見出し画像

スポーツクライミングの怪我を予防するために試したこと

怪我は起こるものだから


選手本人はもちろん、親としても子供に怪我はしてほしくないものです。どんなに気をつけていても怪我のリスクをゼロにすることは不可能ですが、恐らく減らすことは可能です。僕はただの親なので医学的知識やらスポーツ力学的な知識は全く持ち合わせていませんが、長くクライミングをやってきて偉大な先人達やコーチの皆さん、本などから聞き齧った知識を元に普段娘息子のクライミングでどんなことを気をつけているか書いてみます。

①登りすぎない

当たり前ですが登りすぎない、この意識が大事です。キッズのスポーツクライミングの怪我の特徴の一つに「数年経ってから怪我になる」というのがあります。特に指は腱鞘炎や成長軟骨を割ってしまう手指骨端線損傷あたりが多いでしょうか。成長軟骨は骨の両端についてる子供がこれから成長するにつれ固くなって骨になる部分です。これが割れやすいんですね。怖いのはクライマーは痛みがひきはじめるとまた登り出してしまいます。結果怪我がいつまでも治らない。慢性化する。指の怪我はそういうのが多いです。

じゃあどれくらい登れば「登りすぎ」なのか。これは個人差があるので一概には言えないですが、我が家では小3までは週一くらい小4〜5までは週3くらいの練習でした。めちゃくちゃ強い娘の仲間で小6まで週2という子も知ってます。共に中学生も後半にきましたが今のところ怪我無しです。週20時間を上限にしているというご家庭もあります。こちらも怪我無しです。これらが怪我予防の適量なのかはわかりませんがこういう実績の資料はスポーツクライミングにほとんど存在しないので各ご家庭の参考になるんじゃないかと思います。

②飛び降りない


キッズはやたら飛び降ります。冷静に考えて自分の身長の何倍もあるところにゴールがあるのでそこから飛び降りるというのは例え下がマットでも危ないはずなのですが、体が柔らかく体重が軽いキッズは平気で飛び降ります。その結果腰や膝、足首を故障します。腰は疲労骨折が多い印象です。これを発症するとギプス固定で数ヶ月〜半年スポーツ禁止になりかねないのですが、小さい頃から飛び降り続けた結果だったりするので例えば小1からやってる子が小6になって突然気をつけてみても手遅れなのかもしれません(それでも気をつけないより全然いい)。
だからクライムダウンをするべきです。うちでは「クライムダウンをしたら上がって降りるだけで手数が倍になって練習量が増えて安全でお得でしょ?」と言って子供達に実践させてきました。
クライムダウンに関してはわかりやすい記事があるので共有しておきます。

https://crag.jp/archives/2039

③下を見てから(飛び)降りる

主に外岩に行った時に最初に子供達に教える降り方です。スポーツクライミングは下がマットなので簡単に飛び降りたりしますが、着地の瞬間の怪我が一番多いです。捻挫、骨折がこれにあたります。これは降り先をちゃんと視認して飛び降りるだけでもかなり改善されるようです。外岩では下のマットも薄く小さく心許ないのでジムのつもりで飛び降りると酷い目に遭います。でも普段からジムでやってないことは外でもできないですよね。だからジムでも実践させます。ホールドを取り損ねて落ちる時に一瞬、それこそ0.2秒とかでも見るだけで全然違うそうです。動体視力の性能も影響してくるので我が家がレスト日にキャッチボールやバッティングセンターへ行ったり他の球技をやるのもこのためです。

④我慢する

子供はやればやるほど上手くなります。どんなスポーツでもそうですが、スポーツクライミングは特にわかりやすく上手くなるので親も子供もとても嬉しくなります。そしてついついやりすぎます。僕もその誘惑はよくわかります。選手である子供はまだまだ判断能力が無いし楽しいことはやりたいばっかりなので親が自重を促す最後の砦です。クライミングばかりでなく水泳や体操、球技などにもスポーツクライミングに活かせる技術は沢山あります。ゴールデンエイジの時期は何をやっても吸収していくのでこの時期に「色々な動作」を身につけるのが結果的に将来の怪我予防になるのではないか、そんなことを僕は考えています。それに家庭のコミュニケーションを築くのもレスト日じゃないですかね。親は我慢すべきはぐっと我慢してうまく子供の意識を誘導してあげるのも大切な役割だと思います。
そして、色々気をつけていても痛くなったら即休む、これに尽きます。しっかり休めばちゃんと治るのに休まずに登り始める子がたまにいます。捻挫していても片足で登るとかもそう。片足を庇いながら登ると変なところに負担がかかって今度はそっちを怪我したりするのであまり良くないのではないかと思っています。子供達のゴールははるか先ですし、中学生になって体が出来上がってからしっかり練習すれば大体似たような実力に落ち着きます。そこからが本人達の見せ場なのでそれまでは親が守ってあげるべきです。今、世界の第一線で戦ってる有名な選手達もスタートは中学生とか高校生なんて選手もいます。キッズの頃に焦る必要は全くないと思います。

色々書いてみましたがまだまだ色々な怪我の予防方法があると思います。カチをオープンで持つのかクリンプするのか、とか永遠の命題ですね(僕はオープンのほうが安全だけどそもそもカチ課題をあんまりやらせない派です)。親が子供を応援するというのはただガンバを言うだけではなく守ってあげること、より安全に成長をさせてあげるために何をすべきか、常に思考を止めないでいきたいものです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?