乳化する技術開発が求められてくると考えています。

すなわち、乳化を用いた商品は我々の生活に大きなメリットを生み出しています。しかし、その一方で乳化を行うために多くの乳化剤が使われています。このジレンマがCLOSER開発の背景にありました。

【公式Twitterアカウント】

https://twitter.com/CLOSER_OKUTEC

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