プログラムを使う理由 ~ プログラムが魔法でないとわかればプログラマになれる 12
税込価格を計算するプログラムの解説
税込価格を計算するプログラムを説明する準備ができましたので一気に読み切ってしまいましょう。
let price = 100;
let tax = price * 0.08;
let total = price + tax;
alert(total);
1行目は 100 を price という名前で使えるようにする命令です。
2行目は * (アスタリスク)に注目してください。 * は掛け算の記号です。先に説明したように「price * 0.08」の計算がまず行われます。 price は 100 のことですから「100 * 0.08」を意味しています。計算結果は 8 となりますので 8 を tax として使えるようにする命令になります。
3行目にも計算の記号があります。 + です。「price + tax」が先に計算されます。 price は 100 で tax は 8 ですから「100 + 8」が計算されます。計算結果は 108 ですので total は 108 を指す名前ということになります。
4行目は total を alert() に入れていますので「108を画面に表示」という命令になります。4つの命令を組み合わせることで税込価格の計算を行うことができました。
さて、 let について今まで説明していませんので少しだけ触れておきます。知らない単語があると気持ち悪いという方もいると思いますので簡単に説明しますが、今のところ理解できなくても問題ありません。他の説明を進めてからの方が理解しやすいでしょう。
let price = 100;
このように名前の前に let とつけると「 price という名前を 今動かしているプログラムの中だけ で使えるようにする」という意味が付け加えられます。
それほど大きくないアプリでもプログラムは何百行、何千行となることがあります。何千行ものプログラムになると今まで名付けた名前を覚えておくのは大変です。そのため、プログラムには命令を少しずつ分けておき動かすときに合体させる仕組みがあります。例えばプログラムをAとBに分けた場合、プログラムAで名付けた名前をプログラムAの中でだけ使えるようにするのが let の役割です。プログラムAで price という名前を名付けて使っていても、プログラムBでは気にせず新たに price と名付けて使うことができます。もし let をつけていないと、プログラムAで名付けた名前と同じ名前をプログラムBで名付けることはできません。名前が被ってしまうからです。
なぜプログラムを使うのか
さて、今回のプログラムは確かに動くものではありますが役に立つものとは言えません。電卓アプリで計算する方がはるかに楽ですし、EXCELで数式を使う方がわかりやすいでしょう。なぜかというとこのプログラムは人間の手作業に比べて優れているところがないからです。
プログラムは得意なことが2つあります。1つは繰り返すことです。計算を1回するだけであれば電卓アプリの方が便利です。わざわざプログラムを書く必要はありません。ですが、1万回計算する場合はどうでしょうか。計算内容にもよりますがコンピュータに1万回計算させても1秒とかからないでしょう。人間が電卓アプリを使って1万回計算するのとは比較にならないほど速く計算することができます。
もう1つ得意なことは条件によって作業内容を変えることです。例えば、60点以上であれば合格、59点以下であれば不合格と文字を入れたいとします。10件程度であれば人の手でやっても良いでしょう。ですが、これも1万件あったらどうでしょうか。前述のように繰り返しはコンピュータが速いということもありますが、数が多いと人間はミスをします。対してコンピュータはミスをしません。もちろんプログラムが間違っていれば正しく動きませんが、それは 時々誤った計算をしてしまうミス とは異なります。
今回のプログラムではまだ「繰り返し」も「条件による作業変更」も使っていません。これらを使えるようになるとプログラムがいかに便利なものであるか感じずにはいられないでしょう。
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