国連「世界人口推計」がみせる3つの未来

世界人口が80億人を突破

本日2022年11月15日、国連の発表によると、世界人口が80億人を突破しました。

【国連URL】
Day of 8 Billion | United Nations

70億人から80億人への増加に12年かかったとか、来年にはインドが中国を人口で追い抜くとか様々なニュースが出ています。

実は、上のリンクからとべる国連HPの下のほうに、
”World Population Prospects 2022”という国連の報告書があります。

この報告書から見える以下の3つの未来が大変重要だと思っています。

未来その1 世界の勢力図が変わる

中国、インドの順位がどうこうという以前に、ここ30年のうちに世界の大国は全く違う姿になります。

下図は、少し見にくいですが、現在(2022年)、2050年における世界人口のトップ10です。

既に、2022年の段階で日本は11位になってしまっていますが、
この時点で10位以内に、アジア勢は中国(14億)、インド(14億)、インドネシア(3億)、パキスタン(2億)、バングラデッシュ(2億)の5か国がランクインしています。

残りの5か国が、北米から米国(3億)、メキシコ(1億)の2か国、アフリカ、南米、ヨーロッパから、ナイジェリア(2億)、ブラジル(2億)、ロシア(1億)のそれぞれ1か国といった感じです。

それが2050年になると、アジア勢は引き続き同じ5か国がランクインしているものの、2022年と比べて、パキスタンが人口1.5倍になるほかは、増加率は10~20%程度、中国に至っては減少しています。

対して、アフリカの躍進がすさまじいものがあります。ナイジェリア(4億)に加え、コンゴ(2億)、エチオピア(2億)がランクインし、2022年から、それぞれ2倍前後の人口の伸びを示しています。

米国は引き続き、かろうじて世界3位の人口を保っていると予測されるものの、アジア、アフリカに米国クラスの人口を持つ国が大量に現れるという時代がやってくるのです。

もちろん、これらの国々がどこまで経済力を伴うかはわかりませんが、中国やインドをみても、人口が力になることは間違いないかと思います。

未来その2 世界人口の増加はやがて止まる

その一方で、世界人口の増加がやがて止まることが示されています。

先ほど述べたとおり70億人から80億人への増加に12年かかりましたが、90億人への増加には、今から約15年(2037年)と、更にかかる見込みです。

そして、国連の見通しでは、2080年あたりで104億人に達するのをピークとして、ゆるやかに減少していくそうです。

これは、世界がとめどなく人口爆発をして食料不足に陥るという懸念を和らげてくれます。

加えて、資源不足や環境問題についても、人口が増え続けるよりははるかにましな結果が期待できるのではないかと思います。

未来その3 世界は老いていく

最後に、世界は少子高齢化に突き進んでいくことになります。

これは人口増加がとまる理由の1つでもありますが、出生率の明らかな低下が予測されています。

国連の報告書によれば、既に世界の2/3の国・地域では、出生率が人口を維持するラインの2.1を下回っており、61の国・地域で、2022年から2050年の間に人口が1%以上減少すると予測されています。

そして、こうした中、世界人口が当面は増加を続けていくのは、もちろん一部の国々での高い出生率もありますが、世界全体として平均寿命が伸びていることがあります。

世界の平均寿命は、1990年には約64歳でしたが、2019年には約73歳まで伸び、2050年には約77歳にまで伸びることが予測されています。

こうした結果、この報告書では、世界の65歳以上人口の割合が2022年の10%から、2050年には16%まで上昇し、12歳以下のこどもの数と同数になると予測しています。

まさに少子高齢化が起きようとしているわけです。


まとめ

世界のアジア・アフリカへのシフト、人口増加の停止、世界規模での少子高齢化といった姿が見えてきます。

その意味では、日本は、世界が辿るであろう道を、一番槍で駆け抜けていることになり、あらゆる国の参考になるはずです。(願わくば反面教師ではなく、模範であってほしいですが)

人口規模からみると世界における日本のプレゼンスは下がらざるを得ませんが、今からでも日本の少子高齢化に上手く対処できれば、その手本として、世界に影響力を確保していく、そんな未来があるのではないかと思います。

(参考)以下の本は記事と無関係ですが、少子高齢化の日本について真剣に考察した良書です。


(参考)
 


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