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韓国ボルダリングツアー2024 Part2

 前回から韓国ボルダーについて書き始めましたが、今回はその2回目ということで、具体的に各ボルダーエリアを紹介していきたいと思います。連載っぽく1週間おきぐらいに更新しようかな…とか調子に乗ったことを考えていましたが、ホント自分の性格上それが1年おきとかになりかねないので、ここは一気にまとめたいと思います!

Bukhansan National Park

 大体の場所は初回をご覧いただければと思いますが、Bukhansan National Parkは、ソウル市街地の北側に位置しており、西側のBukhansanseong(北漢山城)エリアと東側のBukhansan(北漢山)エリアにわけられます。どちらも同じ国立公園内にある花崗岩のエリアですが、アプローチが全く異なりますので、ここではそれぞれ個別にご紹介したいと思います。

北漢山城エリア

 このエリアの看板課題はなんといっても2010年にSon Sangwon氏が初登した「Lucky」(V12/13)でしょう。この課題と、次で紹介する「Mad rock」(V11)で韓国ボルダーに興味を持った人は結構いるのではないかと思いますし、私もその一人です。Son氏が初登したときの映像をYoutubeで見つけましたので貼り付けておきます!(一手目でそこ取れるの強すぎ!笑)

 ではアプローチです。(補足:できる限りGoogle Mapの位置情報をリンクで貼り付けておきましたので、適宜参照ください。)最寄り駅は地下鉄3番線のGupabal駅になります。韓国の地下鉄各駅には番号が振られており、Gupabal駅は320(3号線の20番目という意味?)ですので、たとえハングルや英語が読めなくても、駅番号を順番に追っていけば問題なく下車することができるでしょう。

 Gupabal駅の2番出口から地上に出ます。ここで、駅前のコンビニ(Nice to CU)で昼ご飯や飲み物を調達しておくことをおすすめします。おにぎりやパン、エナジードリンクとか、日本で岩場に行くときと同じような感覚で調達できます。

 2番出口から出ると目の前にバス停があります。リュックサックを持った登山者が多数集まっているので、ひと目でわかると思います。我々が訪れたのは普通の平日でしたが、バス停はハイカーでごった返していました。もしバスで行く場合には、704番のバスに乗ります。目的地は大勢のハイカーと同じく「北漢山城入口」バス停です。というか、バスはすし詰め状態ですので、そこでしか降りることはできないでしょう…。所定のバスに乗れなかった人も多くいましたので、個人的にはこのエリアへのアプローチはGupabal駅からタクシーでいくほうが無難だと思います。

 北漢山城入口につくと、そこからは登山口に向かって歩いていきます。なぜか登山口付近には、本当に多くのアウトドアショップが乱立していて(ギアって普通揃えてから山に行くような気もするが…)、何かギアを忘れたときには最悪ここでも調達できるでしょう。

登山口にある看板。ここからトレイルを歩いていく。

 登山口から舗装されたトレイルを歩いていきます。エリアへはいくつかのアプローチがありますが、川沿いに伸びている舗装トレイルを歩いていくのがわかりやすいと思います。実はこのトレイル沿いにも、良さげなボルダーが多数転がっているのですが、このあたりは国立公園内の保護区になっていてクライミングはおろか、トレイル外への侵入も禁止されています。ただ、道すがらにある看板を読むと、保護期間は2029年までとなっていて、もしかしたら5年後にはこのあたりのエリアも開拓されるかもしれません(たぶん延長される気もするが…)。

こんな感じの舗装されたトレイルを歩きます。川沿いにも岩がたくさん転がっていますが…。

 トレイル沿いを30-40分ほど歩くと、道沿いの左手側にLuckyの岩が出てきます。岩の場所自体は27Cragsで確認できますが、Google Mapのポイントも貼り付けておきます。川沿いをひたすら歩いていくので迷うことはないと思いますが、GPSで場所を確認しながら歩くと安心でしょう。

Luckyの岩。この岩のリップ奥側がトレイルになっている。

 課題についてですが、Lucky以外には、Luckyと同じ岩の裏側にある「Mountain Talk」(V7)や、すぐ後ろにある「Spider Valentine」(V10)が比較的登られています。その他にも課題はありますが、このエリアは実質的にこの2つの岩しかありません。

 正直、ここはLuckyだけを狙って行くエリアのように思います。でも、Luckyはそれだけ価値のある課題です。花崗岩ボルダーには珍しく、かかりの良いホールドをダイナミックに引いて登っていきます。特に最後のランジを止めたときの快感はたまりません。ちなみにLuckyのスタートホールドはグルーで固められています。開拓当初から剥がれそうだったから、というのがその使用理由とローカルから伺いました。BishopのSpectreも同じようにスタートホールドにもグルーが使われていますが、それと同じように、どうしてもこの課題を残したかったのかなと、個人的には感じました。

 その他の留意点としては、このエリアは国立公園内にあるため、ナイトボルダリングはもちろんのこと、火気の使用も禁止です。チョーク跡もきれいにして、ゴミもきちんと持ち帰りましょう。基本的なマナーは日本のそれと同じですね。

北漢山エリア

 実は今回のツアーでは行くことがなかったのですが、5年前に一度訪れているので併せて紹介したいと思います。このエリアの看板課題はこちらもSon Sangwon氏が初登した「Mad Rock」(V11)です。先に書いておくと、このエリアにもいろいろと課題はありますが、登るべきはMad Rockぐらいです。動画を見ていただければおわかりいただける通り、とても顕著なクラックをたどっていく見た目に素晴らしい課題です。

 ではこちらもアプローチを紹介していきます。最寄り駅は牛耳新設線 (UI線)のBukhansan Ui駅になります。ここからタクシーでBukhansan National Park Baegundae Visitor Centerまで向かいます(バスもあったように思いますが、タクシーのほうが便利だとローカルクライマーから聞いています)。ここは北漢山の登山口となりますが、マルチピッチクライミングで有名なInsubongにもここからアプローチしていきます。

Insubongでのマルチピッチクライミング。韓国のヨセミテみたいな場所。(引用元

 ちなみにここからは記憶が曖昧です(おいっ!)。岩の場所はこちらになりますが、Mad RockはこのInsubong岩壁の基部にあり、メイントレイルに沿って1時間弱ほど歩いたところにあります(結構遠かったです…)。上の写真を引用させてもらったブログ情報でも同じトレイルを通っていますので参考になると思います。また、Mad Rock周辺にあるその他の課題については27cragsを参照ください。

ひたすらInsubong岩壁を目指して歩いた記憶がありますが、遠かった…。

 ここからは若干水を指すような内容になりますが、ローカルクライマーに聞いたところ、Mad Rockのスタートホールド(右手)はチッピングで作られたホールドだそうです。そもそもこのあたりのボルダーは、マルチピッチクライミングを嗜むクライマーが遊び感覚(岩登りの練習?)で登り出したのが始まりで、その中でMad Rockのスタートホールドが加工されオープンプロジェクトになっていたそうです。欧州ではよくある話ですが、オリジナルがどれぐらいハードだったのか、個人的には気になるところですし、その状態のMad Rockをトライしたかったなと少し残念な気持ちになりました。とはいえ5年前に敗退しているので、またいつか再訪して登りたいと思います。
 
 尚、北漢山城エリア同様、こちらも国立公園内のエリアになりますので、ナイトボルダリングと火気の使用については控えるようお願いします。

 次回はもう一つのエリアであるMoraksanを紹介したいと思います。ここは2020年以降、Chon Jongwon氏が次々と高難度課題を拓いたエリアで最近一番ホットなエリアです。お楽しみに!

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