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いとへん(糸偏) 4

当時、H先生のアトリエには、畳2畳ほどの織機が、4台並んでいました。私は、最初の糸かけから仕上げまでを習う、初級クラスに入門したのです。

ほんとうは、11種類の織り方を習うコースだったのですが、MMFテクニックのランプシェード地、ムンカベルテのキッチンクロス、ホールキュロスのクッション地、シーペットのコンポジション(千鳥格子)、ルーロカン、ブランケットと習ったところで、乳がんの術後うつのため教室に通うことができなくなりました。

しかし、H先生のアトリエに通う傍ら、恵糸やさんではS先生からホームスパン(手紡ぎ手織り)の手ほどきを受け、カシミヤの糸をスピンドルというコマのような道具で紡いで、マフラーを織ったりしていました。

カシミヤの原毛は、羊毛と違ってやわらかく、細くきれいな糸になってくれます。スピンドルだけでは縒りが甘いので、出来た糸を更に紡ぎ車で縒りをかけて、蒸し上げてから使いました。

ただ、この頃の私は、織物作家になるのだと意気込んでみたものの、道具はお金を出して買えても、それを使いこなす集中力と体力に欠けていました。

それでも、病気の中なんとか建った新築の家に織機を置くことができて、いまでもMMFでランプシェード地は織り続けています。

つづく

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