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【高橋国博のブログ「目」】 2023年8月25日 アーティストは貧乏なのか・・・。

アーティストは貧乏なのか・・・。
オランダの例としてハンス・アビング教授は「金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか」の著書の中で次のことを語っている。
1949年~87年まで行われたオランダで行われた美術助成。
この目的と意義は貧困しているアーティストの一時的な救済を目的としたものであった。
アーティスト達は地方政府に作品を売却することで、何がしかの支援金を手にした。

このプログラムが開始されたとたんに芸大の入学者は著しく増加したのだが、このプログラムが終了した時点で、芸大への入学は激減した。

ハンス・アビングはこの助成金、寄付金の悪について4つのことをのべている。
1.アーティストへの助成金、寄付金は、アーティストに誤った信号を送っている。
2.その信号によりアーティストは、より魅力的に見えてしまう。
3.助成金と寄付金によりアーティストの数はふえ、相対的に収入の低下を招いた。
4.しかも、寄付金と助成金には限界がある。
ハンス・アビングは語る。
助成金や寄付金に頼ることなく「アーティストは自身に自信を持ちなさい、そうすれば道は開ける」と。
だだし、こうも語っている「アーティストは自身が自信を持ち過ぎると、自信過剰になりすぎると、道を誤る」と。
更にハンス・アビングは次のことも語っている。「必要以上に自身を卑下するな。卑下しすぎると全てを失ってしまう」とも。

自身を持て、自信過剰になるな、卑下するなと言われればどうすれば良いのか、普通の我々には解らなくなってしまう。
中庸であることを求められているのではと私は理解した。
中庸であることを諦めてしまえばアーティストは、一番大切である、一般人の我々からも支持を得られなくなってしまう。

助成金や寄付を取得することは、それ程、悪くもないが取得することで自身の価値、作品の価値が上がったように思うこと、勘違いすることが恐ろしいと思う。
高橋的に理由づけをすれば「審査員が万能な神でないからである」。

ハンス・アビングはそのことについて一つの警鐘を鳴らしているのではあるまいかと考えます。

我が国では助成金や寄付金(税制面もふくめ)が少ないとぼやき、十分な作家活動が出来ないと思っている若きアーティストが圧倒的に多くいると思われる。
実際に日本はとても他の先進国から見てもとても遅れていると思う。
悲しい出来事だと思う。

最近、政府が打ち出した、とんでもない、あり得ない施策がある。
政府の「うたい文句」は美術界を活性すること、コレクターを増やすこと・・・。
その内容は大まかに三つある。
1.美術館の作品を売却する。そのことで新たな作品が購入できる。
2.美術館の作品を売却することであらたなコレクターを掘り起こし、生み出す。
3.1と2を実行することでアート界が活性化する。
経産省が中心的役割りをし10年毎から始まったプログラム。
全く進んでいない。
膨大な予算が積み残されている。

カメラを持ち作品を制作する人口は日本人は世界で一番多いと言われている。
日本では発表する場もコマーシャルギャラリー・レンタルギャラリー・メーカーギャラリー・美術館の一部・公共施設の一部などなど、
この現象も日本だけにおける現象。
それだけ、発表する場がありながら、なぜアート界が活性化されないのか、誰も真剣に考えていないのでは、ないかと思う。

作品を制作する誰しもが、アート界を活性化したいと願っているのにも関わらず。
発表をしたとき、一人でも多くの方々に観て欲しい、作品を求めて欲しいと思い、願っているはず。

高橋国博的に申し上げれば「各種の助成金」を取得することを目的とする事には反対の立場です。

※本日・8月25日(金曜日)PM6時〜8時 クロージング(ワインを呑みながら・・・。)をさせて戴きます。
 是非ご参加下さい。

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