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リチャード・ライト著『ネイティブ・サン』読書感想文

こんにちは。
三十歳独身女性です。

本日は
リチャード・ライト著 上岡伸雄訳『ネイティブ・サン』の読書感想文を書かせて頂きます。
ネタバレはしています。

実話かと思うほどリアルで、最近書かれたような新鮮さを感じる内容だった。

きっと現代に裁判をしたとしてもビッガーは重い罪になると思う。それくらい残虐な行為が続いていて……

でもあの日のメアリーとジャンの行動は、本当にピッガーを思っての行動ではなかった。
良かれと思えば何をやってもいいと思う人々の権化のように見えた。
でもだからといって、何が嫌なのか何が間違っていたのかを言語化するのは難しく、手を下してしまったビッガーを必要以上に擁護するのは難しい。

ビッガーが最後まで心を開けなかった部分に心を打たれた。
死と向き合わないと本能を見つけることができない不器用さに共感を覚えた。

でも決してそれはビッガーのせいではない。
差別とその差別を受け入れている人々から圧力が根源にはある。差別がビッガーの全てを奪っていたことは間違いない。

素直に生きろと言われたところで、差別されてきた人間にその言葉が響かなくても無理はないのだと考えさせられる。

相手に心を開いて欲しいと嘆いてみても、
その相手に心を開いてもらえるような正しい努力をしたのか?とはっとさせられ、読了後も答えを出せずにいる。

おすすめです。

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