【必要なのは厳しさ?それとも優しさ?】リーダーシップの本質を考えてみた。
こんにちは。
今回はカナダで学んだリーダーシップについて書きたいと思います。
上の立場や、前に立つ立場になると必要となってくるリーダーシップ。わたしは日本とカナダで英語講師をしていたのですが、その時にリーダーシップについてとても悩みました。
威圧感は出したくない。(というか出せない。)
みんなに楽しんで英語の授業を受けて欲しい。
でも舐められたくはない。
頼りないとも思われたくない。
この先生ならついていける!と思われるようなリーダーシップとは…
と、いろいろ悩み、いろいろアドバイスを求め、いろいろ試しました。
今回は、そんな中で学んだことをシェアしたいと思います。リーダーシップを取るにはどうしたらいいの?など、悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
日本で経験した、リーダーシップという名のパワハラ。
わたしは大学卒業後に、とある小さな予備校に就職しました。
事務員で、仕事内容は生徒のサポート全般でした。やりがいもあって、とても恵まれた環境だなぁと思っていたのですが、1つだけどうしても辛いことがありました。
それは、上司である事務長からのパワハラでした。今となっては「あれはパワハラだったんだな」と気づくことができますが、当時は何が何だか分からなかったです。
当時、わたしはまだ22歳。
大学を卒業して初めての会社で、初めての社会人。右も左も分からない状態でした。
事務長は、おそらく60代ぐらいの男性でした。お父さんぐらいの年齢で、社会経験もたくさんあって、この人からいろいろ学ばなければ、という気持ちでした。
しかし、呼び出されて叱られるのは、彼の気分次第。まさに地雷。
目につくようなことをすれば、個室で2人きりにされました。1時間以上の説教、その内容も「君は人としてどうかしている」という人間否定。
事務長が満足するまで言いたいように言ったら、やっと解放される…の繰り返しでした。
わたしはとても混乱しました。
事務長は、わたしの父ぐらいの年齢で、社会経験もあるはず…
そんな人が、イジメなんてするわけない。
この人から、何かを学ばなければならない。
でも、何を学んでいいのかさっぱり分からない。
さらに、わたしの混乱に拍車をかけたのは、事務長自身の間違った認識でした。
後から知ったのですが、事務長はこの会社の設立メンバーで、大学の頃に誘われて、この会社に就職したそうです。
どちらかというと、サークルのような形で始まったこの会社。
彼は「事務」を任されたのですが、もちろん他の会社での経験はゼロ。おそらく、就職活動もしたことがない、との話でした。
そんな事務長だったので、
「新人が入ったら何かしなくてはいけない。」
「新人教育は、経験のある事務員がしている。わたしは何をすればいいのかわからない。」
「説教こそが教育だ。」
本当にそんな考えを持って、新人の人格否定をしていたのだと思います。
実際に、新人を泣かせたら満足をして「仕事の厳しさを教えることができた」という様子でした。
わたしは「何かがおかしい」とか感じながらも、その説教から洗脳を受けてしまいました。
「自分はおかしいのではないのか?」
「自分は人として足りていないのではないのか?」という、自分に対する不信感を抱いてしまいました。とても辛かったです。
話がパワハラに逸れてしまいました。
この経験から、わたしはリーダーシップというものを考えさせられました。
わたしは心底、事務長が嫌いです。
しかし、大人になった今、事務長自身もどうして良いのか分からなかったのではないか?と思うようになりました。
「事務長」という立場上、リーダーシップを取らなくてはならない。
しかし、どうして良いのか分からない。舐められたくはない。
考えた結果、説教、という形で威厳をみせよう。
そんな単純明快な考えだったように思います。
日本では、ここの履き違えをしている人が多い気がします。
上の立場なら、下の立場の人を叱らなければならない。説教しなくてはならない。威圧しなければならない。
親のように愛情を持って、相手のために叱るなら本当に相手のためになるかもしれません。
しかし、上の立場の威厳を見せるために叱っているのなら、それは自分のためです。相手のためにはなりません。
むしろ、精神的ダメージを受けて、健康を壊してしまう人のほうが多いです。
本当のリーダーシップとは何か、上の立場の威厳を見せるために必要なことは何か、わたしはそこを学びたいと思いました。
カナダで学んだリーダーシップ。
わたしはカナダで英語講師として働いた経験があるのですが、そこで「リーダーシップ」というものを学んだなぁと思います。
わたしが採用されたのは、夏休みだけの期間、難民の人に対して英語を教えるプログラムでした。
採用された講師は、全員新人講師。
「ここでの経験を元に、英語講師としての道を切り拓いていってほしい」という講師への希望も込めたプログラムでした。
わたしを含め、講師は全員とても緊張していました。
全員なんらかのTESOL(英語教授法の資格)を持っているのですが、夏休みだけとはいえ、初めて「自分の担当のクラス」を持つのです。
わたしたちの上司として、現役の英語講師で経験豊富な女性と男性が1人ずつ、紹介されました。
とてもとても印象的だったのは、この2人が最初に放った言葉です。
「わたしたちの仕事は、あなたたち講師のサポートをすることです。」
「あなたたち講師を、講師として成功に導くことができるように、頑張りますね。」
と、温かい声をかけてくださりました。
そして、2人は本当に、わたしたち講師のために動いてくださりました。
研修では、叱る、責めるようなことは決してなく、楽しみつつも授業で使えるアイディアをたくさん共有してくださったり、わたしたちの不安な気持ちを、自分の経験をもとに和らげてくれたり。
「あなたたちなら、絶対大丈夫よ」
「あなたたちのことを、誇りに思うわ」
そんな言葉をかけてくださりました。
毎週月曜日の授業後ミーティングでは、各講師が「今週の目標」を立てました。
「授業プランに力を入れる」
「授業で使う声をもっとよくさせる」
「授業中のアクティビティを増やす」
「クラスコントロールをもっとできるようにする」
などなど、各々、自分の中で成長させたい部分を書いて提出しました。
そして、毎週金曜日は、オブザベーション(授業見学)の日でした。上司が各クラスを周り、授業の様子を見学します。そして、レポートを書いてくれます。
上司は2人とも、経験豊富な英語講師です。
授業を見学しながら、言いたいことは山ほどあったと思います。
「こうした方がいい」
「それではダメ」
「そんなこと言ったら生徒が混乱する」
などなど、レポートは非難ざんまいなはず…
わたしはとても緊張していたこともあり、授業後、勝手に落ち込んでいたのですが、レポートを開くと”good job!!!!” の言葉が…
「授業、よくやり切ったね!」
「良い目標だね!」
「ホワイトボードの端に、今日の授業のタイムスケジュールを書いておくと、生徒は集中しやすいよ」
「赤のマーカーは見にくかったかもね」
まずは励ましの言葉を絶対にかけてくださり、その後に「こうした方がいいかもね」というアドバイスをくださりました。
そのレポートは今でも大切に持っています。わたしの宝物です。
こんな素晴らしい上司2人のおかげで、わたしはなんとか夏休みを走り切ることができました。
フィリピン系カナダ人の夫ともリーダーシップについて話します。
彼は会社の中で、トレーナーとして新人に仕事を教えることがあるのですが、常に意識しているのは「どれだけ新人さんたちのために、仕事を簡単にできるか」だそうです。
そして、叱る、怒るは御法度。
相手が萎縮してしまい、コミュニケーションも上手くいかず、結果、トレーナーとしての自分の評価が下がるそうです。
この話を聞き、やはりリーダーシップを取るのに大切なのは、厳しさではなくて、相手を理解する力、そして相手のためにきちんとサポートできる行動力なのではないかなぁと思います。
仕事の楽しさや厳しさは、経験をするにつれて理解できるようになります。
それを、無理矢理上の立場の人が教える必要はないのかな、と思いました。
英語講師として学んだリーダーシップ。
わたしは5年ほど日本で英語講師をしたのですが、リーダーシップを見せるために、クラスを成功に導くために、生徒に学んでもらうために、本当に色々試しました。
大学の講座では、1番最初のオリエンテーションのクラスで、ルールを厳しめな口調で説明してみたり。
クラスがダレてきたら、熱く厳しく学んでほしい意志を伝えてみたり。
コントロールが効かなくなったら、無言で真顔で立ってみたり。(よく小学校の先生がやるやつ笑)
色々試しましたが、最後に辿り着いたのは、そもそも大人相手に、厳しさ/威厳(威圧)を見せるって必要?でした。
講師の立場を使って生徒を威圧すると、当たり前ですが生徒は萎縮します。楽しんでのびのびと学ぶことなんてできません。
そうではなく、わたしは講師としてのスキルを上げることに専念しました。
人前でも堂々とした態度を取れるようになること。
聞きやすい声の大きさで話すこと。
分かりやすい説明をすること。
興味を持ってもらえるような話を用意すること。
楽しいアクティビティを用意すること。
的確な目標を持った授業プランをつくること。
そうするうちに、授業を通して生徒から「この人は信頼できる、頼れる」と思っていただけることが出てきました。
その頃から、自然と講師としての威厳は出てきたように思います。
無理に威厳を出そうとせずに、相手のサポートに徹底していれば、そしてプロとして誇りを持って仕事をしていれば、自然と威厳は出てくるのだと学びました。
幸せな人が多いと、仕事が捗って会社が成長する、という研究結果。
わたしは日本の働く文化(working culture)に疑問を抱いています。
「仕事は厳しくなくてはいけない」
「仕事は苦でなければいけない」
「そうでなければ人間も会社も成長できない」
…本当にそうでしょうか?
楽しみながら成長することだって、できるはずです。というか、楽しんだほうが、得られるものって多いはず。
実際、わたしは英語講師の仕事を「楽しむ」ことに重点をおいて取り組んできました。夫から常に「Have fun at work!」(今日も仕事楽しんでね!)と言われていたからかもしれません。生徒に楽しんでもらうためには、準備もたくさん必要でした。
そして生徒のことを思えば思うほど、やる気が出てきて、やりがいも出てきました。結果、わたしの方が学んだことがことが多いのではないか、と思うほど、たくさんの気づきや学びを得ることができました。
これは他の仕事にも通じる点なのかな、と思います。なのに、仕事となると無駄に「厳しさ」を求める傾向にあるなぁと感じます。
気分で部下を叱る。
「厳しさ」を知ってもらうために叱る。
上の立場を見せるために叱る。
全部、相手の気持ちを考えなさ過ぎる行動だと、わたしは思います。
夫から面白い研究結果を聞いたので、シェアしたいと思います。
イギリスで行われた研究なのですが、61社、2900人に周4日勤務で働いてもらう、というものです。もちろんお給料は前と変わらず、です。
その結果がこちらです。
いきなりこれを日本に取り入れると、残業禁止で家に仕事を持ち帰って、結局サービス残業…の二の舞になるかもしれません。
そういうことをしてほしいわけではなく、わたしが注目してほしいポイントはここです。
人が幸せならば、ストレスが減る。
ストレスが減れば、仕事に集中できる。
仕事に集中できれば、効率があがる。
結果、会社も成長する。
この実験では、分かりやすくストレスを減らすために、週4日勤務という形をとったのだと思います。
少しずつ、日本の働く文化もいい方向に変われば良いなぁと願います。
最後に。
今回はリーダーシップについて書いてみました。
リーダーシップを取る上の立場の人が、徹底的に下の立場の人をサポートすることができれば、どちらもwin-winで楽しい職場環境が生まれやすいのでは、と思っています。
子どもを育てるには「厳しさ」が必要な時が多々出てきますが、大人相手だと逆に「優しさ」が必要なんじゃないかなぁと、個人的には思っています。(甘えじゃなくてね。)
だって、これまでずっと自分に厳しく生きてきたのです。そして、人生自体、そんなに甘いもんじゃないことを、大人になる頃にはきっとみんな、気付いてる。
リーダーシップの認識が変わって、自分にも、人にも、優しくて温かくて愛情あふれる社会になればなぁと願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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