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春 晴 遥

春が来た。いや、春が来てしまった。
春は嫌いだ。
春は人々だけに関わらず否応なしに変化する。
そんな春の中で
また冬に取り残されている自分が
どうあがいても目立つ気がするからだろうか。
これも自意識過剰だろうか。

空はとことん澄んでいて
空気は美味しくて
空に浮かぶ太陽を隠すものなんてなくて
__それでも変わらない
醜い自分だけがそこにいる。
自分がこの世界において
不要なもの
異質なもの
に思えて仕方ない。
空はあんなにも晴れ渡っているのに
僕の心は雲で空が見えない。
彼らは見えているのだろうか。
三年後どうしているかという質問に
全く想像出来なかった自分は
異常
なのだろうか。
生きている理由なんて知ること無く死んでいくのだろうか。他人に

どうせ誰も覚えてない。
明日には誰の記憶にも残ってないから失敗しても大丈夫。

なんて言っておきながら
他人の目を一番気にしているのはいつだって僕だ。
そんな自分が一番嫌いだ。
何処に行こうと僕は変われない。
変わらない。
ずっと止まった時間を過ごしている。
進まない事を無意識にでも選んだのは自分の筈なのに
周りに置いてかれることを何よりも恐れている。
矛盾だらけの自分。
ほら、
また繰り返す無為な日々。
どれだけの日々を溝に捨てたら満足するんだろうか。
これまでの人は無意味だとでも云うように
空が曇り始めた。
暗い暗い黒い黒い雲だ。

人生とは長くも短くもあるのだと思う。
今は途方も無く長く感じるが
年老いて振り返って見れば
意外と短いものなのかもしれない。
だとして、
短く感じる年齢迄生きるつもりは毛頭無いのだけれど。
死んだ後のことを想像し考える。
何時考えても、暗闇が広がっているばかりだ。
何時になれば果てしない旅の終着点に
辿り着くのだろうか。

でも、あと少しだけ
あと少しだけ
先の景色がみたいなんて思ってしまった。
いずれ終わりが来てしまうのなら
其れまで
其れまでの間だけでいい
充実した日々を送りたいと願うのは
傲慢だろうか。


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