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コラージュ・ど・ジャパン(焼き立て)

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夢で会いましょうのパクリです
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2022年11月の記事一覧

「ネ」タバコ

にゃんちゃんちょっとそこどいて 寝た体制のまま猫を腹の上からどかす動作をして、寝ながらハイライトを一本取り出し火をつけ、灰皿を近くに持ってくる動作をした。 頭の中で想像するだけで行きたいところへ行ける。 映画「ジャンパー」のヘイデン・クリステンセンのように。 俺が住む団地の前の公園で子供たちが遊んでいる。 俺だって子供の頃はそこで遊んでいたから、俺の方が先輩だ。 ちょっと先輩の威厳を見せに行こうかな。 おい少年少女。 俺はお前たちの先輩だ。 何かいうことは? おい、

「ヌ」ー

  じゆうけんきゅう:かみずもう 一年三くみ  よし川 たけと   はじめに  ぼくはかみずもうを作って、あそんでみることでじゆうけんきゅうになるとおもった。   作りかた  まず、白いかみとくろいかみと、つね田とい口をよういする。  白いかみをはさみできって、おすもうさんの体にする。  つね田とい口のかおだけきって、おすもうさんのくびにのりではる。  くろいかみで土だいをつくる。  かんせい!   あそぶ  はっけよーい、のこった!  たのしい  

「ニ」ッポンのあそこで

かつて日本を壊滅的に破壊した大怪獣が太平洋のど真ん中で死に絶え腐敗して体内にガスが溜まって大爆発して久しい。大怪獣は地球の人口を半分にした。ここ日本では約一億人がなくなったと言われているがあの災害が起こってから十年経った今でも復興とは程遠い荒れ果てた島国のままだから正確な死者数なんて誰がわかる?あの時東京へ行くサヤカを駅で見送らなければ離ればなれになることはなかったと思うとあの時の自分を恨み殺したくなるけれど恨み殺したところで結局一番大事なのは自分自身なのだからそもそもサヤカ

「ナ」ンチャン

 南原清隆の頬骨を見て不快感を覚える人間はそう少なくない。あの逆スクリームフェイスのような彼は不気味の谷の体現者だ。中には恐怖すら抱く人がいるだろう。これから紹介する少年はそれ故に悲劇的な結末を迎えた。どこにでもいそうな少年の夭逝。それは奇妙な事故だった。  彼は三重県四日市市の小さな産婦人科医院にて生を享けた。生まれつきの虚弱体質であり、日光アレルギーと重度の喘息が原因で小学校低学年から不登校だった。それ故彼は友達が一人もおらず、両親以外で話す人間は、自分の体調を定期的に聞

「ト」ルコアイス

街灯の下でギターを弾く若者 歌がないからつまらない 仲良く手を繋いだ男女 彼氏の割に彼女ブス お腹が空いたからレストランにでも寄ろうかしらん 「すみません、空いてます?」 「空いてません。」 空いてなかったからコンビニへ行こう 「すみません、空いてます?」 「空いてません。」 空いてなかったからトルコアイス屋へ行こう 「すみません、空いてます?」 「空いてません。」 空いてなかったからトボトボ帰る 銀行の前を通ったら、店員さんが喋ってきたよ 「お

「テ」クノポップ

デテンテテン、デテンテテン、ボン、ボン、ボン。 デテンテテン、デテンテテン、ボン、ボン、ボン。 デテンテテン、デテンテテン、ボン、ボン、ボン。 ミュージック、ノンストップ。 テクノポップ……  気味悪いポリゴンが弦楽器の音色を掻き分けてやってくる所で目が覚めた。寝覚めが悪い。アルバムで見ると、まあ、普通? という感じだけど、夢の中で自立してやってくると言うのはめちゃくちゃ不気味で怖い。でもやっぱりクラフトヴェァルクはかっこいい。 ボインボッチャック、 ボインボッチャッ

「ツ」ルノの恩返し

 私には夢がある。それはつるの剛士の邪悪な災厄を私が取り去ること。  私はユズ。都立の女子校に通う16歳。つるの剛士のことを知ったのは保育園の頃。ヘキサゴンを見ていたらひょいとつるのが出てきた。その時はなんとも思わなかったけど、その晩ある夢を見たの。  夢のなかでお婆ちゃんが語りかけてきたの。 「つるの剛士の災厄を取り去るのはユズ、お前の役目じゃ。つるのの災厄を取り除いた時、お前にゃ幸福が訪れる。」  その日から私はつるのを救うことだけを考えて生きてきた。私がつるのの災

「チ」キンラーメン

 「日清のチキンラーメンってありますよね、あのう元祖インスタントラーメンやら何やら。まあ正直それ語るの自信ないんで、そこら辺は語れないんですけどぉ」  (…)  「ボクが今回話したいのは本当にそういうのじゃないんです。麺が美味いとか、汁不味いとか、そう、料理の質とかの話ではなくて、もっと高次元のものでして」  (…)  「あのう、新垣結衣知ってますか?」  (…)  「えーと、そう、正にチキンラーメンのCMに出てたぁ。それについて語りたいわけでして、いや別にガッキーのこと話し

「タ」バコの煙の細くたなびきたる

「タバコがなければ、買いに行けばいいじゃない」 かつてそう言ったマリー・アントワネットが老衰で死んだ。 俺はマリーの葬式へは行かなかった。 泣き腫らした顔で式場へ行き、さらに泣き続けることをわかっていて、マリーに合わせる顔など無いだろう?   だから俺は近所の公園へ行って、一人でマリーへの追悼式をすることにした。 この公園はマリーとの思い出の場所で、二人で初めてモンゴル相撲をしたのも、あそこの砂場でのことだ。 勝てないとわかっていても俺に向かってくるマリーのその闘志

「ソ」イ・ソースマン

 202X年……世界は水に浸され、圧力をかけられ、煮られ、小麦と種麹を混ぜられて発酵させられ、塩水を足されて醸造された。海は醤油になり、地は裂けて豆皮になり、あらゆる生命体は絶滅したかに見えた。  だが、人類は死滅していなかった。身動ぎもせず、何も考えず、耐え抜いた。  あらゆる混沌が寂莫を覚え、一切が眠りについた頃、残された彼らは昏き世界へと顔を出した。  されど、待ち受けるは無間地獄。無限の死などそれまで。真の苦しみ相対す。  今まで築かれた文明は悉く崩壊し、それに乗じて

「セ」アブラマシマシ豚骨ラーメン

『』内の語はショウゴのモノローグを表す ━━━手に着いた血をデニムジャケットの裾の裏でぬぐい、ショウゴはラーメン弥彦へ入った 「へい、らっしゃい!空いてる席どうぞ」   『年中機嫌の良い店主は頭が空っぽなのではないかと思う』 「ネギ醤油ラーメンに味玉付きで」 「ハイ ネギショー アジタマツキデ!」 ━━━ショウゴは爪にこびりついた血をおしぼりで拭き取る   『この店のネギ醤油ラーメンは最高だ。黄色い昔ながらのちぢれ麺が、醤油ベースの旨味を凝縮したスープによく絡み、麺

「ス」テイプル・ステイプラー三世

謎多き天才。 科挙が導入された年に生まれた。 体重はプリングルス三万枚分。 IQは小グラハム数よりも3高い。 幼少期、トー横で炊き出ししていた。 二歳の時、「ズッコケ三人組外典」で芥川賞と直木賞をダブル受賞した。 三歳の時、ノーベル賞全部門制覇。 四歳の時、映画「コーヒーが冷めないうちに2」でアカデミー作品賞及び、パルム・ドール、金熊賞、金獅子賞受賞。 将来の目標:エディー・マーフィーの吹き替え 好きな芸能人:あいみょん 好きなちいかわ:ハチワレ 好きな作家:自分(唯一無二)

「シ」ン・絶対可憐チルドレン

 抗えないほどの巨大な恐怖に足元から襲われて、死の感慨と向き合う暇もなく深淵へと引き摺られるイメージ  目が覚めた。目が覚めてくれた。これほどまで起床に感謝したことは無い。眠るという行為は自分の意志の管轄外でその処理が行われるから、寝て起きる、寝て起きる、「こんな当たり前のサイクルなんて」とあなたは思うかも知れないが、当たり前なんかじゃないし、それがもし本当に君が言うところの『当たり前』なのだとしたら、それは足立区不燃ゴミセンターに集められた足立区中(必ずしも足立区民の廃棄物

「サ」ーロインステーキ

 サーロインステーキを「ペッパーランチ」横浜天理ビル店で食べたとき、一回オナニーでイッた後、無理やりしごいてもう一度絶頂したときレベルで幸せだった。これを食った後は別に死んでも良かった。「朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり」、というやつだ。あの時、「サーロインペッパーステーキ」が僕の真理だった。  あれは大学一年の終わりだ。雪か降るか降らぬか分からない程の寒さ、コートを羽織り、ただただ美味いレストランを求めてぽっちらぽっちら歩いていた。あの時、僕の生きがいは読書と食事で、思う