容疑者xの献身 東野圭吾

テンポが速くて、展開が早くて、物足りなかった。
長編を読みたい。
情報量が多いのとミステリー小説にも慣れていないのが要因となって、今のところ感想を持てていないのが本音だ。しかし初めて読んだ新鮮な気持ちをここに残しておきたい。

※センシティブな内容を含んでいます。全て個人の意見だとご理解くださる方のみ閲覧をお願い致します。

正義とはなにか
この作品が私に問いかけてきた。はっきり言ってしまおう。花岡靖子は富樫を殺して良かった。
人を殺めるという禁忌は、絶対的正義ではない。
ここで彼を殺していなかったとしても、
花岡母娘と富樫が本当の意味で救われる可能性は0に等しかっただろう。

ー 悪いだけの人なんていない ー
これは私の神様がくれた言葉だけれど、いつまでも理解できずにいる。
この言葉を体得するとき私は救われるのだろう。
大人はみんな子供だった。そういう意味で悪いのはその人ではないけれど、いくつもの歪みによって戻れなくなってしまったら、完全に黒になってしまったら、自害か殺害以外に道はない。

石神のようなシンプルな人間が好きだ。
だから読み終えたときは、彼が報われなかったことに対しての失望が押し寄せてきた。草薙に真相を明かした湯川にも、花岡靖子に対してもすごく腹が立った。弱い人間たちだ。もっとも、どんなに意思の強い人間であれ容易に一人で抱えられる問題ではないが。
彼が行った殺しは間違っている。物語は彼を許すべきじゃないのだろう。
どうか一輪の幸せを彼に。

追記
輝くものの実態を認識できない苦痛というものがある。
触れることができない悲しみというものがある。