《パイオニア》ミシック到達!(土地以外は)安くて面白いバントオーラ《ヒストリック》
1.はじめに
このnoteにアクセスしてくれてありがとうございます。時計と申します
スタンダードの期間延長、ドラフトブースターの廃止に新しいパック制度の発表とMTGにおけるプレイ環境、とりわけスタンダードは激動の時代となっています
そして現在のスタンダードの環境は白・黒を含んだミッドレンジ~多色コントロールを中心として、それらを狩る白・赤の高速アグロとトライオームを始めとした多色土地基盤による5色コントロールが幅を利かせるバトルロワイヤル状態
字面だけでは健全に見えますが、実のところはリリアナじゃんけんによるスタン特需も相まってトップTierにおいては空前の札束&パワー環境。とてもではありませんが過去に紹介した青単テンポでいきなり殴りこむには厳しいというのが実情です
さらにSNS上で話題になった国内外ショップのMTG撤退(及びそれに伴ういつもの論争)や構築戦よりも統率者推しの運営姿勢など、内外ともに波乱万丈かつ参入ハードル高めなのが今のMTGを取り巻く環境です(要するにいつものMTG)
しかし個人的にはやっぱりデッキを組んでタイマンやって、という構築戦が一番面白いし、カードゲームの十八番だと思っています。なので是非初心者や興味のある方には構築を遊んでもらいたいのです
なので今回はスタンダードほどの多様性消失もモダン含む下環境ほど魔境でもないパイオニアのデッキ、およびそれをMTGアリーナ上で再現したものを紹介します
愚痴っぽい話を長々と書いてしまいましたが、本題に入っていきましょう。よろしくおねがいします
2.デッキレシピ、各カード解説
白・青・緑の3色(以下バントカラー、バントと表記)で構成されたバントオーラです
闘い方は極めて単純、1~2マナの耐性持ちクリーチャーにオーラ呪文をつけて早急に相手を殴り倒す。以上です
その構成上、ビートというよりはコンボデッキ寄り。トップスピードは速いビートダウンも目じゃない程で最速キルターンは3ターン、平均しても3~4ターン目には大勢を決するデッキです
その分弱点も明確ですが、見方を変えればその分サイドボードでのそこを補いやすいということでもあります
良くも悪くも単純明快で初めてのデッキにもピッタリ。早速各カードの解説に移りましょう
・《気前のいい訪問者/Generous Visitor》
ネオ神河で登場した緑1マナ生物。上環境でもよく目にするため知っている人も多いのではないでしょうか
エンチャントを唱えるたびに+1/+1カウンターを対象に与えられる効果がとにかく強力。メインのエンチャントが全て味方の強化であるため、どんどんパワーが上がります
地味に「唱えるたび」というのも強力。打ち消しやスタックでの訪問者除去に対しても最低限の仕事はこなせます
またカウンターを置く対象は自分でも良いため1ターン目に出したこいつにオーラを付けて3ターンキル、なんてのも可能。遅いデッキ相手にはこのクリーチャーだけでほぼ勝ちまで持っていくこともザラ。攻守の要な強力カードです
・《毒茸の称賛者/Toadstool Admirer》または《林間隠れの斥候/Gladecover Scout》
エルドレインの森で登場したコモンクリーチャー。呪禁ではなく護法②持ち
本来はこの枠は呪禁持ちの《林間隠れの斥候/Gladecover Scout》の枠。パイオニアで組む場合はこちらを採用してください
では何故毒茸の称賛者を採用しているのかというと、記事執筆時点(2023/10)で斥候がアリーナ未実装だからです (指輪物語とかアルケミーとかやるリソースをパイオニア実装に回せは禁句)
一応4マナの自己強化能力が詰めに有効だったり、後述のサイバの暗号術師が刺さりやすくなるなど毒茸特有のメリットもあります。斥候自体少し値段がするカードでもあるので、こちらで組むのもアリです
・《サイバの暗号術師/Saiba Cryptomancer》
機械兵団の進軍で登場した青2マナクリーチャー。呪禁持ちかつ瞬速(インスタントタイミングで唱えられる)と賛助1(登場時に+1/+1カウンターを1個対象に付与)持ちで、さらに賛助の対象になったクリーチャーにターン終了時までの呪禁を付与します
パイオニアにおけるバントオーラ成立の立役者。軽量ながら自身もオーラの付与先となるのはモチロン、妨害を受けにくい瞬速と賛助による除去耐性付与と、バントオーラにおいて攻守全てに必要な要素が全部詰まっています
基本は相手が何らかのアクションを起こしてマナを使い切った後、エンドフェイズに出すか、相手の除去に対応して唱えて訪問者や後述のスラムを守るために使います
そのためキープ順位は最優先、マリガン後もデッキに戻すのはおすすめしません。このデッキほぼ唯一のテクニカルな要素なので、こいつをどう動かすかが戦術の基準です
・《上級建設官、スラム/Sram, Senior Edificer》
霊気紛争で登場した白2マナの伝説クリーチャー。オーラまたは装備品を唱えるたびにドローするというオーラデッキ御用達のカードで、過去には『スラムオーラ』という自身の名を冠した白黒デッキで一世を風靡しました
性質上手札消費の激しいオーラデッキにおける補給要員。搭載されているドロー効果付きオーラと合わせることでより強固かつ確実な手札補充を可能にしています
また、ドロータイミングが攻撃前になりやすいのもポイント。手札の状況が悪い時にも強気に動きやすくなります
とはいえこのカード自身は回避能力などを持っておらず、また伝説クリーチャーなので2体以上並べられないということで採用は2枚。コイツを主軸として動かすのはバントオーラでは難しいという印象です
以上が4種12枚のクリーチャーの紹介でした。次はデッキテーマとも言えるオーラの紹介です
・オーラ紹介前に
大前提として、このデッキは基本殴り合いになりやすいデッキです。また効果発動の条件に「相手にダメージを与えた時」があるオーラがあるためブロックにも弱いです
そのため、相手クリーチャーを乗り越える手段は必須です。そこでこのデッキではそれを先制攻撃、飛行、トランプルに担ってもらっています
以下の紹介では、その役割ごとに分けてオーラを紹介していきます
・《天上の鎧/Ethereal Armor》《結束のカルトーシュ/Cartouche of Solidarity》
まずは先制攻撃担当。天上の鎧はそれに加えて自身のコントロールするエンチャントの数の強化、結束のカルトーシュは警戒を持つ1/1のトークンを生み出します
天上の鎧の強力さは言わずもがな、オーラデッキにおいては付ければ付けるほど強化が増えていきます。極論鎧だけを付けていくとしても1枚で+1/1、2枚で+4/4、3枚で+9/9、4枚で+16/16という修正値になっていく強力なオーラです
結束のカルトーシュのトークン生成も弱点である布告除去への対策や追加の打点形成として役に立ちます。鎧と比較すると地味な印象がぬぐえませんが、縁の下の力持ちなカードです
天上の鎧はその爆発力を見込んで4枚、結束のカルトーシュは枠の都合で3枚採用です
・《グリフの加護/Gryff's Boon》《風と共に/One With the Wind》
続いて飛行担当。飛行という原点にして頂点の回避能力を与えます
グリフの加護はタフネス修正こそないものの、墓地から戦場に戻せるという強みがあります。4マナと重たいコストですが、長期戦に強くなるというのは明確なメリットと言えるでしょう
風と共には+2/2という修正値が魅力的。短期決戦を基本戦略としている以上、さっさと相手のライフを削りきることを第一としてこちらを採用しました
修正値が減った代わりに1ドローがついた《知識のカルトーシュ/Cartouche of Knowledge》も採用候補にありましたが、アリーナで回した際に1点足りない事態が多発しました。ドローに関してもすでに飽和気味なため、やはり風と共にの方をおすすめします
飛行が強いため2種とも4枚採用です
・《無鉄砲/Audacity》
トランプル担当。+2/0修正にトランプル付与、場から墓地に行く際に1ドロー。往年の名オーラ《怨恨/Rancor》の正統進化
使用感も怨恨と同じで攻めの基本となるカード。エンチャント先が除去されても最低保証があるため強気に使っていきましょう
とはいえやっぱり怨恨と違い、手札に戻るのではなく不確定なドローというのは一長一短。個人的には怨恨が欲しい時の方が多いです
まあ強力であることは確かなので4枚採用です
・《執着的探訪/Curious Obsession》《圧倒的洞察/Staggering Insight》
最後にドロー効果付きのオーラ。バントカラーにしたからこそ採用できたカードで、スラムを含めた手札補充を担っています
加えて、執着的探訪はその軽さとユーティリティな任意ドロー効果(何らかの理由でドローしたくない時はしなくてもいい)が、圧倒的洞察は絆魂によるライフゲインが魅力的。
どちらも殴り合いの補助や絡め手への対策として機能してくれます
注意点として、双方ともドローできる条件が「相手にダメージを与えるたび」であることは意識してください。飛行やトランプルと共に扱うとイイ感じです
執着的探訪は4枚。少し高いので《戦闘研究/Combat Research》で妥協したくなるかもしれませんが、このデッキではあまりおすすめしません。圧倒的洞察は事故要素になりかねないので3枚採用です
最後に土地基盤。こちらは妥協案も一緒に書いていきます
・《神聖なる泉/Hallowed Fountain》《寺院の庭/Temple Garden》《繁殖池/Breeding Pool》
2色土地基盤はショックランド。各4枚。バントカラー3C2の3種類。2点ダメージを受けてアンタップインかダメージ無しでタップインかを選べます
このデッキでは【基本土地タイプを持つ】ということはそこまで重要ではないので、この枠はペインランド(色マナを出す場合1点ダメージ)かファストランド(3つ以上の土地をコントロールしているとタップイン)でも大丈夫です
まあ現在どっちもスタンダード需要があるのでペイン・ファスト共に少しお高いのと、ショックランドはモダン・レガシーでも使える土地なので資産としては優良であるのでショックランドが一番おすすめです。一気に揃えなくても一部ペイン・ファストとかでも大丈夫です
・《スパーラの本部/Spara's Headquarters》
3色土地基盤。バントカラーのトライオーム。2枚
正直あると嬉しいけど別に無くても困りません。クソ高いですし無理して買う必要はありません
買わない場合は《斡旋屋一家の潜伏先/Brokers Hideout》を2枚入れましょう
・《平地/Plane》《島/Island》《森/Forest》
おなじみ基本土地。バントカラーを各2枚
《廃墟の地/Field of Ruin》による土地破壊で持ってこれるように最低限は確保しました
またノーデメリットでアンタップインできる土地でもあるので使い方と引き次第では消耗を抑えることにもつながります
沢山の絵柄があるのでこだわりを出しやすい部分。好きな絵柄で揃えるのも一興です
以上がメインボードでした。以下はテーブルトップやBO3を遊ぶ場合のサイドボードについて、またカードの採用理由にもつながるデッキの弱点について解説していきます
3.サイドボードと弱点
・《神聖の力線/Leyline of Sanctity》:布告除去・ハンデス・火力対策
プレイヤーに呪禁を付与するエンチャント。これによって自分は呪文や能力の対象にならなくなります。4枚採用
これによってハンデスは完全に無駄牌に、《ショック/Shock》のような火力はクリーチャーに撃つしかなくなり、それすらもサイバの暗号術師やオーラによる修正をかいくぐらないといけません。《シェオルドレッドの勅令/Sheoldred's Edict》のような「プレイヤーを対象とする」呪禁を貫く除去も意味をなさなくなります
また、これ自身もエンチャントであるため鎧のカウントの対象なのもポイント。無駄牌だらけで動けない相手をさっさと沈めましょう
・《歩哨の目/Sentinel's Eyes》《濃霧/Fog》:ビートダウン対策
歩哨の目は+1/1修正と警戒(攻撃に参加してもタップしない)を付与するオーラ、濃霧は唱えたターンの戦闘ダメージを軽減します
ここまでで何度か述べたように、このデッキは殴り合いのデッキです。その上、パイオニアは他のフォーマットに比べてかなりクリーチャーによるビートダウンが強い環境です
そこで輝くのがこれらのカード。ビートダウン特有の防御がら空きという状況を無くして防御を高めると共にP/T修正で越えられない壁を作り出す歩哨の目。そして濃霧で相手の攻撃を事実上無効化、すなわちビートミラーにおいては相手のターンを1回スキップさせたのに等しいアドバンテージにつながります
ただ、濃霧は「ダメージの軽減」であるため《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》の出来事や《頭蓋割り/Skullcrack》をスタックで唱えられると普通にダメージを受けてしまう弱点があるので気を付けましょう
歩哨の目は4枚、濃霧は3枚です
・《呪文裂き/Spell Rupture》《非実体化/Unsubstantiate》:全体除去対策、カウンター
最後はカウンター。万が一長期戦となった場合や、頭蓋割りのようなこちらへのメタカードを打ち消すためのカードです
呪文裂きは自分クリーチャーの最も高いパワー分のマナを要求する不確定カウンター。オーラによる高いパワー修正と合わせることでほぼ確定カウンターとなります
非実体化は呪文バウンスという珍しい形式で、打ち消せない呪文を疑似的に打ち消すことができる唯一の手段です。特にビートメタの《至高の評決/Supreme Verdict》への回答となり得る点は重要です
とはいえ2マナを常に抱えておかないといけないというのがデッキテーマと噛み合わないため採用は各2枚ずつ。相手をしっかりと見てサイドインしましょう
4.最後に
いかがだったでしょうか
晴れる屋通販で調べたところ、土地基盤と一部在庫不足のカードを抜いた値段は約7,000円でした(日英、通常版のみ、状態問わず最安値のみ)
タイトルにもある通り土地以外は中々安いのではないでしょうか
また、土地に関しては項目内の妥協案や安い店を探す、あるいは身内でならプロキシで遊ぶというのも可能なので、実際に買う前にとりあえず遊んでみるというのもアリです
単純で楽しく、それでいて独自の強みもあってずっと遊べるデッキだと自分では思っています
中々ハードルが高いと思われがちなMTGですが、このデッキでデビューしてみたい、このデッキで遊んでみたいという方が一人でもいてくれれば幸いです
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
10/20追記
この記事での構築でミシック到達しました
余談
普段はこちらのサーバーで活動しています。低予算でのデッキ作成だけでなく各々が考えたレガシー環境やデッキについての話やフリープレイなんかもやってます
レガシー以外のフォーマットの話もしているので興味がある方はぜひ一度覗いてみてください
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