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いとへん(糸偏) 1

紡績、生糸、毛織りなどの繊維工業のことを「いとへん」といいます。

あまり聞かなくなった言葉だと思いますが、私は、かつて織物で栄えた町栃木県栃木県足利市で、「いとへん」に関わりの深い家に生まれ育ちました。

父方は、曾祖父が絹の仲買商の大番頭をしていたそうで、祖母はお針の先生。母の実家は戦災で焼け出されるまで、羽二重を輸出する織物工場をしていたそうです。

子供の頃は、染料で染まった水路を見て育って、自動織機の音が聞こえたり、織った布を仕上げる整理屋さんを覗くと、高いところから布がひらひらと揺れている光景が見られたり。

隣接する群馬県太田市の親戚の家の向かいには、養蚕農家がありました。

私の子供の頃は、(絹、人絹などの)織物は衰退して、ジャージー(祖父の実家)、縫製業(母の実家を継いだ叔父)という感じに転業をしていたのですが、それでも、いとへんのコネクションが幅をきかせる町だったと思います。

そんな家系の中で育てられた私は、遊びといえば、近所の大きなお寺で木登りするか、家の中で手芸をしていました。

手芸の道具(女の子らしい遊びとされていて)はねだると買ってもらえたので、専用の針に糸を通して刺すだけで絵が描ける手芸(名前は失念)をしてみたり。ペーパーフラワーと少し編み物を妹と楽しみました。

(裁縫は、どういうわけか苦手で、祖母の隣に座って運針のまねごとはしてみましたが、一向に上達しないのですぐ諦めました)

その反動で、ハイティーンからは写真とか演劇とかアクティブな方向に向かっていくのですが、その話は置いておくとして。ある時を境にまた織物と繋がることになったのです。

つづく


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