今週の動き(11/13〜)

今週の政局
 今週の政界の動きは激しかった。神田憲次財務副大臣の辞任、岸田文雄首相の訪米、高市早苗経済安保相の勉強会立ち上げ、池田大作名誉会長の死去など、大きなニュースが駆け巡った。月曜日の報道から順に追っていく。

【月曜日】
神田財務副大臣が辞任
 税金を滞納し、所有していたビルが4度も差し押さえられるていたことが先週水曜日の週刊文春のスクープによって明らかになった。首相周辺は三人目のドミノ辞任を避けるため、当初は辞任させる考えはなかった。しかし、月曜になり、神田氏に他の疑惑が生じたため、午前に複数の党幹部から辞任論が浮上し、昼頃に岸田首相が更迭の意向を固めた。
 副大臣人事は、派閥の推薦を受け官房長官が中心となり取りまとめる。神田氏は安倍派所属であり、松野博一官房長官は安倍派の幹部である。内閣改造時に副大臣・政務官に女性がゼロであったことや、山田太郎文部科学政務官の不倫、柿沢未途法務副大臣の選挙違反と不祥事が続く中、岸田首相だけでなく、松野氏の人選の責任と問われることであろう。

小泉進次郎元環境相がライドシェア議連立ち上げ
 小泉進次郎元環境相が超党派のライドシェア議連を立ち上げた。ライドシェアの必要性は、菅義偉前首相が旗振り役となり推進に向け発信を続けてきた。菅氏に近い河野太郎デジタル相、小泉宇治の動きはライドシェアという政策議題に元に総裁選に向けた結集をするとともに、岸田首相に対して揺さぶりをかけているのではないかとの見方がある。ただ、ライドシェアについては岸田首相も検討の方向で動いており、大きな政局の火種になるとは考えにくい。


【火曜日】
万博工事増額で維新の支持率低下
 大阪万博で建設費増額や、パビリオン建設の遅れ、参加国の脱退が相次ぎ、維新のイメージダウンにつながっている。維新は大阪以外では首長選で苦戦しており、京都府の八幡市長選では自公立の支援を受けた川田翔子氏が当選し、維新の候補を破った。一昨年の衆院選で野党第一党を伺うほどの勢いはなくなっているようだ。

【水曜日】
GDP速報値 年-2.1%
 相次ぐ値上げを受けて、個人消費の落ち込みが目立った。消費者の値上げ疲れが見られる。また、景気の先行指標とされる企業の設備投資も弱い。建設費の高騰などが原因とされる。

高市氏勉強会始動
 次期総裁選に意欲を示す高市氏が「日本のチカラ研究会」を立ち上げ、初回の会合では岸田派を除く派閥から13人が集まった。また、参加届を出した議員は40人にも上るとのことである。
 13人という数字は、総裁選立候補に必要な数字の20人に届かないが、少ない人数である。勉強会自体は、次期総裁を同様に狙う河野氏の火曜会、西村康稔経済産業相の戦略研などがある。しかし、高市氏勉強会のタイミングが悪く、岸田内閣の支持率が下落する中、閣僚の裏切りとして捉える議員も少なくない。また、岸田首相が訪米したタイミングと重なったのも悪かった。


【木曜日】
防衛増税 25年度以降に回避論
 2025年は参院選と重なり費用負担の議論を避けたい自民党は、25年以降に増税議論を進める算段をしている。来年以降も税収増が見込めることが裏付けとなっている。

【金曜日】
NTT法 党内で賛否
 防衛費増額の財源案として浮上したNTT株売却に関連してNTT法の廃止も党内で議論されている。NTTの国際競争力を高めるため、全国一律の電話サービスなど阻害要因を廃止を目指す甘利明PT座長と、総務省に近く規制撤廃に反対の野田聖子情報通信調査会長との間で相違が目立った。
 NTT関連は萩生田光一政調会長が主導しており、甘利氏も携わる。萩生田氏の推進力に期待されているが、党内で妥協点を探る方向も検討する必要がある

税調キックオフ
 令和5年の税制改正に向け、自民党税制調査会での議論が始まった。今年の主な争点は、所得税減税・賃上げ税制・扶養控除縮小・戦略分野国内生産促進税制などがあげられる。

日中首脳会談
 岸田首相は習近平国家主席と約1年ぶりに会談した。日中間の懸案事項である処理水放出、スパイ容疑の邦人引渡しなどは進展が見られなかった。しかし、中国の景気減速を背景に、中国側が関係改善を模索し、戦略的互恵関係の確認は行われた。
 ウクライナ・ハマス・中国の三正面作戦に迫られるアメリカが中東情勢を受け日中接近するとの見方があったが、バイデン大統領は台湾情勢に釘を刺すなど、一定の牽制をしたため、日本側もある程度中国に強腰で出られたという事情がある。引き続き中国の脅威に備える必要がある

【土曜日】
池田大作名誉会長死去
 創価学会中興の祖である池田大作氏が95歳で死去した。発表された11月18日は創価学会の創立記念日であり、牧口会長の命日でもある。これに合わせて発表したとの見方が強い。
 公明党の山口代表が去年続投した背景には、集票能力が低下する組織の立て直しとともに、池田氏のXデーに備えていたのではないのか。池田氏の死後、現在の会長である原田稔氏の影響力がどうなるかも注目だ。

自民5派閥 パーティ券収支不記載問題
 政治とカネの問題。国民の視線は厳しいだろうが、経理担当者がミスだと言えば立件は難しいとのこと。検察がどの程度立件のための情報を抑えているのかがポイントだ。野党は予算委で追及する方針で事態は大きくなりそうだ。

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