【マンガ感想】『恋じゃねえから①~⑤』渡辺ペコ

Kindle無料お試しラインナップでよく見かけたタイトルなんだけど、『1122』を読むまで食指がのびなかった作品。
しかし1巻を読んで、地味な話にもかかわらず胸をかきむしりたくなる感情が喚起されてしんどくなり、そのまま既刊全部読んでついでにコミックDAYSで最新話まで読んだ。

中学生女子と塾講師の恋が「それは正しかったのか?」と26年後に『世間』そして本人に判じられる。
当時の彼女にとっては『恋』だったはずだし、講師にとっても『恋』だった。
けれど、彼女の裸をモデルにした像を彼がアートとして世間に晒したとき、彼女の親友だった女、彼の妻、そして『世間』に波紋が起きる。

40歳になって再会しても親友の絆を取り戻せる縁と茜がほんとうにうらやましい。もちろん、ふたりも当初はたどたどしく、お互いどう接していいのか探り探りなところがある。
しかし縁と塾講師だった透の話が浮上したとたん、物語は転がっていく。犯罪映画なみ(いやちょっと犯罪したけど)の女同士の連帯は熱いものがある。アレをぶっ壊した瞬間、読んでいたこっちもすっきりした。

作中の無意識に女たちをすりつぶす男の描写がうまくて、ああーってなってしまった。茜はいい夫を選んだな、すごいな…。
そんな中、玄が癒しですね。玄は自分の外形にコンプレックスをおぼえて整形した覚悟ガンギマリ男のせいか、芯がすごくしっかりして見える。縁と恋愛じゃなくていいからずっと近くにいてあげてほしいな…。
渡辺先生はこういう男性の描き方がうまいな…スパダリぎりぎりでちゃんと人間くさい男。

そして今井先生はどうでもいいけど、妻とましろちゃんだけは幸いになれ。妻も言語が通じる女で賢い…好き。
最終巻とてもたのしみ。

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