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20年後を見据え、予防医療に挑む。地方での訪問診療と渋谷のクリニック運営を両立する新時代の医師・石黒剛の想いとは?

2021年5月に開業したクリニックTEN渋谷。「次世代型かかりつけクリニック」をコンセプトに掲げ、従来の病院らしくない内装や茶屋を併設、完全WEB予約制で待ち時間なし、といったこれまでになかった仕組みを渋谷の働き世代に向けて展開しています。

そんなクリニックTEN渋谷で働く医師や看護師、メンバーはどんな人で、どんな想いを持って働いているのでしょうか?

今回は、クリニックTENの医療統括責任者と愛知県での訪問診療の両軸で医師として働く石黒剛先生にインタビューを行いました。診察室で接しているだけでは見えてこない想いやプライベートや素顔に迫ります。

石黒 剛
名古屋大学医学部を卒業後、2年間の研修を経て三次救急医療機関に勤務。救急医療や緩和ケアなど幅広く経験を積み、地元・愛知県にて訪問診療専門クリニックを開設。『クリニック TEN』では外来診療に加え、医療情報の発信をはじめとした広報業務も担当している。

Dr.コトーになりたい!純粋な憧れで医療の世界へ。

ーー剛先生はドラマ「Dr.コトー診療所」を見て医者を志したとか……?

そうなんです。小さい頃、「Dr.コトー診療所」のドラマを見て、主人公のDr.コトーの「かっこつけていないのにかっこよくて、暖かみがある等身大の医師」の姿に感銘を受け、自分もこうなりたいって思ったのが医師を目指したきっかけです。

ーー幼少期の憧れをそのままに、医学部まで進まれたんですね!

はい、地元の名古屋大学の医学部に進みました。が、医学部生として実際の医療従事者と接するうちにDr.コトーのような”スーパー外科医で地域医療もやっている医師”なんていないと気づき、『Dr.コトーどこにもおらんやんけ!』てなって(笑)。漠然とした憧れから現実を知ったんですね。

それが「自分は医療の世界で何をやりたいのか」に向き合うきっかけになりました。考え続けて大学を辞めずになんとか過ごし、医学部を卒業後研修医を2年間やり、そこから地域医療の分野に舵を切ることにしました。

地域に根ざして開業をしていた先生のもとで1年半勉強をさせてもらい、同じく医師となった兄と開業することに決め、現在も愛知県の豊田市と岡崎市で訪問診療を行っています。

こうした経歴の中、2019年ごろにクリニックTENの創業メンバーと出会い、現在も訪問診療と並行してTENの運営を行っています。

ーー地域に根ざした訪問診療とクリニックTENを両方運営されているのはどういった想いからなのでしょうか?

訪問診療は現状の社会課題に対するソリューションで、TENは今後20年先の社会課題を見据えた上でのソリューションですね。

現状の日本は超高齢社会なため、地域に密着した訪問診療の需要の高さや高齢者医療に取り組むことが社会課題の解決に繋がっていますが、20年後には今の働き世代の健康維持が新たな課題になります。

というのも、日本では2040年以降、超高齢社会のピークを過ぎると言われており、人口も減少していきます。

そのため、今は病院に行けない高齢者を看取ることが求められていますが、20年後には生産人口が減るせいで退職がさらに5年10年のびて70-80歳でも元気で働き続けるための医療が必要となっていきます

そのためのモデルとして、20年先を考えた時に今から予防医療をやれる拠点を作りたいと常々思っていました。クリニックTENはそうした自分自身のビジョンと合致していました。

クリニックTENの構想時から、創業メンバーとして自分たちの世代にとってどういう医療が必要かといったディスカッションを行っています。

クリニックTENは、訪問診療と外来クリニックの間。

ーー訪問診療でのノウハウの蓄積はクリニックTENにも反映されていますか?

そうですね。訪問診療と外来診療には圧倒的な違いがあります。外来では病気への対応に気を配れば良いですが、訪問診療では一般のご自宅に伺うため、気を配ることや注意を払うことも多いです。

外来と訪問では患者さんの表情も全然違うんです。自宅で会う方が患者さんの表情が断然リラックスしています。

クリニックTENの構想段階から、外来クリニックで訪問診療を擬似体験できないか?と考えていました。自宅まではできなくともカフェでお茶をしながら話すようなフラットさを提供できないか、と

そうした構想の中で出来上がった、個室で患者さんが待っていて、そこに医師が訪問するクリニックTENは、外来と訪問の間にあるクリニックだと思っています。

一般的な外来クリニックは校長室や職員室にお邪魔している感覚で、クリニックTENのスペースはご飯屋さんで個室に通された感覚に近いのかな

これまでにない形のクリニックなのでルール上の整備が難しい部分もありますが、今後の医療を考えると医療機関側が仕事として効率を重視して医療を提供するのではなく、患者側に歩み寄り、寄り添うことを考えていかないと生き残っていけないとも思いますね。

ーー今のクリニックTENの課題はなんですか?

予防医療との接点を持つための前段階として、医療に興味のない人とどう医療の接点を作っていくかがクリニックTENの課題ですね。クリニックTENでは医療ハイフやIPL治療など美容皮膚科も行っていますが、それも医療との接点作りの側面が大きいです。

まずは美容皮膚科に訪れてもらい、そこから肌以外の体調の悩みを打ち明けてくれたり、肌荒れを直してくれた先生に「健診受けてる?」て言われて受けにきたり、とコミュニケーションのきっかけ作りとしての自費診療だと思っています。

美容の悩みから自然と医療への下地ができていき、かかりつけ医となり、通ってもらうことを目指しています

休みの日の体験がクリニックTENのUXにも活かされる

ーー日々とても忙しいと思うのですがプライベートについても聞いていこうかと。剛先生は趣味などはありますか?前回のマーク先生は音楽が趣味と聞いて大変興味深かったのですが……。

それが趣味がないんですよ(笑)。マーク先生みたいに歌やピアノができたらかっこいいな〜と思いますが……。

僕の場合全部中途半端で、器用貧乏で運動もある程度できるようになるとこれ以上成長するには労力がいるわってなってやめてしまいます(笑)。80点はとれるけど100点や120点をとれる人はとても尊敬しますね。

僕は何かを突き詰めるよりも、色んなことができるようになるプロセスが楽しいので、初めてのことや新しいことに挑戦するのが好きですね。あえて言うならば新しいことをやるのが趣味、でしょうか。出会ったことのないものに出会うのが一番好きです。

ーー新しいことが趣味、とても素敵ですね!休みの日は何をして過ごしていますか?

訪問医療は365日近く動けることが求められるので世間一般よりは休みは少ないですが、たまに休みができると家族と旅行に行っています。最近は有馬温泉に行きました。有馬温泉に食事が有名なところがあり、そこに行ってみたくて。体験をするのが好きですね。

とっても素敵なホスピタリティの体験を受けるとTENのUXにも反映できますし、物よりも体験にコストを払うタイプです。TENの価値も体験だと思っているので、かけがえのない体験とは?良い体験とは?について休みの日も考えるクセがついています

ーー休みの日もクリニックTENについて考えているんですね!ところで剛先生の思う良い体験とはなんですか?

最近思う良い体験とは”予想だにしないポジティブなこと”だと思っています。予想外な驚きをいかにデザインできるかが大切だな、と。

クリニックTENでいうとハード面はきっちりしていて、テクノロジーも裏でさくさく動いて最先端だけども、人の温かみを感じるというギャップが良い体験に繋がると思っています。さらに一歩踏み込んで驚きをデザインしていきたいですね。

ーー温かみと最先端が両立しているのがクリニックTENの魅力ですよね。最後に今後目指すビジョンを教えてください。

クリニックTEN渋谷はあくまでTENブランドの1店舗目で、コンセプトモデル。ここで培った物を培養し、他の地域に実装していきたいと思っています

時代のニーズや社会のニーズを読みつつ、合わせながらも、医療者としてこうあってほしいという想いを添えながら様々な方法で発信したり、仕組みを強めていくのが目標ですね。理想の仕組みができて、回っていく世界を目指したいです。

ーー医師を目指した経緯から想いまで、より剛先生について知ることができました!ありがとうございました!

クリニックTENでは現在、ビジョンに共感し共に働けるメンバーを募集しています。


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