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叶とわ子・外伝(あとがき)

#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門

    この度は、叶とわ子外伝をお読み頂き、ありがとうございます🙇‍♀️
   この記事では、制作経緯や裏話を明かしていきたいと紹介していきます。



1、心の雛


   この作品はpekomoguさん原作の『心の雛』の外伝なんですが、実は『心の雛』のパイロット作品的なものがあったんです。

    心が剥き出しの人は、心を守るために心が棘だらけになっているという設定は納得できました。実は荒々しい人ほど、素直だったりするんだよ、的な意味だと思いまして。

 
   その後、パイロット作品が改良されて、タイトルも『心の雛』に変更されたんですが…。

    私、申し訳ないですけど、最初は舐めてました🙇‍♀️
「創作大賞に出す為に、短編をバラしたね」としか思ってなかったんです。

    でも、第三話、第四話あたりから認識が改まりました。短編時代には無かった設定が明示されてたんです。

    その設定は『妖精が医療資源として狩られている』というものでした。

    これは強烈な設定でした。
 それに伴って、叶とわ子という新キャラも登場して、パイロット作品よりも厚みを増した作品になりました。
    このお蔭で、本来のテーマである『心の在り方』以外のことも考えさせられる、そんな作品になったと、私は感じました。


 なお、本家・心の雛へはこちらから。


2、叶とわ子が主人公になった経緯


    妖精狩りに疑問を抱いているのは心先生くらいではないハズで、妖精を狩らずに薬を作る研究をしてる人とか、きっと居るよね?
    と考えて、最初は園崎を主人公にしたプロジェクトX的な話を思いついたんです。この段階では、原作のキャラは出さない予定でした。

    しかし、この話をpekomoguさんにしたら、
「そういう内容なら、叶とわ子を主役にして欲しい」
    という要望を受けました。

    最初、この要望の意味がわかりませんでした。話を持ち掛けたのが、叶が心先生に怪我をさせる前でしたから。

「あの変なオバサンが、なんで妖精の味方になるの?」

    と、疑問しかなかったです。

   でも最終回まで読んだら、考えが変わりました。叶とわ子は方針転換してましたから。

    それなら、叶とわ子が考えを改めた経緯や、これから具体的に何をするのかは、ちゃんと描かなきゃと、私は思いました。

     という訳で、叶とわ子が主人公になったんですが、これが意外に描き易かったんです😲

    叶とわ子は背景事情に不明点が多かったので、自由度が高いキャラだったのもありますけど、よくよく考えたら『心の雛』のキャラの中で私と親和性が最も高いのは、確実に叶とわ子なんですよね😅   極端な話ですが、雛みたいキャラは描いたことがないので😓

    という訳で『思い込んだら一直線の熱いオバサン』を芯に、使命感に燃えていた理由と、道を誤った経緯、そして過ちを認めた上で何をするのか?

    これらをしっかり描いて、叶とわ子をカッコ良くしよう😆
   心先生を怪我させたことにも、ちゃんと罪悪感を抱いて反省させましょう😆

    そう思って、叶とわ子シリーズが誕生しました。


3、妖精狩りの理由付け


    ここは詳細にしたかった部分です。
    小さいだけで、人間と同じ形をした、人語を介する動物の頭を切り落とすという設定が衝撃的でした。

   こんなことが抵抗無く行われている理由を、いろいろ考えました。


    実は妖精は虫人間みたいな外観で、心先生みたいな能力者にだけ人間の姿に見えている?

    言葉は物理的な発声ではなくテレパシーで、心先生みたいな能力者しか受信できない?


    しかし読んでいると、どうやら妖精は羽の生えた小人で擬態ではなく、声もテレパシーではなく物理的に発声しているらしい😲

    人語を解する小人である妖精が殺されるようになった理由を、真剣に考える必要が生じました😖


    そこで目に留まったのが、妖精は魔法を使えるという設定。これは人間にとって、脅威になりうるのでは?
   作中では、叶とわ子を家の外に出すことまでしています。これだけの力があれば、人間を殺せるのでは?

    そう考えた結果、『捕まりそうになった妖精が魔法で対抗した結果、人間を死なせてしまった』という展開を思い付きました。

    そうすれば妖精は危険生物と認定され、その場で殺すという方針になっても可笑しくはないなと。

    現に熊をはじめ、人間を殺す力のある生物は、問答無用で殺されています。だから妖精もその括りに入れられた、ということにしました。


    その場で殺して採血という不衛生な方法を選んでる理由は、『生け捕りにして清潔な製薬工場に運びたいけど、途中で魔法を使われたら死傷者が出かねない』ということにしました。


    また、原作では妖精が人語を解することが知られていなかったので、妖精そのものの研究が進んでいないと窺えます。

    これも、『危険すぎて飼育下で観察は不可能と思われていた』と解釈すれば納得できます。


    このような感じで、原作の背景に説明を付けるのは、割と楽しい作業でした。


4、人形作家に関して


    原作のラストシーンで叶が雛に服を渡すシーンが凄く気になったんですよ。

「その人形作家は、どうしてサイズぴったりに作れたの?」

 
  最初、ここは気になったけど、「気にすんな!」の精神であんまりツッコむ気が無かったんです。
(ヒーローが名乗ってる最中、どうして敵は攻撃して来ないの? 的なツッコミのような気もしますからね😅)


    しかし、ここで急に『妖精の生首ぎっしりの小瓶』を思い出しました。これは叶が殺した妖精の生首ではなく他人が殺したもので、叶は妖精を殺していないということが、pekomoguさんとのやり取りで判明しました。


    となると…。

    この際、人形作家は妖精捕獲員で、作品の参考資料として、妖精の体や服を保存している。

    そして、雛を襲った人だということにすれば、サイズぴったりに作れた理由もこじつけられるね! 

   しかし、ちょっと触っただけでサイズが把握できるとか凄いね😲

    凄腕職人ですから😤


    とまあ、そんな経緯で生まれたキャラですが、結果的に妖精捕獲支援窓口の実態や、叶が始めた妖精保護活動などを示すことができて、私としては成功でした。

    ただ…😖


    親の仇の作品をプレゼントするって、どうなんだろう?

   ここは引っ掛かってます。



5、終わりに


    本作を上げて、己の力不足を感じた点がありました。

     第2、3話の有識者会議で、心先生の師匠以外のほぼ全員が酷い人に感じられたみたいで、これは失敗だったと思ってます。


    私としては、昆虫学者(名無し)は性格の悪い人は性格の悪い人、広報官は妖精狩り推進の結論を出したい人として描きましたが、生態学の先野先生は普通の人として描いたつもりでしたが、批判的なコメントが多かったですね😖

    先野先生は、自分の指導学生を妖精に殺されてますから。妖精を危険視するのも、心先生の師匠の発言を無神経と受け取るのも、当然と思ってましたが…😖

    皆さん、原作を読んでいらっしゃるから、妖精寄りなんですよね。それを計算に入れなかったのが、失敗の原因です。


    妖精狩りに対する私の考えは、園崎と叶に言わせた通りです。

要するに、妖精が人間と同じような心を持ってるから弔って欲しいし、これ以上狩られないようにして欲しい。そういうことで良いですか?

つまり貴方は、もし妖精に人間と同じような心が無かったら、滅ぶまで狩り尽くしたし、弔おうとも思わなかった。心があるとか無いとか、そんな理由で差別したんですか?

第六話より、園崎進の台詞

他の動物を殺してその肉を食べるのと同じレベルの話じゃない?

第3話より、叶とわ子の台詞

 

 でも、「捕獲ちゃんで狩れ!」と命令されたら嫌だな。可哀想だし。そんな心境です。


    叶に関しては、他人が保護していた存在を殺そうとしたのがイカン。

    作中社会に関しては、無計画な乱獲になってるのがイカン。


    そう思ったから本作を書きたくなった次第で、妖精の医療資源としての利用は仕方ないと思ってますから。

    この辺の考えは、こっちにしっかり書いてますね。



  まあ、いろいろと書きましたが、結局のところは読んで頂かないと話にならないものですからね😅


    スピンオフを了承してくださったpekomoguさんと、読んでくださった皆様への感謝で、あとがきを締め括りたいと思います😆


    どうも、ありがとうございました🙇‍♀️


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