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就職する?大学院行く?

2021年3月18日、就職のため2年間在籍した研究室を後にしました。この2年間を振り返るいい機会なので、ざっくり大学院生としての生活を振り返りたいと思います。

自身を振り返りつつ、大学院への進学についても、私見が主ですが、簡単に触れました。もし院進学したい(特に他大に行きたい)学生の背中を少しでも押せたらいいなとか思っています。

わたしについて

私は学部時代は富山大学/理学部/生物圏環境科学科で過ごし、卒論のテーマは、地熱発電に関するもので、熱水配管内部に沈着し発電効率を下げる原因である「シリカスケール」の生成をリアルタイムで測定するセンサーを開発しよう!というものでした。
その後、北海道大学/環境科学院/地球圏科学専攻に修士課程から移籍し、そちらで、過去2000年間の北海道道北の気候変動を復元し、在来文化にどのように影響を与えたかというテーマで修論を書きました。

全く関係の無いテーマですね...
他大の大学院に進学して、学部生含めて3年でやるはずの研究を修士から2年でやるなんて、研究としてどうなのか?という問いには、仰るとおりで浅いですし、たしかに研究と呼べるものでは無いのかもしれません。
でも自分でホントにやりたいことを探した結果、北海道にあったのでそちらに行っただけなのです。この選択に全く後悔はなかったし、今でもこっちに来てよかったと心から思います。環境科学はホントに裾野の広い分野です。テーマにはどこかで必ず繋がりがあることにも気づくことができました。

もし大学院進学を考えたら、周りの意見になど流されず、自分のホントにやりたいことがその学科の研究室でできるのか是非一度考えてみてください。やりたくない研究を3年続ける義務など存在しません。

大学院進学にあたって

大学院に進学しようと思ったら、ぜひ考えてほしいことがあります。

院生としての生活は、就活するにしても博士課程に進学するにしても「師事する先生次第」です。指導教員の就活への考え方や指導方針は確認しておくといいと思います。博士課程への進学を考えている方は、先生の論文の投稿数や助成金等に採択された研究の数に注目しておくといいと思います。【伝えたいこと】給料もない(逆に学費を払う)のに貴重な2年間を研究に捧げることができますか?そこで得た専門的な知識は就職すると役に立たないのでは?意味ないのでは?

↑みたいな質問にしっかり答えられるようになった上で院進学を決めるといいと思います。博士課程に進学せずに就職する場合、みなさんが2年間で研究を通じて得たいものを明確にした状態で修士論文研究に取り組む必要があります。

私の場合は
・pythonやRでの統計解析を実行できるスキル
・ロジカルな説明
・プレゼンがうまくなりたいなぁ、とは漠然と考えていました。

そのために最低限ですが日々の研究室ライフで以下の点を意識していました。(就職した後も活きると思って)

1. 先生に質問するときは必ず仮説を持ってする。(「先行研究でこういう文献があって、この解釈はこれで正しいですか?」みたいな感じ。「先生これがわかりません教えて下さい」はNG)

2. 先生に論文を紹介してもらうことをなるべく避ける。先生の操り人形になると思考が止まるので。それはもう研究じゃなくて作業。(なるべく自分で文献を調べて研究をデザインしていく姿勢を持ち続ける。)

3. 考えることをやめない。(仮説を常に持って、検証する姿勢を保ち続ける。)

研究のクオリティはまだまだですが、以上の3つは貫けたと思っています。まとめると、自分なりにテーマ性のある研究生活を送るといいと思います。

修士研究で得られるスキル(就活に役立つ視点)

・英語力(論文ちゃんと読めば)
・ロジカルな文章力(修論にちゃんと取り組めば)
・プログラミング力(解析やグラフを作る上であえてエクセルに頼らずにPythonを使えば)
・プレゼン能力(パワーポイントや人前でしゃべる経験)
・仮説検証のサイクルを回す実践の経験

研究室を選び方(他大学の院に進みたい人も)

企業の経営状況を把握するフレームワークの1つである3C分析を研究室に適用して考えてみました。
Company(自社環境)→研究室内の環境
Customer(市場環境)→研究分野の社会的位置づけ
Competitor(競合環境)→同じ分野の研究者との関わり

研究室の環境(Company)

先生のポジション(40代男性准教授 など)
研究室の人数(人数は少ないほうが先生のリソースを多く配分してもらえます。雑務も少ない。)
資本力(科研費など、外部からお金をとってこれているか。面白いテーマで研究できるかはここでほぼ決まります。)
社長(指導教員)の人柄(すごく大事です、、尊敬できるかなど)
指導の力の入れ具合(ゼミの回数・コアタイムの有無)
放任主義・教育熱心(~研究所は放任傾向。~大学院は教育熱心な傾向。)
事業(研究)内容はおもしろいか(そもそも)

研究分野の社会的位置づけ(Customer)

その研究分野で就職先で自分の活かしたい専門性・知識・技術を得られるのか(食品業界なら農学院..等)。
その研究分野は社会的に熱いか・注目されているか(AI・自動運転・気候変動...etc)
研究分野の魅力を語ることは就職活動においても求められます。研究そのものへの意義を認識するためにも、自分の研究が社会のどの部分に役立っているのかを様々な業界との関わりから理解しておくことは、研究と就職活動の両方に良い効果をもたらします。

共同研究者のコミュニティ(Competitor)

論文を書くにあたり、先生方は研究領域の近い研究者と共同研究を行っています。院進学するなら、共同研究者の研究室への進学も視野にいれるといいと思います。学部までの知見が修士でも活きるし、何より視野が広がります。あと知り合いなので頼めば共同研究者の先生に繋いでもらうことができます。
完全に主観ですが、人付き合いが苦手そうな先生は共同研究者も少ないので研究の幅も狭まってしまうように感じます。また、誰にでも高圧的な態度を取る先生も同様のように感じます。
自分の師事しようとする先生が人当たりいいか(友達がいそうか)は、その研究室に所属した場合、自分の研究室ライフに割と本質的に効いてくるのかもしれません。

一番伝えたいことは、就職にしろ大学院進学にしろ、

自分で目的と責任を持って選択する

ということです。

今学生の人はやりたいことなんでもできます!ぜひ楽しんで、最後は自分で決めてくださいね(^^)

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