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Kindle Unlimitedで”きまぐれオレンジロード”を何十年ぶりかに読んでみた。「さよなら80’s」

実は今、「スパイ教室04」を読み終えた直後だったりする。
本来ならばスパイ教室を読み終えた直後の興奮を忘れないように、その感想を書くことを優先すべきだとは思うのだが、どうも心の奥底に引っ掛かっている事を処理しなければ前に進めないような気がして、兎にも角にもこの文章を作成している訳である。

その引っ掛かるものとは。

きまぐれオレンジロードの感想である。

Kindle端末の購入の際にお試しで加入したKindle Unlimitedで見つけた”きまぐれオレンジロード”。

何十年も前に、この作品を全巻一気読みした事がある。
読書後、感動し過ぎてまつもと泉氏の次作品である「SESAME STREET」を書店に探しにいったものだ。

当時はそれほどオレンジロードに入れ込んだ。

「その想い出よ!再び!!」

てな具合で今回オレンジロードを読み返してみたのだが、、、

おや?

私の眩しい想い出と何かが違う。

前半の作者の画力?(それは知ってた)
昨今のコンプラ基準ではあり得ない行動の数々?(それも知ってた)
主人公の性格?(それは一理あるかも)

何だろう。
思ってた以上に作業として読み進めてしまった。

この感情の変化は一体?
私が変わってしまったのか。

読書中に違和感はあった。
作中のイベントが古すぎるのである。
不良に絡まれる。
ナンパされる。
飲酒による失敗。
主人公の決断力不足。
等々、挙げればきりがない。

どこかで聞いたことがあるようなイベントのオンパレードであり、西暦2024年に生きる私にとっては1980年代中盤に連載されていた、40年以上も前の漫画のネタはどうしても何処かで読んだ事があるイベントの数々であり、読んでいて少々小っ恥ずかしいのである。

作中に出てくる、中学生の飲酒、喫煙、学校のエスケイプ、ディスコのチークタイム等々が西暦2024年を生きる私にとっては眩し過ぎるのだ。

かと言って、ネタが古いからと言ってこの作品の評価が下がると言うのも少し違う気がする。
ラブコメ漫画におけるイベント歴史学等々を学んだ訳でもないので断言は出来ないが、オレンジロードに出てくる数々の使い古されたネタは、この当時では”使い古された”ネタなどではなく、寧ろ社会がいよいよ時流に乗って飛躍しようとした時代の、”使い始められた”ネタの数々だったのではないだろうか。

物語のイベントは時代背景も伴い、流行り廃りも付きまとってくるのは自然の理であるがゆえに、「話が古くさかったのでこの作品はダメ」なる評価は、この作品が連載されていた80年代を生きていた読者に対して失礼に当たると言うものだろう。

ネタが古いといっても、全てがそうではなく、例えば鮎川の麦わら帽子のくだりや、くるみの恋愛、鮎川の過去の話は今でも十分に通用する話であると断言できる。
そして何より鮎川まどかは現代のツンデレ界でも十分に活躍出来る魅力溢れるキャラクターだと信じている。

しかしながら私は読書後に痛感した。
認めたくは無かったが、いつの間にやら80年代は本当に過去となっていた。

私にとって80年代とは、直ぐ手の届くところにあるはずだった魅惑の世界であり、しかし実際には遠目から見るだけで過ぎ去っていった幻の時代。

私にとって”きまぐれオレンジロード”は眩しかった時代の一つの象徴だった。
しかし、どうやらその時代は”過去”へと向かいつつあるようだ。
春日恭介と鮎川まどかの物語も、いつの間にやら過去となっていた。

もう80年代には戻れないだろうから、忘れてしまう前に言っておこう。

ありがとう。
オレンジロード。

眩しかった時代の想い出は、そっと元の場所に戻しておくのも悪くないのかもしれない。


さよなら80’s


何時か何処かであの時代をゆっくり語り合えることを今から楽しみにしているよ。











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