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私学訪問日記【多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校】

小田急線・京王線「永山」駅または京王線「聖蹟桜ヶ丘」駅からバスで約12分、聖ヶ丘の住宅地にある多摩大学に隣接した敷地内にある多摩大学附属聖ヶ丘中学校。同校の教育理念は「自主研鑽、敬愛奉仕、健康明朗」で、それを実現するために、少人数できめ細かい指導(知識)、本物から本質に迫る教育(探究)、主体性と協働性(多様性)の育成を大切にしています。中1から高3までの中高一貫教育を基本とする男女共学校で、1学年120名とコンパクトなサイズ感も特徴です。

私が訪問した日は、ちょうど中間テストの前で、職員室のまわりのスペースで、大勢の生徒たちが互いに教え合い、時には先生に質問に行くなど、試験勉強に励んでいる様子が印象に残っています。生徒同士の仲間意識に加えて、先生方との距離感の近さも魅力的ですね。

多摩大学聖ヶ丘が大切にしていることは、常に「疑問を持とう!」という姿勢です。
同校では、調べ学習だけでは終わらない、実験やフィールドワークなどの体験を伴った探究学習のことを「A知探Q」と名付け、年々内容を深化させています。「A知探Q」では、放課後に中高の有志が様々な取り組みに挑戦している「放課後活動」に加えて、7年前から始まった教員生徒が全力で学びを楽しむ夏期探究特別講座「A知探Qの夏」、そして、同校のある多摩地域をフィールドに取り組む高校生の「探究ゼミ」があります。

この夏休みにも中学生向けに4日間を使って開催される「A知探Qの夏」という探究型特別講座があります。コンセプトは「教師が楽しまなくては、生徒も楽しんで学ぶことはできない」という若手の先生方の思いから始まり、先生と生徒が一緒になって探究を楽しむことを目的としています。先生方の趣味から発展した探究講座も多く、今年の講座のタイトルは「ピアノでアンサンブル」「PythonでチャットBOTを作ろう」「コミュ力爆上げ部」「逆転裁判」「イイ香りの科学と脳」「和菓子の世界(校長先生が担当)」などがあり、とても楽しそうですね。なお、中学生は、こちらの夏休みの「A知探Qの夏」だけでなく、年間6回の社会科見学や毎週1回の観察と実験で、高校生から始まる「探究ゼミ」への導入部として興味関心の幅を広げる事も意識して指導されているそうです。

そして、高校1年生・2年生対象で行われている「A知探Qゼミ」は、自分たちで考えて、自分たちで答えを出すことに取り組んでいます。部活や勉強で忙しい高校1年生・2年生のために昨年からカリキュラムを変更し、高校1年生・2年生の水曜日の午後は探究の時間を確保しました。高校生は8班(1チーム10~20名)に分かれて、同校の所在地でもある多摩市の課題に取り組んでいるそうです。私学では珍しく、多摩市との地域連携が進んでおり、「このような課題で取り組みます」と多摩市役所にプレゼンで訪問した際は、同市の市長も同席されたそうです。多摩市の全面協力により、毎週水曜日の午後は、多摩市役所の6つの部署の方が交代で生徒の探究についてのアドバイザーとして来校されているという点でも見逃せません。「探究ゼミ」のアウトプットの形式は、論文、ポスター、動画等、自由とのことですが、昨年の2学期末の期末テストでは、先生方からポスターセッションで評価してみようと提案され、生徒たちは多摩パルテノン大通りに出て、街ゆく人に声をかけて、約300名の方に5段階評価で投票してもらったそうです。ユニークな取り組みは、止まるところを知りませんね。

この夏休み(2023年8月5日)に、「A知探Qの夏」を受験生のみなさんも体験できる機会があるそうです。
詳しくは、学校のHPでご確認ください。

コアネット教育総合研究所 新教育推進室 アカウントマネージャー 湯浅佳子

多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校


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