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初売りの商店街を行き交う人々を見て

商店街の入り口に位置するこのカフェは2階の窓際にカウンター席がある。コーヒーを注文してここに座ると目の前の大きな窓からは、初売りに今から行く人たち、多くの紙袋を抱えて幸せそうな表情を浮かべる人たちが無数に見て取れる。外は強い風が吹いて、1月の少し肌寒い気候と相まって外出に向いた日とはお世辞にも言えないが、それでも歩く人の数はゆうに平時の2倍はあるだろう。みんな笑っている。このかけがえのない景色の裏にある商店街の皆様の多大なる功績には心から感謝せざるを得ない。

はじめはただ眺めていただけであったが、そこにいる人々それぞれが各々のエピソードを抱え、その過程で今日たまたまここを歩くことになったと考えると、この景色に含まれる夥しい量の情報、感情の多さに圧倒される一方で、たまらなく愛おしくなってくる。そして、なぜだか自分に腹が立ってくる。ああ、愛おしい、腹だたしい、苦しい。