懺悔

貴方に何がわかる?僕の痛みなんてわからないだろう。ずっと砂漠に居た。

僕も砂漠に居た。向こうの方のね。君にはわからないだろう。わからないのは当たり前なんだ。僕と君は同じ様で、違う存在なんだから。

それなら何故、あのとき僕に声を掛けた?そのまま立ち去れば良かったんだ。無責任だ。友人のフリなんてするなよ。

君が気になったから声をかけた。ただそれだけだ。それ以上でも以下でも無い。友人ってなんだろうね。僕は君のことを大切に思っているよ。でも、成りたくても君にはなれない。僕らは他人なんだ。支え合う事しかできない存在なんだ。

その境界線はどこだ?僕は自分以上に貴方が大切だ。僕か貴方、どちらかしか生きられないなら、喜んで譲るよ。でもきっと、本当はそうではないから、こうやって貴方を傷つけているんだ。もう、ここでお別れにしよう。貴方は先に進んで、待ち人の所へ急ぐんだ。僕は進めない。

わかった  

彼はたった一言放ち、歩き始めた。僕と同じ距離を歩いてきたはずなのに、一歩一歩力強く進んだ。僕の体にはもう水分なんてあるはずもないのに、後悔の底に深い諦念を交えた、生温い雫が伝った。


輪廻。何回繰り返すのか。自分の罪には気づいている。愚かにも繰り返す。悪癖。懺悔。また僕は灼熱の中で一人、助けを待っている。愚かにも。