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父が一時期、携帯の着信音を「ラ」にしてた話

私の家族は変人家族。

私はそんな家族が大好きなのだが、

私が小学4年生ぐらいの頃だっただろうか、父が携帯の着信音を「ラ」にしていたことがある。

「ラ」というのは、ドレミファソラシドの「ラ」。「ラ」の高さの音だ。

なぜ、どういうふうにそうなったか、思い出しながら書いてみたい。







私の父はチェロを弾く。
チェロは、バイオリンより大きく、コントラバスより小さい楽器だ。椅子に座って、両足に挟んで持つあの楽器。

↑これです

「チェロを弾く」と言っても、仕事で弾いているわけではなく、趣味でだ。

そんな父が、ある日突然「チューナーを使わなくても音をとれるように(音程を合わせられるように)、耳を鍛えたい!」みたいなことを言い出した。

チェロは他の多くの楽器と同様、自分で音を調整しなければならない。その音を調整するときの基準となるのが「ラ」の音なのだが、

父は耳を鍛えるためには、「日常的にラの音を聴けばいいのでは?」と思ったらしい。

そして、父の考えた「日常的にラを聴く方法」は「携帯の着信音をラにすること」だった。

父はまず、ネットを使って「ラ」の音の着信音を探した。
が、見つからなかったらしい。
「ラの音だけの着信音ってないんだなー」
なんて言っていた。

そりゃないでしょ笑
着信音で耳を鍛えようなんて人、そうそういないよ!
と当時の私は思った記憶がある。

「ラ」の音の着信音が見つからないまま数日が経過。

しかし、着信音を「ラ」にする話も忘れかけていたある日、

父の携帯から「ラーーーーーーーー」と音が鳴っているではないか

「いい方法思いついたんだ!ラの音をチューナーで鳴らして、携帯で録音して、それを着信音にした!
と自慢気に語る父。

なるほど。その手があったか!笑

その日からしばらく(母に聞いたら「1年くらいだったんじゃない?」と言っていた。)、父の携帯の着信音は「ラ」になった。


本当に、メロディもついていない、リズムもない、ただただシンプルに「ラーーーーーー」。
電話に出るまで、ずっと鳴る。
しかも、結構な音量で。

その頃は、みんなガラケーの時代で、ちょうど色んな面白い着信音が流行っていた。
親戚のおばさんは、CMで流れていた「マントーヒーヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…♪」(←曲名は分からないです。すみません!)を着信音にしていたし、
お笑い芸人の声の着信音にしている人もたくさんいた。

だけどね、「ラ」って…

まぁいないよね。そんな着信音の人、他に。

お店とか街中で父の携帯が鳴ると、周りの人は「何の音?!?」と辺りをキョロキョロ。

父が鞄から携帯を取り出して、「ラ」の音がより鮮明に聞こえて、「あ、この人の着信音なのね…」ってなる瞬間は、恥ずかしいやら、ちょっと面白いやら…。

そんな日常はしばらく続いたが、とりあえず「耳を鍛える!」という父の目標は達成されたらしい。「ラの音がすぐ自分の中で出てくるようになった!」と言っていた。

ちなみに、あの頃は私も多少なりとも「ラ」の音が身体に染み付いていた気がする。

楽器をやっている方、耳を鍛えたい方、ぜひ。

って言っても、やる人いないか。

いや、逆に「私もやってるよ!」って人がいるかも?もしいたら教えてください!



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