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母と兄~女子の生き様~

母が入院し、兄は母の着替えを持って行ってはいるが、しばらく母と会っていない。
「もう、俺の顔をおぼえていないんじゃないか」と冗談で言う。
先日、窓越しに母と会ったとき、「お母さん、お兄ちゃんの顔、もう忘れちゃった?」と聞いたら、「まさか」と言って笑っていた。
手のかかったバカ息子をそんなに簡単に忘れるわけがあるまいと、私は心の中でツッコミを入れていた。
母と兄はあまり仲の良い親子ではない。なにかにつけてケンカごしになるので、私が間に入って仲を取り持つことが多かった。正直めんどくさい。
しかし、母が認知症になり、介護福祉士の兄が母の世話を手際よくしているのを見ていると、仲が悪くとも親子は親子であり、私一人だったら大変だったなと思うこともある。
男手があるのとないのでは、やはり違うのである。
母は兄に介護されるのは嫌だと当初は言っていたが、今ではそれを受け入れている。
母に、「可愛い娘ちゃんと息子ちゃんがいてよかったろ」と言うと、「子どもの頃は可愛かったが、今は憎たらしか。」と皮肉で返してくる。そんな憎まれ口を言えるなら、まだまだ元気でいてくれると私はひそかに思っている。
私は母に「家におったら、おったでせからしかけど、おらんはおらんで寂しかよ」と言うと笑っていた。
そんな冗談が言えるくらいの家族でよかったと思っている。


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