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大学研究者から見る「ソーシャルビジネス」。

「ソーシャルビジネス」=「社会課題解決を目的とする事業」

小学生の頃、夏はこんなに暑くなかったな、毎年のようにそう感じるようになり、こんなに水害はなかったな、こんなに台風は強くなかったな、そんなことを肌で感じ始めた頃、自身の研究テーマを急転換し、カーボンニュートラル技術の研究をスタートした。

産業革命以降、生産活動の基盤が農業から工業に移行し、石油化学工業が発展したことによって、我々の生活は豊かになった。反面、その発展した科学技術が人類を存亡の危機に晒しているとなれば、その危機を回避できるのも科学技術ではないか。そう強く思い、使命感のようなもので、これまでの研究を置き去りにし、なかなか報われない研究を始めたのである。

そのように、勝手に使命を授かった自身は、研究によって社会課題を解決するべく、新しい研究に勤んでいた頃、「ソーシャルビジネス」というものを知った。なんでも、社会課題を解決することを目的とする事業らしい。例えば、フードロス・食料問題・資源問題の解決に資する未利用魚の活用や放置竹林問題に貢献するメンマの販売など、すでに事業化しているソーシャルビジネスがいくつもあるのだ。このようなプロジェクトは、利益を出し続ければ、社会課題を解決し続けることができる。なんとも素晴らしいビジネスである。

社会課題を解決できるのは我々科学者で、自身にはその使命があると息巻いていたが、それは単なる情弱の驕りで、経営者が社会課題に取り組んでいるという現実が事実としてあるのである。

ソーシャルビジネスから学んだことは、利益を出すということの大切さであり、資本主義社会における「持続可能」とは「経営」するということなのである。

科研費のような一過性の資金では、プロジェクトは期間が限定されてしまうが、事業化すれば「持続可能」にすることができるのである。

そうやって、経営の大切さを知り、ソーシャルビジネスを知ったことで、次の目標は「ディープテック・スタートアップ」に定まった。「ディープテック」とは、「科学的な発見や革新的な技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み」のことである。カーボンニュートラル技術を新規開発するだけでは、環境問題を解決するには不完全であり、事業化することによって、真の「持続可能」なカーボンニュートラル技術になりえるのである。

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