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まだ、カード限度額アップできないアメリカ デフォルトが接近中!(愚痴日記#29)

スタッフルームでは、
先輩キャスターMが、
アメリカの債務上限問題のニュースに目を通していた。
「妥協できるのかな・・・」と、ブツブツ言っている。

私も少し勉強したから、この問題は理解しているよ。
アメリカ政府は今、債務上限の引き上げを巡って、バイデン大統領が率いる民主党と、野党の共和党の間でバトルが展開されているのよね。

この問題について教えてくれたプロデューサーSは、
『クレジットカードの利用限度額引き上げ問題』だっていってた。
お金のないアメリカ政府は、カードでの支払いに頼ってきたけど、利用限度額に達しちゃった。限度額を引き上げないと、政府の様々な支出もできなくなるし、国債という借金の返済もできなくなるデフォルト、債務不履行になっちゃうっていうのよね。

でも、限度額引き上げを認める連邦議会で、与党と野党が揉めてる。
引き上げるに当たっては、両党とも歳出削減を条件にすべきだとしている、これは分かるよ。いくらカード払いだっていっても、いつかは払わなくちゃいけない。だから、急場しのぎとして、限度額を引き上げるにしても、根本的に支出削減をやらないとダメだってわけね。(愚痴日記#23)

あ、Mと目が合ってしまった。

意地悪言われる前に、カードの利用限度額の話をしてみたら、「上手こというね!」と褒められた。
でも、解放はしてくれなかった。
「これが野党の支出削減案だ。」と、Mが作ったメモを見せてきた。

『低所得者向けの医療保険制度「メディケイド」や食料支援を行う際の条件の厳格化。』
『再生可能エネルギーやEV=電気自動車などに対する税額控除の廃止または修正。』

「いずれもが、バイデン大統領と民主党が推し進めてきた基本政策だ。これを厳格に適用すれば支出が減るけど、利用できる人も減ってしまう。民主党の政策を弱めるものなんだね。」
「バイデン大統領は、当然、抵抗しますよね。」
「『医療保険制度を利用する2100万人の人々や食料支援を受ける100万人近い人々を危険にさらすような提案は受け入れられない』と。共和党の支出削減案は、低所得者層を苦しめるものだというわけだね。」

「バイデン大統領はどんな提案をしているんですか?」
「支出削減をするといっているけど、税収の増加も必要だとしているんだ。そして、現在行われている減税の見直しを提案している。例えば、石油産業に対する300億ドル規模の減税廃止だね。これは、トランプ前大統領が導入したものだ。」
「トランプ前大統領は、富裕層や大企業に対する大幅な減税政策を展開してきた。バイデン大統領は、これが財政悪化の原因だと考えていて、ここにメスを入れるべきだというワケなんだね。」

「どちらも、簡単に妥協できないですね」
「そうだ。前回の大統領選挙でも、これが大きな争点になったくらいだからね。」
「弱者救済の民主党、金持ち優遇の共和党ってことですか。トランプさん自身のも大金持ちだから、自分に有利な政策を導入しようとしたわけですかね。」

「トランプさんの個人的な問題もあるけど、伝統的に民主党と共和党の根本的な政策なんだ。民主党は増税をして、得られたお金を福祉や中間層以下の生活補助などに回そうとする。これに対して共和党は、減税を前面に押し出す。税金が高いと、国民のやる気が削がれる。『強いアメリカ』を実現するには、努力した人が報われるように税金を低くするとね。その一方で、『働かざる者食うべからず』と、低所得者層などには、冷たい政策を展開してきたんだ。」

あ、長くなりそうな気配だ。
まずいなあ・・・・。

「これはアメリカ建国の歴史とも深い関係がある。『大きな政府』VS『小さな政府』という対立構造でもある。でも、これを話し出すと、時間がかかるから、とりあえずここまでにしておこう。」

「いずれにしても、議会の上院は民主党が多数派だから、バイデン大統領の意向が通る。でも、下院は共和党が多数を占めているから調整が必要だ。そこで、共和党のマッカーシー下院議長とバイデン大統領が、、連日協議を続けているワケだね。」
「どうなりそうですか?」
「個人的にはデフォルト直前で、妥協が成立する、あるいは問題の先延ばしになると思っている。でも、楽観はできないね・・・。これは来年の大統領選挙にも大きな影響を与えるからね。」

こう言うと、Mはスタッフルームから出て行った。

解放された!
これでランチにゆける!
でも、改めて講義を聴くことになるのかな・・・
憂鬱だ。

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