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おばちゃんを助ける〜女子の生き様〜

以前、会社に勤務しているとき、銀行での用事を済ました帰り道、前からフラフラと歩いている60代くらいのおばちゃんがいた。私がその様子を見ていると、力尽きたように前につんのめって転んだ。私が「ああ、もう〜」と心の中で呟き、乗っていた自転車から降りておばさんを介抱しようとそばに近づいた。おばさんを起き上がらせると口の端から血が出ていた。「大丈夫ですかー」と私が声をかけていると、自動車が一台そばに止まった。中からカップルが出てきて、彼女の方が近づいてきた。
私が「気分悪くないですか?どこか痺れているところがないですか?」と聞くと、その彼女が負けじと「救急車呼びましょうか?」と聞いてきた。それからしばらく私と彼女の競争?みたいな質問合戦が始まった。

「ああ、この女、彼氏の前でいいところ見せたいんだー、うざいなー」と思った。


私はおばさんの口調が案外はっきりしていたし、目つきもおかしくなっていなかったので脳梗塞とか緊急を要する病気ではないと判断した。周りにタクシーの運転手のおじさんとかいろいろな人が集まりだしたので、私はそっとその場を離れた。

カップルの彼女の「女の闘い」に敗れたような気もしたが、何しろ私は勤務中である。会社に戻ってやらなればならない仕事がある。
その彼女も彼氏の手前、ちゃんとおばさんを病院なり、なんなり連れて行かせるなどの処置をするだろう。要はおばちゃんが助かればいいのである。

ただし、あのカップルがおばちゃんを自分達の車に乗せて病院に連れて行くと、病院側はおばちゃんを撥ね飛ばして事故を起こしたからここに連れてきたと勘違いされるかもしれない。それを忠告してあげればよかったかなと後から思った。

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