【読後感想】みかんとひよどり 近藤史恵

またしても「食」に関する小説を読んだ。kindle巡回していたら美味しそうな表紙に惹かれて手に取った一冊。

みかんとひよどり 著:近藤 史恵

フランス料理のシェフ潮田が成績優秀にフランスで修行をして、意気揚々と日本でお店を持つも何店も潰し失意の中、山で遭難しているところから物語は始まる。
まるで泣きっ面に蜂状態で死をも覚悟した時、一人の猟師に出会う。
この出会いをきっかけに潮田はより自分の料理や取り巻く環境を見つめなおし、成長していく話が大筋だ。

また潮田が振る舞う「ジビエ」料理を通して「自然」「人間社会」「いのち」「選択と責任」など様々なテーマが折り重なっている。それぞれのテーマに対して登場人物の背景や価値観から語られるエピソードに読後、考えさせられる。

やや重たい印象でまとめてしまったが、小説自体は小気味いい語り口でスイスイと読める。主人公の心情がわかりやすく、愛犬たちの可愛らしさに口角が上がる。グルメ好きにも犬好きにも刺さる小説だ。

さぁ今日の夕飯は何にしよう?潮田ほどおいしそうな料理は作れないけど、たまにはフランス料理みたいに手が込んだものに挑戦したくなる。
ま、作れないからデパ地下を覗こうかな。

ぜひ赤ワインを用意してどうぞ。

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