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民間人初「船外活動」の宇宙船地球へ無事帰還!【宇宙】

2024年9月、宇宙開発に新たな歴史が刻まれる!民間人が初の船外活動に成功

2024年9月、宇宙開発において歴史的な快挙が達成されました。アメリカの実業家を含む4人の民間人が、スペースX社の宇宙船「クルードラゴン」に乗って地球を周回し、その中の2人が人類初となる“民間人”による宇宙での「船外活動(EVA)」を行うことに成功したのです。この歴史的な偉業を成し遂げたのは、IT企業の創業者であるジャレッド・アイザックマン氏と彼の仲間たち。彼らは、スペースXが開発した宇宙服を着て、無重力空間での作業に挑みました。

これまでは、NASAなどの国の宇宙機関に所属するプロフェッショナルな宇宙飛行士だけが行っていた船外活動。宇宙船の外で作業するというのは、地球上では経験できない数々のリスクが伴います。それでも、ついに民間人がこのチャレンジに成功したのです。この成功は、技術力の高さとチームの卓越した協力の証です。

4人が搭乗した宇宙船は9月10日にフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられ、約5日間にわたるミッションを完遂。9月15日、無事に地球へ帰還しました。宇宙船はフロリダ州沖にパラシュートで着水し、専用の回収船で安全に回収されました。4人はその後、笑顔で船を降り、関係者たちと喜びを分かち合い、カメラに向かって手を振りました。

今回の挑戦は、ジャレッド・アイザックマン氏が企画した「ポラリス計画」の一環です。このプロジェクトは、民間による宇宙飛行の未来を切り開くための壮大な計画で、今後もさらに高度なミッションが予定されています。

私たちの未来が、宇宙にどんどん広がっていく兆しを感じさせる今回のミッション。宇宙飛行が特別な訓練を受けた人だけでなく、民間人でも手が届く時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。

宇宙での船外活動に伴うリスク

この画期的な船外活動には、多くのリスクが伴います。民間人が挑んだ今回のミッションで直面した主なリスクを見てみましょう。

  1. 宇宙服の故障
    宇宙服は、宇宙の過酷な環境から身を守る命綱です。しかし、もし宇宙服が故障したら? 宇宙空間は無酸素状態で、外気圧はほぼゼロ。万が一、宇宙服に不具合が生じて酸素供給が途絶えたり、減圧が発生したりすると、血液が沸騰するような事態になり、短時間で命を落とす危険があります。

  2. 宇宙ゴミ(デブリ)との衝突
    地球を周回する軌道には、人工衛星の破片や不要になった宇宙機器など、無数の宇宙ゴミが漂っています。それらは時速数万キロという驚異的な速度で飛び交っており、小さな破片でも宇宙船や宇宙服に衝突すれば、大きな被害をもたらします。宇宙での作業中、こうした衝突のリスクは常に存在しているのです。

  3. 無重力でのバランスの難しさ
    無重力空間では、地上のように自分の体を固定するのは簡単ではありません。わずかな力で体が自由に動いてしまい、作業が非常に難しくなります。作業中に誤って宇宙船から離れてしまう危険もあるため、船外活動中は命綱を宇宙船に結びつけていますが、それでも不測の事態が発生する可能性はゼロではありません。

  4. 放射線への暴露
    宇宙空間では、地球の大気や磁場によって保護されることがありません。太陽からの放射線や宇宙線に直接さらされるため、船外活動中は放射線被ばくのリスクが高まります。長時間にわたる活動では、健康への影響も無視できません。

  5. 極端な温度変化
    宇宙では、太陽光が直接当たる場所の温度は120℃以上に達する一方で、日陰では氷点下100℃近くにまで下がります。この極端な温度変化が宇宙服や機器に負荷をかけ、故障を引き起こすリスクがあります。体温の管理も重要で、宇宙服が温度変化に耐えられなければ、命に関わる危険性があります。

  6. 心理的なストレス
    広大な宇宙に一人で放り出されたような感覚に陥る船外活動。無重力状態や広がる宇宙空間での孤立感は、極度の心理的プレッシャーを生むことがあります。慣れていない民間人にとっては、これが非常に大きなストレスとなる可能性があり、緊張やパニックを引き起こすリスクがあります。

厳格なトレーニングと技術の結晶

これらのリスクを克服するために、アイザックマン氏と彼のチームは長期間にわたる厳しいトレーニングを受け、最新の技術を駆使しました。今回の成功は、民間人が宇宙での船外活動を行う時代の到来を象徴しています。そして、宇宙開発が一部のエリートだけでなく、より多くの人々にとって身近なものになる未来が現実味を帯びてきました。

人類の未来が、これからどこまで広がっていくのか、宇宙への挑戦はまだ始まったばかりです。

■参考資料


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