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「思い込み」を捨てる

いにしえの人々は、満天の星を見上げ、こう考えました。

大地は巨大な天蓋(ドーム)に覆われている。輝く星は、そこに貼りついているのだ。そして、巨大なドームはゆっくりと回転している。

いわゆる「天動説」です。
重力の存在を知らなかったので、まさか自分が立っている大地のほうが動いているとは、想像だにできなかったのです。

ところが、毎晩星を観察しているうちに、奇妙な現象を発見しました。幾つかの星が、ほかの星とは明らかに異なる不規則な動きをしているのです。
これは、単純な「ドーム説」では説明できません。

そこで考え出されたのが、「ドーム2層説」です。つまり、空を覆うドームは1層ではなく2層あり、回転速度の違いでズレが生じるのではないか、ということです。

ところがところが! 不規則に動く星同士の運動もバラバラで、これは「2層説」でも説明つきません。
つじつまを合わせるには、さらに多くの「層」を考案しなければならず、「天動説」はどんどん複雑怪奇なものになっていきました。

最終的には、何重ものドームがミルフィーユのように重なる空を想像するしかなくなったのです。

では、神であれ何であれ、この世界を創った何者かは、いったいどうして、そんなに手の込んだ真似をしたのでしょう? 夜空に星を散りばめるだけなら、1層のドームで十分なのでは?
この疑問に答えられる人間はいませんでした。

ミルフィーユドームを打ち崩したのが、コペルニクスでありガリレオです。

「地動説」を採用すれば、ほとんど誰にも理解できない複雑な構造を持つ空を考える必要がなくなります。それどころか、それぞれの星の動きを簡単な計算で正確に予測できるようになるのです。

つまるところ、そもそもの大前提である「大地は動いていない」という「感覚」が間違いで、ただの「思い込み」だったということです。


150年前、ロンドンでコレラが流行し、大勢の市民が命を落としました。

このときも、ジョン・スノー医師が入念な観察・調査の結果、「発生源は井戸水である。コレラは患者の排泄物から井戸水を通って広まった」という「正解」にたどり着いたのに、当時の「権威」がそれを否定したため、対策が遅れ、犠牲が広がってしまいました。
当時は、「疫病は澱んだ空気(瘴気)から生まれる」というのが「常識」だったので、スノー医師が提示したデータも曲解され、逆に「瘴気説」の補強証拠に使われてしまったのです。
※詳細は『感染地図』(スティーヴン・ジョンソン著・河出文庫刊)をお読みください。人類がほんの150年前にも、今とまったく同じ過ちを犯していたのがわかります。

このように、「思い込み」「常識」は「真実への道」の障害となります。
科学を志す者、「真理を知りたい」と思う者は、常に「前提」を疑う必要があるのです。


「マスク信者」の論説は、どれも「マスクには何がしかの効果がある」というところから出発しています。
なので、みんながマスクをしても感染が収まらない現実とはつじつまが合わなくなり、
「マスクを正しく着用していない(隙間がある)からだ」
「シリコンマスクがいけないのではないか」
「マスクを二重・三重にするべきではないか」
と、
どんどん「新説」を付け足さなければならなくなります。
「大地が動いているはずがない」と夜空にドームを積み重ねていった「天動説」論者とそっくりです。

このように話がどんどん複雑になってきたときは、一度原点に返って「前提」を疑うべきです。もし「前提」自体が間違いだったら、その上に組み立てたすべての理論が崩壊するからです。

「マスクには感染予防効果がある(はず)」という思い込みをいったん捨てて、虚心坦懐に現実を直視してみましょう。
データを客観的に見れば、マスクを義務化した地域もしていない地域も、まったく同じ感染カーブを描いていることに気づくはずです。

そう、「真理」は初めからずっとそこにあったのです。メーテルリンクの『青い鳥』のように。

マスクと感染には何の因果関係もない

それがわかれば、現在行われている対策が全部無意味であるどころか、むしろ「逆効果」であることも理解できるでしょう。

「マスク信者」のやっていることは、「天動説論者」や、150年前にスノー医師を妨害した「権威」といっしょ。誤った対策で、逆に被害を広げているだけなのです。

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