足の裏からアカン
アカンに愛を込めるエッセイ、5回目ですね。前回の予告通り、ニオイのアカンのお話です。
いっちゃんの珍しい愚痴
職場で仲良しのいっちゃんは、しっかり者でとても美人さんでした。だけど気さくで、お互いに助け、助けられする頼もしい存在です。
いっちゃんが担当する宴会は、時間通りに終わるし、キレイなのです。
そんないっちゃんが、珍しく半泣きで森山のところにやってきました。
「聞いて!耐えられへん!わかっているけど耐えられへんねん!」
いっちゃんの宴会は、後はコーヒーとチーズケーキを出すだけ。いつもの彼女ならば楽勝なのですが?
「入ってみて?部屋に入ってみて!あんな強烈なん初めて……平気で食事できるレベルちゃう」
ピーンときた森山、いっちゃんのコーヒーとチーズケーキ出しを代わってあげました。
確かにアカン香り……
失礼しますとお部屋の襖を開けると、モワワワーンとニオイが襲ってきました。危うく、クッサー!と、言いかけるところでした。
犯人はお客様の足のニオイ。お酒のニオイも入り混じり、発酵しきったニオイになっていました。
柱の陰からいっちゃんが「な?アカンやつやろ?アカンやろソレ?」と、目で訴えてきます。
怯むな森山、やり遂げろ
しかしここは私も引く訳にはいきません。料理のお皿を片付けて、テーブル上をきれいにします。
足のニオイがエグいオジサマは、ビール瓶片手にあちこち移動しています。ニオイ、拡散され中。
いっちゃんから事情を話された他の仲間も、興味半分、嗅いでみたい怖さ半分で果敢にヘルプに入って来てくれます。
が、ゴンちゃん撃沈、若い子撃沈、顔色を変えながら部屋から出ていく始末。
森山は浅い呼吸(鬼殺隊か臭い柱に入れると思う)で、やり遂げました。
いっちゃんから感謝状を賜る
「やっぱ森山ちゃんや、ありがとう!ほんまにありがとう!コーヒー奢るな」
アカン……と、小さく呟き撃沈する仲間達の後ろ姿に、待って〜と縋り付きたかったのですが、引き受けたからにはやり遂げなくては。
いくらアカンニオイでも。
なぜ我慢できたか?それは数日前に森山が担当したお座敷に関係あります。
ランチに利用したマダム達は6人、中にめっちゃキツイ香水をつけている方がいて、気分が悪くなるくらいだったのです。
会席料理は味だけでなく、盛り付けの美しさやお料理の匂いも楽しむものなのです。それを全否定する激しい匂いに、森山ダウン寸前。これに比べれば、足のニオイはまだまだマシです。自然現象は仕方なし。
お料理を楽しむ時は、オードパルファムくらいを軽くか、無しかにしたほうが良いですよ。
特に和食料理に香水関係はアカン。
今日は9アカンを達成しました。
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