見出し画像

〔29〕白頭狸の時務随想 2/26

〔29〕狸の時務随想2/26
 昨朝ユーチューブを見た処、たまたま高橋洋一さんの言が耳に入ったので聞いたところ、郵政民営化について語るその内容に一驚しました。
 後で検索したところ郵政民営化と関係あるものが高橋洋一チャンネルの179回及び12回と96回に出ていたが、狸が観たのは、ホンコンというお笑いが出ていたから、これではない。そこで調べて見たら、狸が今朝みたのは文化人放送局のマンデー・バスターズらしいが何回か分からない。諸子よ、何回なのかわかったら、どうか教えて下され。
 詳しいことはユーチューブで直接見て頂きたいが、高橋洋一の主張は、不効率で国益に反する国鉄を民営化した点において、国鉄改革と郵貯改革は軌を一にするということに尽きる。要するに働かず賃上げばかり要求する公営企業を左翼陣営と戦って民営化したということです。
 その限りでは高橋さんに賛同する狸ですが、高橋さんの下記の意見は納得しがたいのです。高橋洋一曰く、赤字必須な郵便事業に、郵貯で集めた資金を財投(ないし国債)で運用して得た利ザヤを宛てていたが、低金利社会になると利ザヤが獲得できなくなるから郵政が成り立たない。
 誰も理解していなかったこのことを指摘して、郵政民営化を主張したのは自分である。まあ、ざっとそういうことですが、狸が瞬間的に感じたのは、それだけなら6.5%から7%にまで達した郵貯金利を、政策の変化に合わせて引き下げながら。相当の利ザヤを確保すればよいではないか、ということです。

 国民に馴染まれたわが郵貯制度は地域文化の拠点ですから、これを効率化のもとに変革すると弊害が生じるが、公共企業通有の労働問題は確かに大問題で、改革のために民営化移行は不可避ですから、ここに重点があったというのなら納得せざるを得ません。
 高橋説を聞いていますと、かつての郵便局は切手の売り上げにレシートを出さず、つまり明確な売上・在庫管理をしていなかったそうで、郵便切手売り上げのかなりの部分が闇に消えていたそうです。
 ここで狸が思い出したのは、大正時代に政友会総裁原敬の懐刀であった平岡定太郎が樺太長官のとき、郵便切手を低額で乱売して政友会の資金としたことです(平岡定太郎は三島由紀夫の祖父ですが、ここでは無関係です)。
 公共料金の恣意的運用は、言ってみれば行政官の背任横領の世界ですが、一般国民の眼から見えないため騒がれることはありません。これを追究するのが社会的責務の筈のマスメデイアが、一向に追究しないのも、当路の行政権力と談合していると観るよりありません。
 その昔、狸は国鉄の乗り越し料金を払いに窓口へ行くと「改札で払え」と指示されてその通りにしましたが、レシートはくれません。
 これが後に社会問題になり、改札の傍に設けられた窓口で払うことになりましたが、それまでは、裏金にして国鉄職員の飲み食いなどに宛てていたと思います。
 ちなみに民間バス会社が車掌を廃止して、乗車券を自動販売にしたら、売り上げがかなり増えたそうで、自動販売機導入の目的は人件費の節約だけではなかった、と聞きました。
 郵便事業に関する不正で思い出したのは、一旦は刑事被告人になりながらのちに厚生労働省次官になった村木厚子さんです。
 平成二十一(2009)年に社会援護局障害保健福祉部企画課長だった村木さんは、自称障碍者団体「凛の会」に偽の障碍者団体証明書を発行し、ダイレクトメールの郵便料金を不当に安くする不当な割引きにより国家財政に大損害を与えたので虚偽公文書作成・同行使の疑いで逮捕されました。

 後に無罪とされ、復職後は飛躍的な昇進で事務次官になった村木さんは、最近になり、いわゆるCOLABOの黒幕として浮上してきましたが、そのことはここでは述べません。
 高橋洋一説によると、各局で行われていた郵便切手売上金の横領をできなくしたら、郵便事業の業績は真に見えて改善したそうです。
 狸の東大の学友高橋俊裕君はトヨタ自販に入り、累進してトヨタ自動車の常務から東京トヨペット社長に就いていました。豪放果断な実行力からトヨタの将来を担う人材と期待されていた高橋君は、小泉内閣の眼玉政策の郵政民営化に際して、有名な看板方式を含むトヨタ方式を郵便事業に取り入れるため、小泉純一郎首相に乞われて平成十五(2003)年に郵政公社の副社長に就任しました。

 白頭狸が数年前に同窓会でに会うたとき、高橋俊裕から「おい井口、竹中平蔵はお前の高校の後輩だったな。あいつは謂うこととやることが全く違う。桐蔭高校はそんなものばかりなのか。お前もそうか?」などと言われました。揶揄と承知で聞き流していたら翌年も同じことを言われました。
 二年続けて同じことを言うのはただの揶揄とも思われず、また母校の名誉にも関する事ですから、今度会ったら真意を質すつもりです。

 高橋君が郵政公社の副総裁に就いたのと竹中平蔵が経済財政担当大臣兼金融担当大臣になるのが同時でしたから、両人は小泉の政策を支える二本柱だったのです。
 平成十九(2007)年に副総裁を引退した高橋君は、郵便局会社の初代社長に擬されたふぁ断わったそうです。
 「トヨタ流でやったら郵便のコストは四分の一で済む」と言う高橋俊裕が提唱したトヨタ流の改革案を、郵政の職員ばかりか、竹中大臣も妨害したので、高橋君が憤慨したと狸は推察しています。

いただいたサポートはクリエイター活動の励みになります。