医学生のキャンパスライフ

医学生のキャンパスライフを紹介します。
僕の大学を基に紹介するので大学によって違う可能性は大いにあります。(特に私大と国公立はカリキュラムが大きく異なるかと)

学生生活

部活動

多くの人が部活動に入っています。
入らなくてもOKですが、医者は狭い世界なので縦のつながりや横のつながりを重視する人が多いです。

運動部に入ると東日本の医学部なら東医体、西日本の医学部なら西医体という医学生だけの大会優勝を目指すことになります。
運動部は真剣に競技に向き合っている印象です。

他学部との交流

あまりないです。
医学部のキャンパスが他学部キャンパスと離れていると皆無と言っても過言ではないです。

勉強地獄?

試験前は大変ですが慣れます。
部活動をしながらバイトをすることもできます。ほとんどの人が部活と勉強とバイトを掛け持ちしています。

6年間毎日ひたすら勉強しないといけないということはありません。
青春も謳歌できます。
僕もこの記事を書いているのは6年生の秋です。noteを書くくらいの余裕は十分にあります。

授業のカリキュラム

1年生

他の学部の大学生と似ています。

英語、第二外国語であったり、数学、体育などなど好きな授業を受けられます。
第二外国語ですがドイツ語である必要はありません。(大学によっては強制的にドイツ語かもしれませんが)

いまやカルテをドイツ語で書くような文化はありません。(年配の先生だとごくごくまれにドイツ語を使う方もいるらしいです)
時間がある1年生のうちに英語を勉強しておくと将来USMLE(アメリカの医師国家試験)に合格したいなと思ったときに活きます。

2年生

医学部の授業がついにスタートします!
が恐らく世間一般の人がイメージする"医学の授業"ではないです

組織のレベルで正常な人体を学ぶ「組織学」、人体に存在する化学物質を扱う「生化学」、人体の発生についての「発生学」、そして人体を解剖して肉眼的に人体を理解する「解剖学」などなど
「基礎医学」という分野でどちらかというと研究者が主戦場とする内容です

皆さん気になる「解剖学」の実習ですが、有志で献体してくださった方のご遺体を解剖します。

やはりご遺体にメスを入れるということに最初はだれでも抵抗は感じます。倒れる人もいますが、そのうち慣れます。医学生が必ず通る道ですのでそんなに心配はいらないです。外科医になりたいのなら超重要な科目です。

3年生

この頃から徐々に病気について扱い始めます

ウイルスや細菌について扱う「感染症」の授業。病気の確定診断に必要不可欠な「病理学」などを学びます。研究室に配属されて医学研究の体験(手伝い)をする基礎配属などもこの時期だと思います。

4年生

the医学部の授業です

呼吸器だったら気胸であったり、喘息であったり、肺癌であったり
消化器であったら肝癌だったり膵炎であったり炎症性腸疾患だったり…
臓器別の病気のメカニズム、診断治療などの臨床的な医学の講義がついに始まります

4年生の夏から秋ごろにCBTという2~4年生の総まとめテストみたいなテストが待っているのである意味この時期が一番忙しいかもです
CBTや6年生の国家試験に備えて国家試験予備校の映像授業を受講して自習する人が大半です。

5年生

病院実習がスタートします。
講義と並行して実際に大学病院にいって外来診察を見学したり、手術室に入って手術を見学したりします。
地方の医学部の場合は地域医療実習で訪問診療に同席したりもあります。

予診をとったり、術野に入って(手洗いしてガウンを着て)縫合をやらせてもらったりするので医者の仲間入り感を味わえます。

6年生

5年生と同じ感じです。

気になる診療科や大学の関連病院などに希望を出して実習をします。
秋以降は授業もなくなり卒業試験や国家試験が待ち構えています

某国立大学の進級が問題になっていましたが、やはり下級生の時に習う科目は内容も難しく留年してしまう人が多いです。

医学部の特徴的な試験

病院実習前と病院実習終了後、4年生と6年生時に一回ずつ「OSCE」と言われる試験があります。

4年生の段階では
「○○(部位)の身体診察をしてください」
「模擬患者さんから問診をして病気の情報を聞き出してください」などなど適切な診察、問診ができるかを問われます。

ペーパーテストに明け暮れた医学部生活4年目にして初めて医師らしいことを学び実戦するテストとなりますが、何をして何を聞くかのテンプレートさえ覚えてしまえば必ず合格できる試験です。

6年生になるとこの試験がパワーアップして帰ってきます。

①12分間の内に模擬患者さんから病気の情報を聞き出し、診断に有用と思われる身体診察を行い診断をだす。
②その後4分間で上級医に患者さんの情報、自分が下した診断とその根拠、その他考えられる疾患とその根拠、今後の検査方針をプレゼンテーションする。
このような試験となります。

短い時間の間で情報を聞き出しつつどの身体診察を行うべきか考える。
主訴と診察所見から病気の検討をつける。
情報をまとめ、必要な情報を簡潔に報告する。
今後の方針を考える。
などなど現場に出た時に必須になる知識、能力が問われます。

~診察の流れ~

大体下の図のような流れで診察を行っていきます。
胸や呼吸の違和感を訴えている人には胸部の診察を重点的に
お腹の違和感を訴えている人にはお腹(と腰)の診察を重点的に
などなどその場でいろいろと考えながら診察していきます。


診察の流れ(osceで行う事)

進路選択

医学部卒業後2年間は初期研修医としてほぼすべての診療科で満遍なく働きます。その後は自分の専門とする診療科を決めて大学病院で専門医を目指したり、開業したり、基礎系の研究者になったりなど人によって様々です。

医学生のうちにすることと言えば初期研修をどこでするか(卒業後二年間の就職先探し)、自分の興味のあるもの(診療科)はなにかを探す事です。

5,6年生の病院実習を通して大体の進路を決める人が多いです。
医学部入学時の希望と変わることも十分あり得ます。
初期研修病院探しも4年生の冬から5年生のはじめごろに動き始める人が大半です。

臨床医以外の進路

世間一般的な”医者の仕事”のイメージと異なる仕事をする医者もいます。

①研究医
大学で臨床もこなしながら研究をする人もいますが、研究一本でいくという人も少ないけれどいます。

国立の医学研究施設で実習をしたことがありますが
研究者の9割以上が医学部以外の出身(理学部など)の方でした。
研究一本という医者は少ないらしく、医師免許を持っている研究者は施設のポストにつきやすいという話も聞きました。
医学研究がしたい。でも医学部は無理という方は理学部も選択肢にいれると良いと思います。

②公衆衛生
保健所で働いたり、企業に勤めて産業医として働いたり
病気の治療よりも健康増進や病気の予防を主な仕事とすることもできます。
産業医科大学を卒業すると卒業時に産業医の資格が与えられます。

③公務員
厚生労働省の医系技官になることももちろんできます。

医系技官志望の先輩に聞いたところ激務だと聞きました…

他にも法医学であったり、病理医であったり一般的な医師のイメージとは異なる分野はたくさんあります。

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