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[小説]能登の夏-辛いから、頑張る!-④

 お隣、富山の高岡。川の近くで液状化して、被害が確認されたところ。しかし、影響は祭りにはないということで、御車山祭りは通常開催。
 タカは、山車を出せると満足気なものの、どこか物憂げな表情。これでいいものか、と自問自答している。
「ノトーとノロシーは、苦労してるのに、おら、何しとんげん?」
「ヒーミーも、祭り中止で泣いとんがに…」
タカは、何も言えなかった。伝統の継承は大切だが、苦労している友達のことを考えると、何も言えなくなる。
「割り切れねぇよ。…」
タカは、両手を握り、悔しそう。
「ノトー、ノロシー、終わったらすぐ行くから」
その瞬間、涙がこぼれ落ちた。
 氷見。ここも、液状化やその他の被害があったところ。ヒーミーは、丸まげ祭りの祭り師。今年は、祭りは中止。やることがなくなって、どうしていいかわからず、ずっと朝から、物憂げ。来年のことを考えようにも、不安が募ってくる。
「あぁ…」
頬杖をついて、どうしようもない現実を見ていた。


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