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小川山へ行く

口絵の写真は、よく行くクライミングジムのストレッチコーナーに貼ってあったポスターです。写真に映っている大きな岩は、アメリカのヨセミテというところにあるクライミングエリアです。

私は、統合失調症と思われる強い陽性症状が出た時に「誰かが私をヨセミテに連れていってくれる」という確信(妄想)を持っていました。

その頃の私は、明けても暮れてもクライミングという有様で、四六時中、クライミングに関する情報を追いかけていました。

今朝(6月24日)も、インスブルックで行われたボルダリングワールドカップの決勝を見ていましたが、それは録画です。

しかし、病気の時の私は、時差計算をして夜中に起き出し、現地で行われている試合のリアルタイム中継をシーズン中ずっと追いかけていました。

夫に翻訳を手伝ってもらって、Facebookでコンペティターの方たちと友達になったり、ヨーロッパのクライミングガイドの本を買ってドイツにいる義妹夫婦を訪ねて、ついでにクライミングが出来ないかというプランを立てたり。

クライミングを中心に世の中がまわっているかのようでした。

でもそんな生活は、クライミングジムに行くと幻覚、幻聴、サトラレが起きるようになって、いつしか私は、恐怖感からクライミングが続けられなくなりました。

誰かに悪口を言われている。私のやろうとしていることを邪魔する人がいる。などなど。

クライミングを始めた頃は、乳がんの手術の後だったので、ブレストフォームという人工の乳房をつけて登っていたのですが、私が乳がん患者なのは、嘘じゃないかと思っている人たちがいて、私がジムの更衣室で着替える時にそれを確認しようとしている。なんて、被害妄想もありました。

集団で私のことをディスっていると感じられたとき、大声で「携帯のボイスレコーダーで(その悪口を)録音してやる!」と、更衣室の中から外に向かって叫んだこともありました。

そして、私は通っていたスクールを辞めて、クライミングから距離をおいて登山に軸足を移そうとしたのですが、服薬による体重増加のため、それもまた困難になって現在に至ります。

7月の初旬には、ひさしぶりに外岩に行く計画を立てているのですが、お薬で症状がコントロールできている今は、幻覚幻聴に悩まされず、外岩を満喫できるのではないなー。

相変わらず体重は、+15kgという有様ですが、指先の保持力(岩を持つ力)の強さでカバーしてみせようと思っています。

ろっくぷーる たあこ

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