高校生の転校を考える(都立高校転入試験)

こんにちは。
前回の更新から間が空いてしまいました…(いつものこと)
今回は、特に現在の高校1年生に向けて、夏休みの都立高校転校について考えてみたいと思います。

0 結論

高校生の転校は思っている以上に難しいです。
でも、引っ越しではない転校なら、「高校1年・夏休み中の転校は」リスクは比較的少ないです。

はい…すみません。
主題が終わってしまいました。
まあ、確かに転校って難しいんです。
でも、高校で働いていた時にも「転校できますか?」って、
切実なご相談がたくさんあったのも事実。
高校に入ってから生活環境が大きく変わって、勉強についていけなくて、毎日遠くの学校に行くのがしんどくて、人間関係がしんどくて…
最近は「通信制で、自宅で頑張るのがつらくて…」も多い印象です。
いわゆる上位校でも中堅校でも特殊な学校でも、一定数のしんどい高校生が存在するのが実態です。
調べてあこがれて入ったはずの高校なのに、やっぱり入ってみると何かが違う。
頑張れると思ったことが予想以上にツラかった…。
できない無理をするくらいなら、新しい環境に移ってみるのもテだと思います。(本当にそう思いますとも)

最終手段としては私立の広域通信制(いつでもほぼノー試験で受け入れる)もあるけど、高校1年生の1学期であればそれ以降よりも大幅に緩い条件で都立高校に転校することができます。

1 2学期転校のスケジュールは?

では実際にスケジュールはどんな感じでしょうか。
例年、6月の最後(昨年は6月30日)頃に転校を受け入れる学校の一覧や受入人数が発表されます。
その際に受験日程が2つに分かれていているのに注意です。(一部これ以降の日程の学校があります)

第1日程(昨年の例)
願書受付 8月1日・2日
試験・合格発表 8月3日

第2日程(昨年の例)
願書受付 8月4日・5日
試験・合格発表 8月8日

これを見比べてお分かりのとおり、第1日程を受験後、第2日程の学校を受験することができます。なので、2回チャンスがあります。
ただし、第1日程の受検で合格した場合には、第2日程の学校を受験することはできませんので、注意が必要です。

また、出願にも区分があります。
「区分1」は、東京に引っ越してきた人向けの試験
「区分2」は、それ以外の理由で転校したい人向けの試験
正直に言えば、区分1の方が(若干)受かりやすい傾向があるようです。通える高校がなくなってしまうと困ってしまいますからね…

2 なぜ高校1年の夏休みは転校しやすいのか

高校は中学校までとは異なり、文部科学省で決められている「必修」の授業以外の授業を各校で選んでカリキュラムを構成することができます。
そのため、高校によって学ぶ順番や卒業するまでに受ける授業がそもそも違うんです。
国語や数学などの主要科目はそこまで大きく変わりませんが、例えば生物基礎を1年生でやる学校もあれば2年生でやる学校もあるし、専門学科であれば工業や農業などの授業も入ってきます。
1年生の1学期であれば、まだ1年生の授業の3分の1程度なのでカリキュラムが違う学校に行っても大丈夫ということです。
ちなみに、1年生の1学期に限っては普通科から工業科や農業科、農業科から普通科などの転校も可能です。
(正確には細かい条件があるので、詳細は転校を検討している学校に確認してください)

3 デメリット・リスクはないのか

このように、高校1年生の1学期末で転校すること自体は制度上難しくありません。
しかし、いくつかデメリットとなる点もあるので見ていきましょう

① 必要な書類は今通っている学校に作ってもらう必要がある

引っ越しでない転校を考えるときに、ほぼ唯一と言えるリスクはここです。
「必要書類の中に、現在通っている学校に出してもらうものがある!」
つまり、学校には転校したいことを言わないといけないのですね。
ただ、(昔はともかく)多くの学校は無理をして通うくらいなら転校も手段だよねと理解をしてくれると思いますし、私が勤務していた高校でも夏休みの転学試験は数人受けている人がいたように思います。(その後、2学期になって転学していないのを見ると、チャレンジしただけだとのこと。一人で3回転校試験受けた生徒までは知っています…。なかなか珍しいなとは思いましたが。)
書類の作成は担任の先生を通じてお願いすることになると思いますので、
先生が納得できるような理由を揃えておくことも必要かもしれません。
(意外と、「通学時間が長くてしんどい」「進路希望が学校の進路実績とあっていない(就職したい)」あたりは、志望校によっては使える印象でした)
もちろん、転校自体を本当に自分に必要なのかしっかり考えることが大切ですが、
「まあ、先生に転校したいって言って嫌われても成績落ちるわけじゃないし」と腹をくくってお願いするのもテかもしれません。

② 転校先の人間関係は大丈夫か、誰も保証してくれない

当たり前ですが、転校先の学校でも1学期の間にある程度の人間関係が出来ているので、そこに途中から入っていくのは勇気がいりますよね。
ここに一人で飛び込むことにはなりますので、どんな環境なのか下調べをよく行ったうえで選択することが必要です。

③ 転校はお金がかかることも考えておく

たった3年間しかない高校生活、自分らしく有意義に過ごすことが大切なのはもちろんですが、実際に転校する際には意外とお金と手間がかかることも考えておいてくださいね。
・転学の考査料
・(都立以外からの転校の場合)入学料
・授業料や授業料減免のための申請書の添付資料の準備
・制服や体操着、上履き、水着など
・教科書や副教材(前校と違うものは全て買いなおし)
・もしかするとPC端末も買いなおしの必要があるかも(スペックが低い場合)
もう一回入学するくらいに近いくらいのお金がかかりますし、PC端末の買いなおしなどは補助もないハズなので全額負担になりかねません。

4 それでも転校を決意するならおすすめの学校

これもたまーに聞かれるのですが、もちろん「なぜ転校したいか」によってオススメの学校は異なりますが、転校しようとしている方の中であまり候補に挙がっていないのが、
「定時制(昼夜間)・単位制・総合学科」の高校です。(まあ、知名度低いから候補に入ってこないんでしょうけど…)
東京都でこの「定時制(昼夜間)・単位制・総合学科」に該当する学校は別名「チャレンジスクール」と呼ばれています。
特徴は、不登校や長期欠席経験のある生徒でも通いやすいようにフォローアップが充実していることと、単位制で「必修」の授業以外は自分の興味のある科目を重点的に勉強することができる点です。
「昼夜間定時制」という名の通り、学校自体は朝から夜まで通しでやっており、自分の都合の良い時間を選んで入学して授業を受けることができます。定時制といえば卒業まで4年かかるイメージですが、入学した部の前後の授業を受けることで3年で卒業することも可能です。
参考までに一覧を置いておきますね。(一部「チャレンジ枠」のある学校を含みます)

5 めっちゃ親身に相談に乗ってくれるところもある

夏休みの都立高校の転校スケジュールを見てきました。
もし検討されている方がいらっしゃいましたら、一度転校先の学校に相談する必要がありますので、じっくり考えて、学校も見に行って、なかなか体力が必要なことですが、今の時期からゆっくり検討してみることをお勧めします。
あとは、どんな学校に行ったらいいか、教育委員会の中にある相談コーナーも実はひっそりとおすすめですので、良かったら使ってみてくださいね。
都立高校や中学校の元校長先生や入試制度のプロフェッショナルがじっくり相談に乗ってくれる無料サービスです。めちゃくちゃ親身なのでおすすめです。


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