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1月8日「月夜」

職場から出ると、もうあたりは暗かった。無理はない、もう5時を回っているし、なにせ朝からずうっとここにいたのだ。むしろ暗くなってくれていなきゃ困るくらいだ。もう今日はつかれた。布団に入って早く終わらせたい。
さて帰ろうと駐輪場に向かうと、今朝は今年に入って初めて雪が積もって、歩いて病院まで来たことを思い出す。仕方ないから歩いて帰ることにしたが今すぐ歩くのも億劫だ。すぐ帰れるとはいえまだやることはあるし、先に図書館で課題を片付けよう。そう思い立った私は図書館に向かった。
今日の課題は一時間程度で終わった。再び外に出ると先ほどと同様暗ぼったい道に出る。先よりも風が冷たい。この景色は今の憂鬱さをまるで鏡のように映し出しているようで、私はほんの少しだけ苛ついた。
帰り道を歩いていると、今日がもう終わることを実感する。もちろん家に帰って食事をしたり風呂に入ったりとすることはあるが、それは昨日と同じだ。これから始まるいつも通りに嫌気が差して、うつむいた。きっと帰ったらまた昨日と同じように床について、今日と同じように朝起きて、気持ち悪さを抱えたまま職場へ向かうのだろう。なんて無機質な毎日だろう。私は最近規則正しく、効率的な時間の使い方を求めて、一日の流れを決めている。これによって色々なことができるようになったし、活動効率も上がった。いいことづくしだと思ってた。やっぱり世の中うまくできているものだ。
空には月がでている。少し濃い目の雲がふわふわと月を覆って、幻想的に輝いている。ただ、今日の月はいつもより少しばかり遠いようだ。その遠さに、なんだか見捨てられたような気がして、僕はそそくさと帰路を急いだ。