家(誰かの胸の中)
私は家が好きだ。
それは、物質的な意味でも、精神的な意味でも。
昔からインドア派で、家の中でずっとだらだらできるタイプだった。家にずっと籠ることができる性分。
1人で過ごすのが好きだから、自分しかいない空間で、ご飯を好きな時に好きなだけ食べて、観たい映画やドラマを観て、好きな雑誌を読み返したり、鼻歌と呼ぶには大きすぎる声量で歌ったり。
秘密基地みたいな、手の届く範囲に好きなものがあるあの感じが心地良い。
建築を好きになってからは、建築物としての家も好きになった。街歩きは、可愛いデザインを持つ家や、管理人の手入れが行き届いているなと感じる家を見つけるためにやってるみたいなところがある。
今思えば、小学生の頃から、新聞と一緒に入っていた新築のマンションや一軒家のチラシを見るのが好きだった。もし自分がここに住むなら、ここにベッドを置いてここにテーブルを置いて、といったように頭の中で家具の配置を考えて自分がどうやって過ごすのかを妄想していた。今でも、不動産の物件情報を見ては同じことをしている。
家の中で過ごす時間、建造物としての家。それらが好きなのは自分でも自覚していた。
でも、ここに新たな捉え方が加わった。
精神的な意味の家。そのきっかけとなったものについて書きたいと思います。
『冷静と情熱のあいだ』江國香織
1番好きな作家は?と聞かれたら江國香織さんと答える。『きらきらひかる』を読んだ時、私にとってこんなに心地よい文章があるんだと目から鱗だった。言葉が好きになったのも彼女の影響だと思う。
そんな衝撃的な読書体験から2冊目に読んだのが『冷静と情熱のあいだ』という作品だった。その中で、ある人が主人公のあおいに向けた言葉がある。
居場所の意味を文字通りに受け取ると、どこかの場所を指していて、例えば、家や学校、職場が思いつく。でもそれは結局、その場所にいる人が重要で、場所=人。家ならば家族や恋人、学校ならば友だち、職場ならば同期や先輩・後輩。
この人といる時、楽だなとか安心するなとか、そう感じる時に私の居場所はここなんだと思う。「誰かの胸の中」。
『VOLCANO』Stray Kids / HAN
すいません、好きなアイドルの曲の話をさせてください(土下座)。
韓国の事務所JYPに所属するStrayKidsのメンバー、HANが作った曲。
「君の胸、僕の家、僕の息、僕の神」という意味です。
この曲自体は、「冷たい荒波の中では熱い君が必要 You're my volcano」「黒色の夜も 君さえいれば僕は怖くない」など、君が好きという言葉は一つも出てこないけど、大切で守りたい君に向けた歌詞であることがわかる。(歌詞が良すぎて書いている今泣きそうになっている)
その中で、この引用部分の歌詞が出てくるのは2番。ここはラップになっていて、StrayKidsの中でメインラッパーを務める彼らしく、韻を踏んでいるというのもすごいんだけど、この日本語訳が目に入ってきた時、ものすごくハッとした。
「君の胸」の後に続く、「僕の家」「僕の息」「僕の神」の3つは並列表現で、「君の胸」とイコールで繋がるのかなと個人的に思う。
自分にとって「君の胸」は「家」であり、「息」であり、「神」である。それって、帰る場所であり、必要不可欠な存在であり、心の支えであると私は解釈した。
ここで、君の胸→心→家、と結びついたんです。心の中にある「家」もあるんだと。
引用部分だけでなく、他の歌詞もメロディーも本当に素晴らしいので、一回、一回で良いから聴いてほしい。この歌詞を書くHANという人間にすごく興味が湧いた。
「スキズは自分にとって家である」Stray Kids / Lee Know
またStrayKidsです(土下座)。
2023年3月25日、デビュー5周年を記念して行われたYouTube Live内で複数の質問にメンバーが答えるアンケートが行われました。
「スキズは自分にとって()だ。」の()内に入る言葉をメンバーが答えるんですけど、私のいわゆる推し、LeeKnowさんは「집(家)」と答えていました。
私はこの答えを知った時、泣きそうになりました。
この時には江國香織さんと『VOLCANO』によって、「心の中にも家がある」という考えが私の中にあったので、リノさんには帰る場所があって、そしてそれがスキズであると思ったんです。それがすごく嬉しくて。この時に、心の中の家=居場所なんだと思いました。
これ、Live中は、「なんで家なのか理解できない」「意味がわからん」とメンバー間で物議を醸し、笑いを掻っ攫ってたんですね。当の本人も「そんなこと書いたかな?」みたいな反応してます。
実際に、メンバーは4:4に分かれて一緒の宿舎に住んでいて、同じ家に帰っているので、私が冒頭に書いた物質的な意味の家をさしているのかもしれません(笑)。それもそれでリノさんらしいなと思うので、その答えが宿舎であろうが、心の中の家であろうがどちらでもいいんですけど、私は後者の意味も含まれていると信じています(都合よく解釈するのもオタクの処世術)。
精神的な意味の家
自分の居場所は誰かの心の中にしかないこと、心の中にも家があること。『VOLCANO』の僕にとっては、君の胸の中が自分の居場所であり家であること。
私も、自分にとっての居場所は誰の胸の中だろうと考えるようになった。その答えはまだ出ていないけど、その答えがあるのならば、きっとその家は、気を張ったり我慢する必要がなくて、心地良いのだろうなと思う。普段頑張って動かしている羽根を休めることができる場所。
人生には楽しいことだけじゃなくて、むしろ辛いことや大変なことの方が多いんじゃないかと最近思うけど、でも、そういう風に自分の居場所だと思える家が1つでもあれば、生きていける気がするね。
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