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韓国ボルダリングツアー2024 Part3

 第三回となる今回は、もう一つのエリアであるMoraksanをご紹介したいと思います。2020年以降、Chon Jongwon氏が次々と高難度課題を拓いており、ソウル近郊では今一番ホットなエリアです。アプローチは前回ご紹介したBukhansan National Parkよりも遥かに近く(歩く時間は15分程度)、岩の数もそれなりにあり、グレード幅もV0からV13まで幅広く、いろんなレベルのクライマーが気軽に楽しめるエリアだと思います!もしよろしければ、以下詳細をご覧ください。

Moraksan

ソウル市街地からの移動

 最寄り駅は、地下鉄4号線のPyeongchon (A Flat Village) 駅、もしくはその一つ手前(ソウル側)のIndeogwon駅になります。そこからバスでもアクセスできますが、やはりタクシーが便利です。行き先は、Kaywon University of Art & Designの正門前です。うまく運転手に伝えられないケースもあると思うので、そのハングル表記(계원예술대학교)とGoogle Map上の位置のリンクも貼っておきます(ここ)。以下の写真の場所(大学の正門前)で降ろしてくれるはずです。

なんでわざわざ日本からこんなところに来たん!?と運転手さんもびっくり!

 「えっ!?大学?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。何を隠そう、このエリアは大学の裏山にあります!実は友人のクライマーはこの大学を卒業しているのですが、学生時代にはクライミングをやっていなかったそうです。なんともったいない!!笑

岩場へのアプローチ

 さて、上の場所でタクシーを降りた後、50mほど正門から逆方向に歩くと、小さな公園(トイレもあります)があります。ここがアプローチの出発点です。この公園からは、以下のyoutubeが超わかりやすいので、ぜひスマホに保存して現地に持っていってください。

 このyoutubeでは、エリアの中心部まで一気に入っていくアプローチ動画になっていますが、岩自体は58秒付近から出てきます。一番初めに出くわす岩はこれです。

Meet at Prost (V9)

「Meet at Prost」(V9)FA by Chon Jongwon 

 ちなみにProstとはドイツ語で乾杯という意味ですが、ここでは梨泰院(日本でいう六本木みたいな場所)にあるパブのことを指しているらしいです。つまりこの課題は「Prost(パブ)で会いましょう!」という意味。Chon氏、パリピっすか?笑 冗談はさておき、課題自体は素晴らしかったです。凹角特有のバランシーで気持ちの悪い動きを強いられたかと思ったら、最後はリップへの豪快なランジで締める。なんとかFlashできましたが、登れたときはすごい満足感ありました。このエリアの開発初期の課題みたいですし、是非トライしてほしい一本です。

「Crong」 (V10)

 次に、Meet at Prostの脇を通っているトレイル沿いを歩いていくと、左側(斜面上側)に、ワニの口みたいな形状をしている岩が出てきます。これが「Crong」(V10)です。Crongって韓国のキャラクターで、設定はワニでもカエルでもなく恐竜らしいですが(ケロケロケロッピーとヨッシーを足して2で割ったようなキャラ)、その見た目がこのボルダー名の由来になっているのでしょう。このボルダーについては、Instaでもたまにキャンパスでがしがし登っている動画が流れてきているのではないかと思います。今回私はトライしませんでしたが、抜け口だけのV4や途中スタートのV8、別のラインで抜けていくV11など、このルーフだけでも数多くのバリエーションラインがあるため、週末になると多くのボルダラーで賑わっているそうです。ちなみに、このCrongボルダーと、あとでご紹介するX-ratedボルダーにはかなりの数の残置マットがあります。そのため、マットを日本から持っていかなくてもトライできるといえばトライできる状況です…。韓国はこのあたりはとても大らかです。

「Owl」 (V9)

 さて、Crongを通り過ぎた先、少し斜面を上がったところに「Owl」(V9)があります。Owlは私がこのエリアで登りたかった一本でした。レンズ越しに見ると、このエリア特有のテクスチャーから、結構ガチャガチャしているように写りますが、いざ取り付いてみると必要最低限のホールドしかなく、岩自体の迫力も相まって、大変素晴らしい課題でした。これを登るためにこのエリアに来ても良いと思えるぐらい超おすすめです。

「Owl」(V9)FA by Chon Jongwon

 少し話は逸れますが、この岩場の岩質は本当に謎です。花崗岩、砂岩、チャート、それらいずれの岩質でもなく、結局何岩が判断できませんでした。ホールドの持ち感は、強いて言うなら裏御岳のような、少しガビガビしたチャートに近いです。いずれにしても日本ではなかなか体験することののない岩質で、そういった面でもこのエリアを楽しむことができました。

「X-rated」(V12)

 Owl下のトレイルを歩いていくと、すぐ先に「X-rated」(V12) の岩があります。X-ratedの直上バージョンにあたる「Dust Lab」(V12)、X-ratedの右のラインにあたる「Graduation」(V13)、それらすべてをChon Jongwon氏が初登しています。X-ratedは初登時V13でしたが、核心に入るときに使用する右手が壊れて持ちやすくなったため(今でも十分悪いけどな!)グレードダウンされたそうです。今回このエリアではX-ratedをメインで狙いましたが、この写真で写っている右手のカチがしっかり保持できず、敗退しました。Graduationへの挑戦も含めて、近いうちに再訪したいと思います。

「X-rated」(V12)の核心入り口。Chon氏にとってはガバカチでも僕にとってはただのゴミカチ。

その他の課題、備考

 今回はエリアの看板課題ということで高難度課題が中心のご紹介になってしまいましたが、Instagramでハッシュタグ #모락산볼더링 (=Moraksan Bouldering)や、#모락산 (=Moraksan)で検索すると、いろんな課題の写真や動画が出てきます。気になる課題がないか是非探してみてください。エリア自体とてもコンパクトですので、少し歩いて周辺の岩を見て回れば、どこにどの課題があるのか、大体は把握できると思います。

 また、最近も新しい課題が増えている模様です。例えば、以下の「Arabesque」(V10)。Kim Jain氏のお兄さん (Jabee氏)が初登しています。私もレスト中に山の中を散策してみましたが、少し歩いただけでも手付かずの岩がゴロゴロと出てきました。このエリアはこの後ますます発展していくでしょう。

 ちなみにここはナイトボルダリング可能なエリアです。特に先程のCrongボルダーは人気で、仕事終わりにみんなでわいわいとジム感覚で楽しんでいるような印象を受けました。ただ、ナイトをやるにしても、ここは大学の裏山ですし、近くにマンションも多くありますので、ひっそりとやるべきだろうと感じました(日本ならたぶんナイト禁止となりそうなぐらい民家が近い…)。

 次回はこの連載の最終回として、ローカルクライマーに教えてもらった絶品韓国料理店とか、レスト日の過ごし方とか、その他雑記とか、適当に書きたいと思います。ではでは。

 


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