心身ともに健やかである人が溢れる未来へ。クリニックTEN CS時田さんの願い
2021年5月に開業したクリニックTEN渋谷。「次世代型かかりつけクリニック」をコンセプトに掲げ、完全WEB予約制で待ち時間ほぼゼロといった、これまでにない医療機関の形を実現しています。
そんなクリニックTEN渋谷で働く医師や看護師、事業開発メンバーは、どんな人でどんな想いを持って働いているのでしょうか?
今回はCS(カスタマーサクセス)として活躍する時田真奈(ときたまな)さんにお話を聞きました。「心身ともに健やかである」ことを大切にし、一緒に働く仲間や患者様にもそうあってほしいと願っている時田さん。
TENのカルチャーである、自分が大切にしたい「あり方」を起点にキャリアを築いていくことを体現しているひとりです。CSとしてクリニックTEN渋谷(以下:TEN)にいらっしゃる患者さまとより良い関係構築をするために、彼女が大切にしていることや思いを紐解きます。
「将来はヘルスケアに携わりたい」きっかけになったのは大学時代の母のひとこと
——時田さんは前職でもヘルスケアに関わるお仕事に携わっていたんですよね。この分野に興味を持ったきっかけは何でしたか?
高校三年の時に母が子宮がんになって。でも私が大学受験を控えていた時期だったので、母は私に内緒にしていたんです。大学入学後に「実はあの時子宮がんだったんだ」と告白されて、えー!?ってすごくショックを受けました。
自分の知らないところで、自分の大切な人が重い病気になるってすごく悲しいなと思って。そういう経験をする人を一人でも減らすために、ヘルスケア系のお仕事がしたいと思うようになりました。就職活動では最初は製薬会社や医療機器メーカーを受けていましたが、その道だと文系の私にできるのはお医者さんへの営業まで。直接お客さんにサービス提供できる仕事がしたいと考えて、遠隔医療を始めとする事業可能性のある大手の通信会社に入社して12年間働きました。
大手企業で12年間の挑戦の日々。その先に見つけた本当にありたい姿
——12年!前職ではかなり長い時間を過ごされてきたんですね。どんなお仕事をしていましたか?
新規事業の企画部門で、球団やJリーグのクラブチームと相互連携して新しいお客様を獲得する施策を考えたり、自社運営していたファッションサイトの担当をしたり、グループ化直後の会社へ2年間出向をして四苦八苦していた時期もありました……(笑)
5年目のときに、新設されたヘルスケア部門の企画職としての異動が叶ったのですが、最初の一年は企画を出すも全然通らず作り直し……を延々と繰り返す修行のような時間でした。その後自宅で血液検査ができるサービスの立ち上げと運営を4〜5年経験しました。
——念願のヘルスケアのお仕事のチャンスもしっかり掴んでいてさすがです。かなり多様な経験をされていて、挑戦しがいのある環境だったかと思いますが、転機は何でしたか。
出向帰任後に担当していた社内の若手向けの新規事業開発プログラムで、私は募集~数回に渡る審査会と、その後半年間事業化に向けた伴走をする運営をやっていて。その中でちゃんと通過して事業化までやりきれる人って、自分がどうありたいのか、どういう世界を作りたいかという軸がとてもしっかりしていることに気づきました。だから役員など偉い人たちから何かを言われてもブレない。
その姿を見ていて、「そんな方々の支援をしている自分自身は一体何をやりたいんだろう」と立ち止まりました。
当時はチームリーダーをしていたので忙しいときには深夜残業も当たり前。気づけば「管理職になりなさい」というプレッシャーを会社からかけられるようになっていたけれど、私はそのレールに乗るのはどこか抵抗があって。
やりたかったヘルスケアの仕事も経験できたそのころ、もう他に社内でやりたいことがなかったんですよね。大企業ならではの動きづらさに歯がゆさも感じていました。だから一度大企業を出て、もっとエンドユーザーに近いヘルスケアという新たな領域に携わりたいなという思いで会社を辞めることにしました。
病気になるその前にできることを。TENが描く未来への共感
———その後、TENとはどんな出会いがあったんでしょうか?
退職する決意はできたものの、コロナ禍でしたし次の道が全く未知数なのも不安だなと思って転職サイトを見ていたんです。そこでとある企業の担当の方とお話したら、自分では全く意識していなかったんですが、しきりに「ヘルスケア」という言葉を発していたみたいで。
「そんなにヘルスケアに興味があるんだったら、ちょうどクリニックを作ろうとしている知り合いがいるので会いますか?」と言われ、創業者の大江さんをつないでもらったのが最初でした。
——なんとそんな偶然の出会いが!当時のTENに対する印象はどうでしたか?
最初に大江さんとお話ししたのは2021年の2月、まだ内装も完成していないころ。大江さんにこれから作ろうとしているクリニックのパースなどを見せてもらいながら、TENの構想をいろいろ聞かせてもらいました。日本では保険医療が充実してるから、あまり予防の意識がないけれど、病気にならないために通う医療機関を作りたいという話にとても共感して。
私も前職で血液検査のサービスをやっていたときに気づいたんです。若いころは健康診断の結果は悪くないことが多いので、お酒・タバコが日常だったり、怠惰な生活をしたりしがち。でも、それが続くと中高年になったときに血糖値や血圧が上がって突如生活習慣病を発症して、人工透析になるというパターンが多いんですよね。
実はうちの父も生前は人工透析をしていて、保険負担はあるものの一般的に治療費が年間400〜500万くらいかかると言われていました。家族が当事者になったことで、国の医療費がひっ迫する要因を目の当たりにするようになりました。この事実はあまり知られていませんが、国としても大きな課題だと思うので一緒に解決していきたいなと感じました。
自身のありたい姿と組織として向かいたい未来を重ねられる環境
——TENが実現したいことと時田さんが大切にしたいことのリンクを感じますね。入社してみて良かったと感じることは何ですか?
自分の大事にしている信念に近いお仕事ができているのはやっぱり一番大きいですね。あとは上司である大江さんが私の大事にしたいあり方をとても理解してくれているのがありがたいですね。
最近は西洋医学よりも歴史の古い東洋医学を知りたいと思い、有給とリモートワークを組み合わせて2週間スリランカにアーユルヴェーダを体感する旅に行ってきました。そういうことも応援してくれる環境にとても感謝しています。
——会社員をしながら2週間の海外旅行は、なかなかできない経験ですよね!日頃から“あり方”について上司と対話する機会は多いですか?
そうですね、1on1は定期的に行っていて、担当業務であるCSとしてのOKRはもちろん、個人としてのOKRについてもぜひ考えてほしいと言ってもらっています。私の頭の中をオンラインのホワイトボードツールに書き出して「心身ともに健やかである」ことを軸に、TENではフィジカル面、個人の仕事で行っているコーチングではマインド面で「健やか」であることを支援したいというお話をさせてもらったこともあります。
——大江さんの問いも素晴らしいですが、それに対してこういうコミュニケーションが取れる時田さんも素敵です!
嬉しいです。今は、TENの医療従事者メンバーに向けたコーチングも希望者に対し1ヶ月に1度行っています。話しているうちに、メンバーの皆さんはとても細かな部分まで気を配れる方が多い一方で、自分を犠牲にしがちなところがあることがわかってきました。1ヶ月に1度でも私が関わることで息抜きできたり、自分を認めてあげられたりしたらいいなと思っています。
まずは概念を知ることから。手探りで始めた初挑戦のCSのお仕事
——今メインで担当されているCSのお仕事では具体的にはどんなことをされているんですか?
患者様にスムーズに受診していただくために、来院の負担になる要素を徹底的に取り除くことを重視して取り組んでいます。たとえば、問合せ率を低下させるために問合せ分析をしてFAQを作成したり、キャンセル率を下げるための仕組みをシステムと連携して構築したり。最近ではより満足度向上に積極的に取り組むべく、患者様にアンケートやインタビューを実施して、NPSの数値計測も始めました。
——CSのお仕事は未経験からスタートされているんですよね?
そうなんです、これまで事業開発をメインにいろんな仕事をしてきましたがCSは初めてなんですよ。なので本当に「カスタマーサクセスとは」を知るところからでした。Twitter経由で知り合った方がやっているCSコミュニティの勉強会に参加して、「アダプションとは」「オンボーディングとは」みたいなCS用語に触れることからスタートしましたね。
——本当に基本用語や概念みたいなところから学ばれていたんですね。
そうですね。でもTENのようなクリニックというリアルな場がある事業形態だと、いわゆるSaaSのCSとはやっぱりちょっと違うので。参考にはしつつ、TENとしてどうあるべきかは常々考えるようにしています。
——なるほど、最終的にはオリジナルな形を作ってこられているんですね。そんなTENのCSの面白さや、逆に難しい部分は何だと思いますか?
一から自分で検証して考えて「これでやってみたいです」と伝えたことが、そのまま機能や施策に落としこまれて実現につなげられることはとても面白くてやりがいになっています。
一方で、CSは現場とシステムなど、複数のチームの間に立つ仕事。本当に患者さんの価値になることが何かを常に考え、それぞれにコミュニケーションを取り続けなければならない点には、難しさもあります。
——今後はどんな方と一緒に働きたいですか?
私にはCSのバックグラウンドがないので、専門性を持っている方で、私が手探りで分析などをしているところを、ちゃんと「ザ・CS」の型にはめつつ施策を見てくれる人に来ていただけると心強いですね。
あとは一つひとつをちゃんと自分ごととして整理できる人。医療現場や事業開発、システム開発などいろんな人たちが関わる中で、何が患者さんにとって一番良い体験に繋がるのか、中立で見た上で自分がどうしたいかを真摯に考えられると良いですね。
「自分にとっての健康とは」大切な問いを胸に。時田さんが描く未来像
——最後に、時田さんが描いている未来像をぜひ教えてください!
本当に私は今を生きるタイプすぎてあまりしっかりした将来計画とかないんですが(笑)、スリランカに行ったときに持ち帰ってきたのが「自分にとっての健康とは?」という問いで。自分自身が常に考え続けたいし、みんなにも考えてほしいなぁとも思っています。
人は幸せになるために生きているはずです。だから、「その人にとっての幸せ」をちゃんと捉えつつ、いろんなことに向き合える支援をしていきたいなと思います。
もともと持っているコーチングのスキルに加えて今カウンセリングの勉強もしているんです。私は医療従事者ではないのでフィジカル面の直接的なケアはできないのですが、健康であるためにマインド面でカウンセリングやコーチングなどのアプローチはもっと活かせると思っています。
たとえば健康診断ひとつとっても年に一回自分の健康に向き合う貴重な機会なので、何か行動変容までつながる支援ができたら面白いなというイメージを持っていて、TENのドクターに相談し始めています。
——健康に向き合うきっかけから、その人の行動変容まで促せる未来は、TENとして向かいたい先と、時田さんが大事にしていることがとても重なった話だなと思いました。
そうですね。スリランカでの二週間で、食事を変えるだけで身体がすごく変化することもとても体感できたので。「健康」と一言で言っても、エビデンスに基づく治療はもちろん、不調へのアプローチとしてやれることってきっとたくさんあるなと感じます!
——時田さんが「心身ともに健やかである」ことを大切にする原体験から、今大切にしている思いや実現されていること1つ1つを知ることができ、とても豊かな時間になりました。本日はありがとうございました!
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参考:事業開発 メンバーインタビュー記事
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