前回
四月四日の日曜日の正午過ぎ、ニクシムが送り込んだ三体の巨獣に立ち向かった社員戦隊ホウセキVは、五色のイマージュエルを全て宝世機に変え、更には五つの宝世機を合体させて想造神・ホウセキングにして、三体の巨獣を撃破した。
地球から遠く離れた小惑星にて、銅鏡が映し続けた映像を見て、マダムは困惑したように顔を歪めていた。
「地球のシャイン戦隊の想造神、伝説に違わぬ強さか? 五人がかりとは言え、妾やザイガと同じ域まで達するとは……。あの者共、本当に侮れんな……」
驚きが大き過ぎ、普段なら絶叫する筈だが乾いた笑い声を上げたマダム。
隣のザイガは、意外にも体内からの音を一切立てていなかった。耳鳴りのような音も、鉄を叩くような音も。
「これは想定外です。方針を練り直す必要がありそうですね」
ザイガはそうとだけ言い、静かに踵を返した。
避難誘導を聞かず、遊園地でマダムたちに映像を送り続けていたゲジョーは、三体の巨獣が撃破される様子を見るや、その場で両膝を折った。
ゲジョーの目は多量の涙で滲んでいた。スマホも、思わず落としてしまった。
(あんな物は違う! 私を救ってくださった【希望の巨人】とは別物だ!)
ゲジョーは泣きながら、自分の手で自分の太腿を叩く。
涙を流す彼女の目には、記憶中にある忌まわしい光景と、それから自分を解放してくれた【希望の巨人】の姿が映っていた。
(泣いている暇があったら悪を憎み、憎心力を高めろ!)
泣いていたゲジョーは過去を思い出し、自らを奮い立たせながら再び立ち上がった。落としたスマホを手にして。
そして、マダムの言葉を頭の中で反復する。
(次は私の番です。地球で虐げられている者たちの為に、微力でも戦います!)
決意を新たにしたゲジョー。
その情動に呼応するかのように、服装はゴスロリ調のものに変化した。あの日、マダムに与えられた装束に。顔にも、あの日マダムに施された化粧が再び浮かんだ。
その目を濡らした涙は、もう乾いていた。
次回へ続く!