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話題の「百年の孤独」を読んでみた

文庫化が話題を呼んだノーベル文学賞作家
ガブリエル・ガルシア=マルケスの
『百年の孤独』を最後まで読んだ。

率直な感想を言えば 
読まなきゃよかった・・・・😅

じゃあ途中でやめればよかったじゃないの
という声が聞こえそうだが、やめられないのだ。
そんな生半可な小説ではないのだ。
まるで中毒か魔法にかかったかのように
途中下車ができないようになってる
摩訶不思議な作風なのだ。

元々文学は結末が暗いものが多いので
あまり読んだことがないのに
今回はついうっかり話題性に釣られて
読んでしまったが最後、
この世界から抜けられなくなってしまったのだ。

そのうえ 悪夢まで見るようになって
読み終わらないと平穏な夢が戻ってこない
のではないかと思うほどである。

まず、心砕かれたのは 私が好むのと
真逆の世界だということ。
愛と喜び、心のつながり的要素は皆無だ。
だから そういった世界が好きな方は
この小説はお勧めしない。

それでも最後まで読んでしまったのは何故か?
それはパズル好きなソフィーが
複雑難解かつ早すぎる展開に
心を揺さぶられたからかもしれない・・・・

まず この小説を数ページ読んだだけで
普通の小説とは違うとすぐ気づくはずだ。
誰かの視点で語られているわけでもなく
情景が浮かぶような作りにもなっていない。
語り部が思いつくままに ある一族の物語を
延々に語っていくスタイルである。

しかも噂話のように話があちこちに飛び
展開が目まぐるしく変わり、
様々な事件が目白押しに起こるのである。
また現実と幻想が入り混じったような内容なのに
違和感なく受け入れて読んでしまえる
不思議な魅力にも満ちていて
引き込まれずにはいられないのだ。

そして同じような登場人物の名前がずっと続く。
男ならアウレリャノとアルカディオ
女ならアマランタとレメディオス
二つの名前が生まれる子供達に代々
名付けられていくからだ。

付属の読み解き支援キットに載っている
家系図や解説を何度も見ては
理解がついてきているかを
チェックしなければならないほど
集中して読まないと、どの年代の
どの人のことを言ってるのか
すぐわからなくなってしまうのである。

そしてこの小説にあらすじを語る術はない。
そんな章立てたような物語ではないからだ。

ガブリエル・ガルシア=マルケス 百年の孤独と読み解き支援キット

結局この小説は何を言わんとしていたのか?

これは架空の物語であり、奇を衒った内容であること。
そして戦時中の時代背景が垣間見える、
1967年発行の昔の小説であることも重々承知の上で
私なりに受け取ったことを書いてみたいと思う。

生まれてから死んでいくまでの様々な
出来事の中で 誰とも分かち合わず、
思いを伝えることもなく
愛を知らない孤独な一族の100年に渡る物語。

なぜ外から見た視点だけで延々と語り続けられた
のかは、最後の最後にわかるのだが・・・
本当に驚くほどに目がまわる展開でもって
この一家にはありとあらゆる事件が起こる。

確かにそうなのだ 出来事は「ただ起こる」のだ
様々なことは誰の人生にでも起こる。
この小説のように外からの目線で
他人の人生を見たらば 当然ながら
起こった出来事でしか、その人を語れない。

どんな風にでも書ける勝者の歴史書のように
真実はわからない。
つまり当事者の目線でしか物語は存在しないのだ。

自分の人生は人に語らせるものではなく
誰かに尋ね歩くものでもない。
起こった出来事を自分の目線で
どのように受け止めていくのか?である。

たとえ、これが実話だったとしても
登場人物達の本当の思いは誰にもわからない。
本当に孤独だったのかも、わからない。

SNSなどの様々な噂や情報が
これまた目白押しな現代においても、
同じことではないだろうか?
その情報が真実かどうかは 
他人の憶測では測れない。
自分に起こったことでしかわからない。

要するに他人からみた人生など存在しないのだ。
1人1世界、自分の人生は
自分で自由に描くものなのだ。
つまり人生は自分の「ものの見方」で
どうにでもなるのだ。

読まなきゃよかった小説だったけど
私の中でこれだけの素晴らしい洞察が
得られたのであれば、天使が私に
選ばせてくれた一冊だったのかも知れない。

ソフィーママ


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