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ココアクッキー

失恋した。振られちゃった。
付き合った期間は短かったけど、なかなかダメージは大きい…。
涙が止まらなくて、ああ好きだったんだなあって実感する。

クッキーを焼くことにした。
どんなにつらいことがあっても、すこやかな生活を諦めないのは私のポリシーだから。
気を紛らすために、なにか手仕事をしていたかったのもあるんだけど。

ココアパウダーがちょうどあったから、ココアクッキーを作ることに決めた。

ミッキーの型をみて、ディズニーで遊んだ楽しい思い出が蘇る。
桜の花びらの型を見て、春になったらお花見スポットに行こうと話したことを思い出す。
レンタルルームをかりて一緒にお菓子を作ろうと計画したこともあったよね。
天板にめいいっぱい広がった、2人の思い出と約束。いくら眺めても現実になることはもう無い。

焼き上がった。
生まれたてのココアクッキーから、柔らかな湯気が立ちのぼる。
温かで、甘くて、ほろ苦くて、少しだけしょっぱい。
おいしかった。とても。

泣きながらご飯食べたことある人は、生きていけます、って誰かが言ってたっけ。

そうだよね。私、きっと生きていけるよね。
自分で自分を温めることができるんだから、きっと大丈夫だよね。

しばらく悲しみと仲良くする羽目になりそうだけど、少しずつ、少しずつ、時にはお菓子を焼いて、時間を数えていこう。
悲しみが記憶に変わるまで。

こんな私の夜がいつか救われますように。
おやすみなさい。

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